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原子力・放射線部会

部会長挨拶

部会長和田隆太郎(拡大画像へのリンク)

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和田 隆太郎 部会長(令和元年〜3年)挨拶

 2019年3月の第1回部会長選挙により選出され、部会長を拝命いたしました和田 隆太郎と申します。宜しくお願い致します。
 2005年6月に発足した当部会は設立後15年目を迎え、部会長は私で4代目です。初代が林 克己氏(現・監事)、2代目が桑江良明氏、3代目が佐々木聡氏(現・理事)です。

 私が部会長を拝命する現時点の原子力・放射線分野の経済規模は、原子力エネルギー利用分野が大幅な減少し、放射線利用分野は過去10年間横ばいとの状況です。原子力エネルギー利用では、2007年の新潟県中越沖地震に続く自然災害である、2011年の東北地方太平洋沖地震とその津波による電源喪失により東京電力福島第一原子力発電所(1F)が炉心溶融事故に至り、その影響で多くの原子力発電所の運転が停止していることが大幅な減少を招いています。1F事故を防ぎ得なかったこと、その後の情報伝達等の不備により社会の混乱と不安を引き起こしたことの反省を踏まえ、原子力関係の技術者には特に技術者倫理や科学技術に関する一層高度な知識と応用能力が求められています。工業利用、医療・医学利用、農業利用等の放射線利用分野の経済規模は横ばいですが、内訳をみると放射線減菌・計測検査等の工業利用が減少し、より高度な医療・医学利用が大幅な増加となっています。画像診断、粒子線治療、PET・CT等の医療・医学利用関係の技術者には、より高度な知識と応用能力が求められているだけではなく、利用する市民への判りやすく丁寧な説明に向き合うという社会科学的な要素が求められています。一方で、この分野ではITER、スーパーカミオカンデやリニアコライダー(ILC)等の夢のある研究施設が話題になっています。

 私がこの2年間で取り組むのは、上述の背景の中、部会員が原子力分野・放射線分野の産業界に実質的に組み込まれ、外部組織から評価される原子力・放射線部門の技術士を定着させることです。かつ、この活動では技術士個人の活動を応援し、部会行事に参加する会員が満足し、マネージする幹事・S幹事が「やりがい」「充実感」を感じる活動とすることを第一義と考えています。また、当部会はボランティア活動であることを鑑み、将来に向けた理想を持ちつつも、限られたリソースの中で出来ることを見極め、Skypeの積極活用等により効率的な運用と幹事の負荷軽減に努めることが必要だと考えています。
 活動内容としては、従来の「蓄積」「財産」を受け継ぎ、主な活動方針を継承する考えです。すなわち、部会技術士10年の大方針である1) 原子力安全への取り組み、2) 認知度向上と技術士増、3) 地域連携と個の技術士の活動支援、4) 外部機関を活用した広報活動は踏襲しつつも、新たな切り口での活動方針の下、個々に違う味付けの活動内容にしたいと考えています。また、その活動内容には、近々に予想される技術士更新制度を意識し、特に地域に在住する部会員がCPD行事に参加できるように、企業連携や地域連携等による対応を出来る限り織り込みたいと考えております。
 活動計画はまず自前でコンピテンシーを実現する行為、すなわち労力.vs.効果の分析を踏まえて最大限の効率的な運用となることを考えて策定しました。技術士に求められる7つの資質能力はご存知と思いますが、ここではコンピテンシーの一般的な定義である「高業績者に共通してみられる行動特性」から3つの切り口を抽出しました。
1つ目の切り口は、最近の2次試験合格者の傾向から技術士増に向けた活動は、放射線は大学卒業直後、原子力は30〜50歳代をターゲットにすることです。そのため、大学説明会は従来の原子力分野に加え、医療分野・RI利用等の放射線分野を増強したいと考えています。また、法人・企業等の中での部会組織を整備し、組織内説明会などを促進したいと考えています。
2つ目の切り口は、定例講演会(例会)の参加者数の傾向から考察すると、魅力的な例会とする要件は新鮮な題材(テーマ)の確保と著名な講師への講演依頼です。放射線分野では、先進技術(宇宙線計測、加速器、核融合等)の幹事等の基幹メンバーを確保し、夢のある例会を企画したいと考えています。また、原子力分野では、当部会の修学マップ計画に基づく時事に乗った最新の話題を採用し、適切な講師を招聘したいと考えています。
3つ目の切り口はグループ活動の参加者数の傾向から、題材には注目される業界での関心事を反映することです。原子力分野では、規制側メンバーの参加について同意を得つつ、電気事業者メンバーを増強し、現役とOB等による意見が異なるメンバーが参集するという技術士会ならではの企画(座談会)を開催したいと考えております。

 個別プロジェクトとしては、1)原子力安全に係る座談会の開催、2)大学説明会と企業説明会、3) 地域連携促進、4)講師・ファシリテーター等派遣による個の技術士活動の支援、5)マスメディアへの情報発信等に取り組んでいきたいと考えております。
1) の原子力安全に係る座談会は、上述の通り、技術者倫理と原子力安全の向上や原子力安全文化醸成活動に関する座談会を開催したいと考えております。
2)の大学説明会では原子力分野は現状維持とし、放射線関係(特に医療放射線関係)を強化したいと考えております。また、原子力分野では法人・企業等への説明・依頼(企業等啓蒙活動)の強化と組織特命大使の設置を行いたいと考えています。すなわち、一定数(当面は3名)以上の部会員が所属する企業等に、組織特命大使を介して、技術士の氏名リストの掲示、企業内技術士会の設置、技術士制度説明会の開催、企業内技術士研修会(CPD時間の確保)の開催をお願いしたいと考えております。
3)の地域連携促進では、地域リーダーを設置し、地域の部会員との連携および当部会のCPD行事の支援(CPD時間の確保)を進めたいと考えております。具体的な例としてはSkype接続による例会の遠隔同時視聴のweb聴講場所を準備や参加費の徴収、見学会や原子力学会の地方開催での地域イベントの促進を行う考えです。
4)の個の技術士活動の支援では、部会が斡旋し、地域本部・県支部の要請により、近隣に在住の部会員を講師・ファシリテーター等として派遣することを前向きに取り組みたいと考えております。
5)のマスメディアへの情報発信では、原子力学会メーリングリスト、他部門・他分野のワークショップ・学会誌、外部マスメディアへの情報発信を合理的でミニマム化された作業で実施したいと考えております。
 特に、2019年度中に技術士更新制度が導入される予定であり、2020年より100時間/5年のCPD時間と講習会受講による資格更新が導入される見通しです。IDがA00****0, A00****5の方は2020年に更新となる(ある更新日に20時間のCPD時間が必要になる)可能性があります。そのため、これに備えて今年度から技術士更新制度が導入されるとの予報と、地域での例会の遠隔同時視聴・地域イベントの促進および企業内技術士研修会の開催を特に注力して制度普及を進めたいと考えております。

 原子力分野における事故や不祥事は、原子力に対する不安感、不信感を招いています。一般にこれらは原子力関連の組織信頼が低下したと言われており、原子力に関わるすべての個人および組織が技術者倫理を尊重し,実践することが重要と言われています。しかしながら、組織がそれ自体として信頼されることは極めて珍しく、信頼は個の技術者が市民から人として信頼されることから始まります。個の技術士は高度な知識の下で正確で偏りのない情報を発信し続けることにより、結果として市民から信頼されように努めねばなりません。
我々、技術士は、国によって科学技術に関する高度な知識と応用能力が認められた技術者であり、技術士法により高い技術者倫理を備え、公益の確保と継続的な資質向上に努めることが責務となっています。
 近未来的に、信頼される個の技術士が認知され、多くの場面で活用され、これにより社会に貢献できると信じており。これに向け微力ながら誠心誠意務める所存です。これにて部会長就任のご挨拶とさせて頂きます。

令和元年(2019年) 7月3日
原子力放射線部会 部会長 和田 隆太郎

このページのお問い合わせ:原子力・放射線部会

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