ナビゲーションを飛ばしてコンテンツへ
  • 原子力・放射線部会のホーム
  • 地域本部・県支部・部会・委員会
  • 公益社団法人日本技術士会
  • RSSについて
原子力・放射線部会

過去の部会長挨拶(2015年〜2019年)

部会長佐々木聡(拡大画像へのリンク)

   部会長 佐々木 聡

(画像クリックで拡大 125KB)

佐々木 聡 部会長(平成29年〜令和元年)挨拶

 2年前、部会長を拝命するにあたり、科学技術学術審議会答申に示された『原子力・放射線部門の技術士像を具現化すること』、それを、『技術士(原子力・放射線部門)のブランドイメージとして社会から認知してもらうこと』を目標と記しました。福島第一原子力発電所の事故の後、原子力に携わってきた者として、どうしたら技術士を社会のために活かすことができるかを考え抜いた結果、professional engineer (PE)の原点に戻った目標を改めて唱えることとしたのである。

 形の見えにくい目標に対し、この2年間、「技術士の自覚」、「個人に対する部会の役割の明確化」、「目標と活動の2つの見える化」という3つの方針で取り組んできました。福島第一原発事故により改めて学んだことは、専門家も信頼を左右するのは肩書ではなく個人の資質そのものだということです。個の重要性は前述の答申でも明確に示されており、1人ひとりの技術力と倫理が基本です。これを高め、世の中から実績として認知してもらうことこそが、個人と職能集団としての部会の役割であるというのが、最初の2つの方針の趣旨であり、個々の活動の背景に常に目標を意識して頂こうということが3つ目の方針の趣旨です。

 技術士自身に自覚を促すこととは、技術士の評価は約束されたものではなく、自分自身が支え高めるという自負です。社会のために技術士は何をすべきかを問い、自らが社会との接点に立つ覚悟を持つと、専門性に安住することは決してできないはずです。世の中の関心や不満に対し常に気を配り、PEの原点に立ち戻ってコンピテンシーを意識し、資質向上のための学び直しを続ける必要があるという意識を共有するために、繰り返しメッセージを発信してきました。
 部会の役割は、個人を支えることであると宣言致しましたが、具体的には2つのことに取り組みました。一つは学びの動機づけと学びの負担軽減のために、必要となる「学びの全体像」を示し、部会企画の基本としたことです。もう一つは、個人活動の側面支援のために、技術士のイメージ戦略を意識した情報発信を進めたことです。
 そして、目標と活動の2つの見える化とは、一つ一つの企画と情報発信とを一体化させるなかで、部会活動と部会が目指す目標が繋がるように努めた活動です。企画の背景に哲学が仄見えることで、企画担当者や参加者はもちろん、情報として伝わるものの奥行きが広がったと実感しております。
 なお、「学ぶべきこと」は社会の関心と共に推移しますので、情報収集の分担の仕組みについても現在整備しております。こういった活動を一つ一つ積み重ねながら、ようやく社会からの認知度の向上への取組に着手したのが、昨年末です。

 これからの2年間は、取り組んできた活動の更なる完成を目指しつつ、技術士個人の資質向上のための取組を続けるとともに、ターゲットを明確にした認知度向上の取組を進めながら、技術士が社会に貢献する事例を積み重ね、更なるブランドイメージの確立に努めます。また、部会と部会員、技術士と技術士、技術士と他の専門家、東京地区と地方在住の方々等の連携を意識した活動を重視し、今後拡大する企業を退職される技術士、技術士資格を取得してから十分に資格を活用しきっていない人々のニーズを把握しながら、活動の場の提案と構築に努める所存です。そして、1人でも多くの原子力・放射線の分野に携わった技術士が、反省と責任を胸に、社会の中で力を発揮して頂けるような場が広がればと思います。

 私は、技術士のブランド戦略の目標として、原子力や放射線の知識を有しながら、中立的なレビューができる信頼のおける個人とそれを抱える職能集団を示しますが、その事例として、よく吉川裕之先生の知の統合で述べられたフレーズを引用いたします。私自身は、これは医療における総合診療医の様な役割であろうと思っております。患者をよく観察し、話を聞き、横断的・俯瞰的に専門分野を知り、細分化した原子力・放射線分野の中から適切に情報を繋ぐ、これはまさに技術士に求められている資質です。これまでの制度活用への取組は、実は特定の専門分野での採用を目指すものでした。言ってみれば専門治療分野での制度活用を目指すが故に、合格者をさらに細分化せざるを得なかったのです。ですが、同じ険しき道であれば、原子力・放射線分野の総合診療医の様な役割を世の中から認知させ、制度の創設を目指せばよいのです。そんな、夢も描いております。

 技術士法が公布されて、今年で60年。これまでも多くの先人が技術士の価値を高めるために必死の努力を行ってきました。我々が甘い気持ちで取り組んでも決して変わりません。技術士を社会のために活かすという必死の決意と皆様の団結が必要です。どうか、よろしくお願いいたします。

2017年 6月23日
原子力放射線部会
部会長 佐々木 聡

-----------------------------------------------------------------

佐々木 聡 部会長(平成27年〜29年)挨拶

 第11回部会全体会議において、部会長を拝命いたしました佐々木 聡と申します。宜しくお願い致します。
 私がこの2年間で取り組むべきことは、原子力・放射線部門の技術士像を世の中に定着させるための努力、すなわち、平成15年の科学技術学術審議会の答申において、原子力放射線部門の設置に記載された技術士像を具現化することと考えております。
 答申では、「近年の原子力システム関連のトラブル、不祥事の発生と社会環境の変化を考え合わせた時、これまでの国や組織としての安全性等の担保にあわせて、技術者一人一人が組織の論理に埋没せず、常に社会や技術のあるべき姿を認識し、意識や技術を常に向上させていく仕組みが必要である。また、事業体と社会とのリスクコミュニケーション等社会としての受容に必要な業務を推進していくためにも、社会から信頼される個人としての技術者の存在が不可欠である。」 と記されています。これは、10余年が経過した今も、まさに求められている専門家像、そのものです。

 部会創立から6年間、林元部会長は、技術者の資質向上、事業体における安全管理体制の強化、安全規制への活用等、技術士が制度的に活用されることを目指し、同時に、そのための資格者の増加を目指した活動を進められました。続く桑江前部会長の4年間では、東京電力福島第一原子力発電所事故後の国難の時期、技術士個人による福島支援の結集を図りつつ、安全文化や技術者倫理を前面に出した活動を進められました。
 この10余年の活動から我々が得た知見は、部門設置時も東電福島原子力発電所事故後も、絶対的な程度の差こそあれ、原子力・放射線分野を取り巻く世の中の環境と我々自身の姿勢に起因する課題は何も変わってはおらず、それ故専門家に求められる資質も変わっていないということです。そして事故と言う大きな代償を通じて得た知見は、原子力・放射線部門の専門家に、住民の目線を主体とした考え方や行動が決定的に不足していたということです。それが科学技術そのものに対する信頼失墜にまで繋がりました。

 では、専門家として社会に対し、我々は何をなさねばならないのか?
それは、福島で被災された人々、原子力施設に隣接する地で生活する人々、一般の国民、原子力・放射線を専門としない技術者、地域や行政の舵取りをする人々、様々な立場の人々が何を不安に思い、不信や不満・怒りを感じ、何を知らず、どのような情報を欲しているのかを対話を通して聴くことであると考えます。
 そして、自らに足りなきを学び続け、専門に偏らず過不足なく答える術を身に着け、小手先の会話術ではなく相手の気持ちを察して対話する真の人間力を一人一人が身に着けることです。そして、伝えたい情報ではなく、必要とされる情報を伝えることのできる専門家となることと考えます。
 この道は、長く険しいものです。被災者との対話に直接携わり苦い経験をした者にしか、真に相手を慮ることは困難です。また、原子力・放射線の関連分野は広く、課題も次々と発生し、社会の関心も常に変化します。中庸な意見を述べるためには、当然、原子力・放射線以外の見識も必要ですので、個人で全てを網羅するのも困難です。しかし、そこにこそ、分担して学び合い、経験を共有できる職能集団としての技術士会があるのです。

 我々は、原子力の受容のための従来の広報ではなく、住民自らが判断するための偏りのない情報を発信する技術者として、一人一人が世に出て対話し、信頼され得る人として認知されるように努めねばなりません。そして、個人の信頼を介して、まずはコミュニティのリーダーや他分野の方々に正しい知識が伝わり、そこから人々に展開されなければ真に世の中には広まりません。そのような地道な活動を続ける技術者こそが、原子力・放射線部門の技術士像、技術士ブランドのイメージと考えます。
 そのために我々自身を差別化し、常に意識に留め置くべき点は3つ。技術士法に記された「公益確保」と「資質向上」の二責務に基づく言動。そして、福島への反省を刻み込んだ「住民目線」の技術者集団としての活動と人そのものです。
 この先に、真に信頼される技術士の存在が世に認知され、多くの場面で活用される機会が訪れ、以て社会に還元できると信じております。私は、任期中、この礎となるべく、微力ながら誠心誠意務めさせて頂きます。

2015年 7月3日
原子力放射線部会
部会長 佐々木 聡

このページのお問い合わせ:原子力・放射線部会

ページトップへ