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原子力・放射線部会

福島復興支援活動関連

 東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故による影響で、周辺住民が苦しい避難生活を余儀なくされ、また国民の多くが放射線被ばくに対する漠然とした不安を抱える状況の中で、部会員の大多数は各所属組織において直接・間接に事故の早期収束、避難住民支援、汚染状況調査、除染活動、事故や放射線被ばくに関する正確な情報提供等の業務に全力で取り組んでいます。
 部会としては、部会員がそれぞれの立場で職責を全うすることがまずは最重要であると認識していますが、その一方で、震災発生直後から、部会役員間あるいは部会員有志が、メール等でやむにやまれぬ思いを発し、それらの中から具体的な活動が生まれました。
 この頁では、部会として計画的に実施した活動、他団体の活動と連携して原子力・放射線部門の技術士として参加した活動、初めは技術士個人のボランティアから始まった活動が部会としての活動に繋がった活動等の成果を報告すると共に、これからの活動の紹介や協力の要請等を行っていきます。

部会長佐々木聡(拡大画像へのリンク)

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『福島の今を学ぶ理由を人々に伝えよう』

 東京電力福島第一原子力発電所の事故から6年目を迎えました。今年、節目の時に紹介された話題は、生業、地域、心の再生等の前向きのものが多かったように思われます。ただ、福島の話題は、着実な復興への歩みを伝える一方で、避難指示解除に伴う避難者と自治体の苦悩と、避難者へのいじめの問題が注目されました。しかし、今年は問題提起に留まらず、風評被害に立ち向かう若い人々の活動とともに、食品検査体制や、被ばくや汚染の実態も紹介されました。いじめや風評被害の本質が、震災直後で止まった福島のイメージと、賠償金へのイメージにあることにまで踏み込んだ報道もありました。一歩も二歩も前進した感を持つ一方で、マイナスからの努力を強いられる福島の人々に対して、改めて、申し訳ない思いを感じました。

 賠償金は、非常にデリケートな話題です。震災の記憶が鮮烈な頃は、一部の避難者による賠償金の使途が取り沙汰されても、それほど注目はされませんでした。しかし、注目して欲しい福島への関心が薄れる中で、賠償金の多寡だけが繰り返し報道されました。同じ県内での賠償金の多寡、同じ避難区域での避難区分の変更による多寡、避難者が急増した地域における医療や住居等に関する元々の住民との軋轢、集団訴訟、原子力損害賠償紛争審査会における支給総額情報までが注目されて、webや週刊誌を介してステレオタイプのイメージが広がりました。
 しかし、考えてみて下さい。苦渋の決断で移住を決意し避難先に新居を建てたような方々は、例えば先祖伝来の土地に数世代で暮らしていたような人々です。長年地元で築き上げてきた生業や地域のコミュニティを失った無念、先祖伝来の土地や家屋にいつ戻れるとも知れない喪失感。家族を抱え、もしくはバラバラになり、点々と居を変えることの苦悩は如何ばかりでしょうか?職を変えること、転居を重ねることの苦労とストレスを知らぬ者はいないと思います。
 さらに、20km〜30km圏の屋内退避による緊急時避難準備区域は、実際には自主避難に基づく空白地になりました。自主避難のきっかけは同じではないのです。また、当時の人々には当然、放射線の健康影響への相場観はありません。「子どもを放射能から守るために」と煽られれば、止むに止まれぬ思いになります。その結果、家族と別れて二重生活を強いられ離散した家族、経済的に困窮する家族も多く、生業をなくし避難先での自立が困難でも、戻りたくても戻れない家族も多いと言われます。家族や個人の抱える状況は一つ一つ違うのです。羨望の対象か否かは目の前の方々を眺めれば想像がつくはずです。

 一方で、いじめや風評被害は思いやりだけでは決して解決しません。

 福島には、放射線に関する知識を専門家並みに理解し、生活に取り込んでいる人々も数多くおります。一方で、県産食品を未だに忌避する人々や水道水を避ける人々も数多くおります。放射線セミナーを何百回行っても、低線量放射線被ばくの影響などの質問項目は変わらず、知識に変化はないとの報告もあります。しかも、多くの住民が放射線の話題に触れなくなることで知識の二極化が起こっているとのことです。これではいけません。

 何故、学ぶ必要があるのでしょうか? 福島の人々、特に若い人々は、どんな心無い言葉にも、ある時は笑って往なし、時にしっかりと事実を示しながら反論するための護身術として、福島の現実と放射線に関する基本的な知識に裏打ちされた心の強さを持つことが必要なのです。子供に学んでもらうには大人も学ぶ姿勢を示す必要があります。学ぶ意義こそ、全ての人に理解して欲しいのです。

 福島県外の人々は、人として、福島の人々を傷つける発言や行動への感性を高めるためには、福島の今の状況を知ろうとすること、放射線リスクの相場観を持つことが初めの一歩なのです。そして、福島に対する差別や偏見に基づく言動が恥ずべき行為とされるような行動規範が、社会の成熟によって広がって欲しいと思います。海外の方々から日本に対し同じ問いを投げられたら、立場が逆転するのです。そのためにも備えねばなりません。

 我々も、これまでは、放射線の健康影響に関してはどんなに説明を行っても最後の2割の人々には届かないと問題を放置してきました。しかし、「子どもを放射能から守るために」に対しても、そろそろ踏み込まねばなりません。放射線リスクの相場観を、真剣に世に広めねばならないと思っております。

 福島の若い人々の数々の手記や行動から、震災の辛い経験を重ねた子供たちからは、相手を思いやる心に長け、福島の復興や未来の日本のために自ら学ぼうとする強い意志を感じます。この中から間違いなく、世の中を牽引する人々が現れると確信しています。私たちは、未来を担う若い人々の真剣な思いを育てるために、自らの姿勢を見せねばなりません。

平成29年3月11日
原子力・放射線部会
部会長 佐々木 聡

平成28年度以降の主な活動

〔活動の主眼〕
 廃炉の対応、復興(除染〜帰還等)が進んでいる中で、現状の課題をしっかり認識し、技術士として貢献できることは何かを考え実行するための活動に重点を置いた取り組みを展開した(以下のような視点で、福島の現状を伝えるための企画や情報発信並びに技術士としての行動を考えるための企画に重点化)

  • 風評被害やいじめ等に対して技術士としてできること
  • 住民の立場に立った対応が如何に行えるか
  • 中立の立場から正しい知識、最新の福島の状況を伝えること
  • 事故の反省〜忘れてはならないこと。安全確保に向けて取り組むべきこと 等
  • 〔主な活動実績〕
    【福島復興支援のための学び直し】

  • 福島第一原子力発電所視察(H28.5)
    当時、課題となっていた汚染水対策に係る対応(凍土壁など)の取組み、燃料デブリの取り出しに向けての準備、調査の状況、その他、発電所内の放射線環境の改善等の現状確認のための見学会を実施。
  • 廃炉に伴う放射性廃棄物の処理・処分(H28.7)
    将来大きな課題となるであろう、福島第一原子力発電所から発生する放射性廃棄物の処理・処分に係る研究開発の状況と課題についての講演会企画実施。
  • 楢葉遠隔技術開発センター視察(H29.1)
    廃炉に係る遠隔技術開発の拠点として建設された、楢葉遠隔技術開発センターを視察し、VRを利用した技術開発、ロボット技術開発、炉内の止水処置等の対策の検討状況等を確認。
  • 住民目線のリスクコミュニケーション(H27.3〜現在)
    平成27年3月より、技術士自身の行動を考えて年1回継続して取り組む企画で、平成28年3月はロールプレイ、平成29年3月はグループ討議を実施。
  • 福島高校の高校生、教諭との意見交換(H29.6)
    福島で暮らす高校生による自ら調べ伝えようとする取組とその生徒指導の取り組みから、人々の意識や気持ちを理解し今後の支援に資することを目指した。
  • 原子力・放射線以外の技術士等への情報の発信(H28.12)(H29.1)
    事故後の報道で情報が止まっている人々へ福島の正確な実情を伝えることを目的に、CPD中央講座、CPDミニ講座を企画提案し運営協力。
  • 学校教科書のレビュー活動への協力(H26〜継続)

    小中高等学校の理科・社会科の教科書に対し、エネルギー及び福島原発事故と福島の実情に関し客観的な表現で記述されているかを調査。

  • 【福島に係る現状と課題等についての情報発信】
  • 実施した学び直し活動を基に、月刊技術士に「福島第一原発事故の影響と現状、これから」と題したシリーズ掲載(全7回:H28.8〜H29.3)。福島の現状や課題について、各部門の技術士と共有することを目指す。

  • 部会報第19号にこれまでの福島第一原子力発電所事故に係る活動の特集記事を掲載。部会員の福島支援に資するための情報を提供。(H28.12)

  • 【原子力施設の安全確保のための学び直し】

  • 原子力安全の基本的な事項から現行の規制までの内容を含む講演会企画(H28.11)

  • 「最近の地震と原子力施設の耐震設計」に関する講演会企画(H29.1)

  • 女川原子力発電所の現地視察(H29.5)、意見交換(H29.7)現地視察と意見交換を通じて津波を乗り切った背景にある安全文化を探った

  • 国際的な原子力規制の動向、関連する安全への取り組みについての講演会企画(H29.9)

  • 原子力施設の廃止措置の現状と課題‐諸外国の実施状況と反映‐についての講演会企画(H29.11)

  • 平成27年度以前の主な活動


    〔活動の主眼〕
    事故直後の早い時期から、可能な限り直接的支援及びそれに資するための活動に注力した。

  • 相談会、交流会等への参画し、放射線の影響に対する不安、福島第一原子力発電所の状況に対する不安等を持つ住民等に対し、技術士として接し、提供できる放射線に対する基礎的知識に係る情報を提供すること

  • 可能な限り、福島の状況を伝えられるような講演会、シンポジウム等に重点を置いた企画

  • 部会としての事故への反省の思いと支援の取組については、1年後の3月に発刊した部会報第10号(H24.3.31) 及び部会創立10周年記念誌で綴り、記念誌の2-9〜2-12では現地での直接支援活動を特集した。

    〔主な活動実績〕
    【直接的支援】

  • 都内避難住民対象相談会(災害復興まちづくり支援機構)への支援協力(部会有志)(H23.11〜H27年度末まで)報告1報告2
  • 警戒区域内避難対象自治体への支援協力(部会有志)(H23.8〜H24.7)
  • 避難住民の一時帰宅プロジェクトへの参加(部会有志)(H23.6〜H23.9)
  • 除染情報プラザへの専門家としての協力(放射線の基礎に関する講義、小中学校、大学での授業等を含む)(部会有志)(H24.2〜H27年度末まで)
  • H27首都圏シンポジウム「あれから4年震災・原発災害克服の途を探る」参画、報告対応(部会有志)(H27.5)
  • ICRPの第11回福島原発事故による長期影響地域の生活回復のためのダイアログセミナー「測定し、生活を取り戻す」に参加(部会有志)(H27.5)
  • H27.4〜9 福島県海域モニタリング支援(部会有志)(H27.4〜H27.9)
  • 【学びの場の企画・提供、情報発信等による間接的支援】
  • 部会主催意見交換会「原発事故と技術士の役割」開催(H24.3)
  • 技術士フォーラム2013 放射線による被ばくリスクと放射線防護をどう考えたらよいか?」の企画提案・協力(H25.11)
  • 月刊「技術士」に『原子力発電・放射線基礎講座』と題してシリーズ掲載(全6回:H25.9〜H26.3)。
  • CPD教材『原子力・放射線の整理と検討のための資料〜3.11福島第一原子力発電所事故について共に考える〜』の執筆と編纂。(H25.3)
  • CPDミニ講座『コミュニケーション「伝える」と「伝わる」-初等教育と市民への放射線出前授業の経験から―』の企画、運営協力(H26.11)
  • 「北関東地区見学と報告の会」において、懇親の席に福島の被災者と東京電力所属の部会員、原子力学会倫理委員長等が直接面談する機会を設け、当事者間での意見交換。(H28.1)
  • 東北本部建設部会主催「福島原発の現状と課題」における『福島第一原子力発電所の事故による一技術士の避難者支援体験について』の講演協力(H28.2)
  • 防災支援委員会に東日本大震災5年目の勉強会へ提案(H28.2〜H29.3)その1その2
  • CPDミニ講座『原子力ロボットと東電福島原発事故』の企画運営協力 (H28.1)
  • CPD中央講座『東京電力福島第一原子力発電所の事故から5年目、現状と課題をリスクの大小を踏まえて理解する』の企画運営協力。(H28.3)
  • 日本学術会議 原子力総合シンポジウム「福島第一原発事故から5年を経て」への協力(日本技術士会共催)。(H28.3)
  • 日本原子力学会年会における教育委員会企画セッション「福一事故を踏まえ改めて見直す技術士資格 原子力・放射線部門からの提言」を共催。(H28.3) (会員用資料
  • 社会人向け公開講座における原子力・放射線の講義(講師派遣協力等)(H25〜継続)
  • 千代田テクノル見学会(高校生等の研究に貢献したD-シャトル(1時間ごとの被ばく記録が可能)に係る報告含む)(H28.1)
  • このページのお問い合わせ:原子力・放射線部会

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