ホーム試験・登録情報技術士試験における変更点平成15年12月 技術士試験における技術部門の見直しについて
技術士制度は、高い職業倫理を備え、十分な知識、経験を有し、責任をもって業務を遂行できる技術者としての能力を保証する資格であり、また、優秀な技術者の育成上の重要な機能を有するものである。そのため、技術士制度を技術の変化に柔軟に対応し、より広範囲な技術者のために活用できる国際的に整合性のとれた制度に改善することが重要であった。
このため、技術士制度については、国際整合性の確保、試験制度の改善等の措置を講じ、平成13年度より新制度の運用を開始しましたが、技術部門の見直しについては、総合技術監理部門が新設されたものの、既存の技術部門の見直しは行われていませんでした。従って、既存の技術部門について、社会的な需要や科学技術の進歩状況を踏まえるとともに、技術士制度の活用の観点も加え、技術部門の見直しが行われ、平成15年8月18日付けにて技術士法施行規則の一部改正が行われました。
内容は、「原子力・放射線部門」の新設等技術士試験科目の見直しに関するもので平成16年度の試験から実施されます。なお、今回の改正のポイントは以下のとおりです。
原子力・放射線部門の必要性及び新設理由
近年の原子力システム関連のトラブル、不祥事の発生と社会環境の変化に伴い、これまでの国や組織としての安全性等の担保にあわせて、技術者一人一人が組織の論理に埋没せず、常に社会や技術のあるべき姿を認識し、意識や技術を常に向上させていく仕組みが必要不可欠となっています。
また、事業体と社会とのリスクコミュニケーション等社会としての受容に必要な業務を推進していくためにも社会から信頼される個人としての技術者の存在が必要であるとの考えから「原子力・放射線」部門は新設されました。
「原子力・放射線」部門の技術士には事業体内において技術的事項に対する中立的な意見を述べる役割を果たす者として活用され、事業体への信頼性の向上につながることが期待されます。
(1) 技術士第一次試験専門科目
平成12年の技術士法改正により、技術士第二次試験を受験するに当たっては、技術士第一次試験に合格することが義務付けられることになった。
このことは、従来技術士補になるための試験であった技術士第一次試験の位置付けに質的な変化をもたらした。
すなわち、技術士第一次試験は、もともと4年制理工系大学卒程度の専門的学識の有無を判定するものとされていたが、技術士補になるための試験であったことから、技術部門に係る基礎及び専門知識を確認する専門科目の範囲については、技術士第二次試験の選択科目に準じるものとされてきた。そのため、大学では既に教えていない内容についても出題されてきた。
実際のところ、技術士補にならなくても一定の経験年数を経れば、技術士になるための技術士第二次試験を受験することは可能であったことから、技術士第一次試験の受験者数はさほど多くはなかった。
しかし、今回の法律改正により、技術士を志す全ての受験生が、技術士第一次試験を受験することとなり、技術士第一次試験が、従来の技術士補になるための試験という性格に加え、技術士第二次試験を受験するための要件としての性格を持つことになった。
従って、技術士第一次試験専門科目の内容についても、技術士第一次試験の位置付けの変化を踏まえたものとする必要があり、4年制理工系大学で教えている程度の内容を基本とする趣旨を、より強く反映させたものとすることが妥当である。
以上の観点から見直しが行われました。
(2) 技術士第二次試験選択科目
前回の技術部門見直しからの科学技術の進展を、踏まえた内容とする必要がある。
あわせて、平成12年の技術士法改正により、従来技術士補のみに認められてきた経験年数4年による第二次試験の受験資格が、優秀な指導者による監督の下で科学技術に関する専門的応用能力を必要とする業務に従事した者にも拡大され、経験年数4年で受験する者が大幅に増えることを踏まえた内容とする必要がある。
なお、技術部門及び選択科目によっては、業務資格類似のものとして位置付けられているものもあり、これらの技術部門及び選択科目における内容の見直しに当たっては、技術士資格の活用促進の観点から、業務における活用上、有益かどうかという観点にも配慮する必要がある。
以上の観点から見直しが行われました。
(3) 技術部門名変更
技術部門名の変更は、各々以下の理由によるものである。
「電気・電子」部門 →「電気電子」部門
平成元年の技術部門見直しにより、「電気」部門から「電気・電子」部門に変更されたものであるが、近年、「電気」と「電子」は総合的にとらえ、用語としても「電気電子」を用いるのが一般的。
「船舶」部門 →「船舶・海洋」部門
従来の「船舶」部門の範囲に、新たに浮体式海洋構造物を取り込むことに伴い、部門名称を、「船舶・海洋」部門と変更。
「林業」部門 →「森林」部門
近年「林業」は、木材生産など産業を意味する場合に限定して用いられており、環境保全等包括的な視点から「森林」を取り扱っている同技術部門の性格に照らすと、「森林」という用語を用いるのが妥当。
「水道」部門 →「上下水道」部門
法令用語上、「水道」は、上水道を指すのが一般的であり、同技術部門の受験者の大部分を占める下水道が、同技術部門に含まれることを明確にするために、「上下水道」部門と変更。
(1) 技術士第一次試験の科目については、下記関連ページ〔技術士第一次試験の科目〕をご参照下さい。
(2) 技術士第二次試験の科目については、下記関連ページ〔技術士第二次試験の科目〕をご参照下さい。
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