推薦者から一言
小松加奈氏は、食品メーカーに技術系総合職として入社され、開発・製造・生産管理・商品企画などの一連の業務を経験されてきました。育休中に技術士を受験され、30代の若さで、複業としてコンサルティング活動もされております。ワーク・ライフ・バランス、キャリア形成と技術士との関わり等に関して、ご自身の実体験に基づく示唆に富んだ提言をお持ちの当連載に寄稿いただくに相応しい方です。
経営工学部会 幹事 佐竹孝
1.複業スタイル
私は、新卒入社(2024年現在勤続17年)した大手食肉加工メーカーで総合職としてフルタイム勤務しながら、複業で個人事業を4事業営んでいます。2007年(22歳)大学卒業・就職以来、キャリア形成上の特に大きな変化は、「①2008年(23歳)『改善KAIZEN』活動の存在と自分の適性を知る、②2017年(32歳)育児休業・技術士第二次試験受験、③2020〜2022年(35〜37歳)コロナ禍での価値観変化・新しい概念と知識の習得、④2023年(38歳)顔出し個人事業開始」です。
①勤務先が依頼していた改善コンサルタントの柿内幸夫氏(経営工学)と出会い、改善活動を知りました。この活動は、自身が得意で、かつ大きな面白味を感じることに気が付きました。②技術士取得は、「体系的な知識習得・社外情報網への参加・能力の客観的証明による業務成果の加速化」の目的もありました。また大きな原動力として、「自分の能力を発揮するパイプを絶対につくる」との執念で、育児休業中に受験し一回で合格しました。③コロナ禍では、社会ルールの変化と新たな分野の方との出会いにより、固定観念の破壊と、個人事業を行うための学びを得ました。④時代(働き方改革・副業解禁・デジタル社会)も自身も変化し、2023年4月から複業として本格的にコンサルタント業を開始しました。
専門事項は、「コスト・生産性・利益の管理及び改善」です。会社員としても、個人事業主としても核は同じで、相乗効果を出しながら、そしてそれぞれの醍醐味を感じながら取り組んでいます。
2.会社員としての仕事
「食べることと“美味しい”お肉が大好きで毎日関わりたい、ものづくりに携わりたい、ワーク・ライフ・バランスをとりたい、挑戦の機会が欲しい」これらが叶いそうな地元の会社に入りました。
「開発部、2工場(開発課・製造課・生産管理課)、商品部、生産本部生産管理部」に所属してきました。直近では、2023年度の新設工場立ち上げメンバーとして、生産管理業務の構築とIT推進を担当しました。2024年度はその新設工場にて、「コスト・改善基礎力構築&利益改善」活動の牽引と講師、利益分析及び原価管理を行っています。毎日工場現場も巡回しています。
改善リーダー、本部改善事務局、改善講師(新入社員・若手・中堅対象)、コスト分析講師(管理職対象)やプロジェクトリーダーも務めてきました。参画したプロジェクトの1件は「生産・原価管理システム構築」です。システムベンダー選定・要件定義〜各工場導入運用・本部統括まで行い、既に13年携わっています。他には、自ら立ち上げ責任者として行った「PDCAサイクルに基づく原価低減:歩留まり・作業効率改善」と「改善が継続するための組織構築」等があります。
組織で働くやりがいとして、皆で話し合い、力を集結、成果を出し、喜びを分かち合うことが楽しいです。年月をかけて、多種多様な人間関係を構築していくことも面白いです。また、個人事業でまとめたことや吸収したことを、大企業のフィールドでも実践しています。
3.個人事業(4事業)
「好きな仕事をもっとやりたい、結果に比例したお金を得たい、自分の裁量で思い切り動きたい、お金を生み出す仕組みが作りたい」これらの思いから、個人事業を開始しました。
事業は、「①製造業特化型コンサルティング、②完全カスタマイズ型コンサルティング(全業種対象)、③資格・スキル活用コンサルティング、④技術士合格講座」です。
「コンサルティング・相談、資料作成、教材販売、講演・講座・セミナー、執筆、メディア出演」を行っています。差別化として、「現役会社員」「リアルタイムの現場の感覚」「並立体現者」を打ち出しています。勤務先から教育を受ける、世の中の最新の動向知識も活かしています。
技術士合格講座は、上述事項に加えて、「添削(申込書・筆記・口頭)・模擬試験」も行っています。差別化として、「育休中の一発合格」「効率的な勉強ロードマップ」「解答テンプレート」を打ち出しています。
講演・セミナーは、事業開始から1年間で30件のご依頼をいただきました。この内訳は、専門事項(コスト(原価)・利益・改善・生産性・技術士)6割、体現事項(複業(副業)・資格活用・働き方改革・ジェンダー・男女共同参画)4割です。「『会社員・個人事業・育児・遊び』を並立している段取り方法は? 効率的に稼ぐ方法は?」このレクチャーをしてほしいとのご要望を強くいただき、お話しする機会がとても多いです。経営工学技術に基づき、公私共に実践している段取りと効率的な収益化をお伝えしています。
X(@komatsu88888)とFacebookは毎朝投稿し、ラジオゲスト出演やユーチューブ対談も複数回行っています。
個人事業のやりがいとして、お客様へ希望の道筋をナビゲートできること、経営工学技術を活用・展開できること、多分野の方と関わり新たな価値の創出に発展することがあります。結果を出した分のお金を直接得られることも嬉しいです。
-
セミナー講師 -
ラジオ出演
4.これから
現行活動を継続拡大し、経営工学技術を製造業以外の他業種へも展開・普及していきます。身近な技術として裾野を広げ、自身の人生も関わる方の人生もより豊かにできましたら幸いです。経営工学の技術者として、どこまで利益額を出せるか、公益の確保とお客様の利益確保に寄与できるか、尽力していきます。社会貢献として、小中学生の理科授業の支援活動もしていきます。
取り組める環境に感謝して、今後も励んでいきます。
- 2007年 食肉加工メーカー入社(現職)
- 2018年 技術士(経営工学部門)登録
- 2023年 コンサルタント開始(複業)
- 日本技術士会 経営管理チーム会員
- 日本技術士会 DEI委員会キャリアモデル
- 科学技術分野の文部科学大臣表彰(文部科学省主宰)元技術審査員
- 第一種衛生管理者
- ハム・ソーセージ・ベーコン製造技能士
- フォークリフト運転
- フードコーディネーター他
- 日系大手製造業勤務
- 利益改善コンサルタント
- 資格スキル活用コンサルタント
- 技術士合格講師
- グルメ、マッサージ、読書、旅
(本記事は、月刊「技術士」2024年11月号掲載の『活躍する技術士』を基にしました。活躍する技術士の現在の業務や推薦者の肩書は、掲載号当時のものです。)

