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金属部会

2005年(H17)7月から12月例会講演アーカイブス

所属は講演当時で示してあります。

2005年7月20日

テーマ:私の技術士業務体験談
講 師:二沢喬一郎氏(二沢技術士事務所)
(概要)
 講師は55歳でサラリーマンを卒業、技術事務所を設立、[1]事故原因解明、[2]品質向上支援、[3]生産性向上支援、[4]海外技術支援を中心に活動してきた(http://homepage2.nifty.com/nisawa)。
 海外体験は、中国、ケニヤ2回、ルーマニア、ポーランド、韓国2回、ジンバブエ、カザフスタン、モルドバ、クロアチアなど計10ヶ国12回29企業・団体の技術支援に関わった。気持ちの上で遠い国ケニヤでの活動が印象に残った。ケニヤでは、電縫鋼管、軽量形鋼の生産、めっき工場での品質向上、稼働率向上が目的である。日本での現場とは大きく異なりそのギャップは非常に大きかった。例えば、製管ラインの稼働率は37.2%,26.7%,6.4%と非常に低く、設備上、現場管理上の問題などが指摘される。工場幹部と現場作業者との接触は少なく(経営者/現場作業者,多民族の集まり・・・が原因と推測)。講師は“品質を作るのは現場作業者であり、生産効率を上げるのは現場作業者である”と考えており、作業現場のモチベーション向上に努めた。1日2回の工場巡回を自分に課した。その後、現場責任者10人を対象に“Technical-Meeting”を週1回開催し11回(約3ヶ月)に及び、その間、工場長、管理者の参加も得られた。一方,現場作業者から自作のスワヒリ語辞書(スワヒリ語と英語との単語を並べたA4,1枚)の提供、現場作業者の結婚の奉加帳が回って来たり、現場作業者から自宅訪問を誘われたり・・・また,講師の溶接技術を試されたり・・・短期間(講師滞在4ヶ月)ではあったが現場作業者とのコミュニケーションが得られ、稼働率の向上の効果を得た。後日、現場責任者の1人が日本の工場見学に派遣されて来た。数工場を紹介し同行した。また、ウズベキスタン(トラクター工場;金属加工) 、カザフスタン(パン工場;顧客要望への対応)他、多数の企業を指導。
 国内活動では“事故原因解明”を中心として,関連するPL対策,品質向上支援,生産性向上支援に努めた。対象は、製造メーカ、損保、弁護士、裁判所などである。事例としては、(a)車軸の破面解析により車軸のセンターずれから、設置業者の責任を指摘した。(b)トレーラー車の事故でシャフトが破断、運転者のミスかシャフト強度不足が問題になった。破断部調査から、表面焼き入れ深さ不足を指摘し、製造上の問題点を明らかにした。(c)高速道路での土留めアンカーボルトが破断した。破面観察から脆性破断が窺われた。破面の表面分析を実施Cl,K,Ca,Naが微量検出され,これらの結果から海砂の使用を指摘した。当初、工事会社はそれを否認、後日、認めた。(d)その他。
 技術士に関して;技術士とは何だろう?“サラリーマン技術士”“サラリーマン卒業技術士”“独立技術士”・・・
 企業の枠を卒業した“独立技術士の活動”を期待する。技術も複雑化する昨今,各技術士が専門性を発揮し相互に補完し合い、相乗効果を出すことで、より広いニーズに応えて行くことを期待する。

2005年9月21日

テーマ:地球環境問題について
講 師:須賀田正泰氏(須賀田技術士事務所)
(概要)
 講師は新日本製鐵から新日鐵化学を経て、1995年技術事務所を開設し、製銑技術に関し台湾・中国での海外技術指導、コークス関連の技術調査、都市焼却灰の溶融処理の技術指導に従事し、金属部会幹事として活躍。
 地球環境問題は、深刻さを増している。日本技術士会においても、地球環境研究調査委員会を設置し、地球環境問題を調査・検討し、提言を行ってきた。今回第3期の報告書から抜粋して報告する。
 平成17年2月京都議定書が発効し、日本は1990年比6%の二酸化炭素削減が義務付けられたが、2003年の実績では、1990年の排出量の6%減の目標に対して逆に8%増となり、合計12%削減が必要となった。日本政府は京都議定書の批准に当たって、2002年目標達成の方針として地球温暖化対策推進大綱を発表したが、今回の実績を受けて第2ステップ(2005〜2007年)として2005年4月大綱の見直しを行った。
 今回の報告は、2003年実績の増加要因の解析と新大綱の目標値との解離とその実現の可能性について述べた。大綱の分類によるエネルギー起源のCO2の内、産業部門は経団連の自主行動計画では、0.0%に対して新大綱では8.6%削減目標になっているが、調整は今後の検討として残されている。経団連の各団体の自主行動計画の目標達成の状況の解析からは、大幅なCO2削減のためには、製造工程の見直しがもっとも有効である。一方、逆に電気・電子工業会のように製品に関する省エネの貢献は大きいが、この努力は直接CO2削減には反映されていない。今後の課題である。またエネルギー起源のCO2の内、民生部門は32.9%、運輸部門19.5%の実績増になった。このため2005年の新大綱では、削減量の下方修正があったが、民生部門はこれに対しても依然として達成は難しいといわれており、クールビズを始め、省エネ機器への転換など各種の施策が必要になる。運輸部門では、CO2排出量が頭打ち傾向になり、今後ハイブリッド車などへの転換により新数値の達成が出来そうである。また、非エネルギー起源のCO2、代替フロンの排出削減は、既に目標を達成している。
 削減目標の3.9%分を占める森林などによるCO2吸収は、予算措置がなければ、達成が難しいとされている。また1.6%分の削減のための京都メカニズム(JI、CDM、排出権取引)の利用は、特にCDMについては、昨今の原油価格の高騰から日本の得意とする省エネ案件を京都メカニズムに使うことが難しい状態になってきている。
 このように日本は、目標を達成することは難しい状態にあるが、技術先進国としてなんとしてでも目標達成をする必要があると考えている。
 この他第一約束期間以後の国際的取り組みへの問題、将来技術として宇宙太陽光発電やCO2貯留技術開発の現状やクレジット価格に関連して温室効果ガスの技術管理や技術開発の方向が重要であることの報告があった。

2005年10月19日

テーマ:コネクタ用金代替めつき
講 師:平野富夫氏(日本ペイント(株))
(概要)
 講師はカルビー(株)から矢崎総業(株)に転職、電子部品の信頼性解析、コネクター材料、気相成長法炭素繊維の製法、太陽電池の製造法、ゾルゲル法による反射防止コートなどを研究し、PLZT強誘電体薄膜の定温形成法で静岡大学工学博士の学位を授与、2002年日本ペイント(株)に移り、「EL」自発光塗料の研究を現在行っている。
 講演者は現在準会員で2次試験を受験中のため、自分の技術経歴を紹介し、技術士を目指す訓練の一環として、矢崎総業(株)時代のコネクター用金代替めっきの開発について、その狙い、背景、技術について説明する。
 開発当時は日本が車社会となり、単なる移動手段から快適空間を求めると同時に安全追求など、これまで以上に高度な顧客要求が出されていた。 ECU(エンジンコントロールユニット)やエアーバックなど数多くの電装部品が車に搭載され始めたが、幽霊現象と呼ばれる原因不明で再現困難な不具合現象が多発した。
 自動車メーカから不具合現象が起こる可能性のある部品を全て高性能部品にするように求められた。自動車の神経や血管と言われるワイヤーハーネスの情報回路に関して、コネクター端子の接触の信頼性を高める検討行い、従来使用していたSnめっきに替え、Auメッキを採用し信頼性は向上したが価格が高く問題となった。
 価格を下げるためAuめっき厚みを0.4μmと薄くすると下地のNiがピンホールから表層に出て接触不良を起こし易くなる。コネクター用接点の主な故障モードは表面酸化、フレッテング磨耗、電気腐食などによるので、特に信頼性が重要なエアーバック用は2μmのAu厚めっき品(A/BGold)を使用し、その他の部分をAu0.4μmめっきの替りに、金価格が約1/3と安いPdを代替材料にすることを検討した。
 純PdかPd-Ni合金にするかの選択は、耐食性と硬さの関係から双方の最適値であるNi-Pd80%合金に決め、ピンホールテストの結果もAuめっき0.4μmに較べピンホールの数、腐食比率共に半分以下となり、表面観察からも明らかに耐食性が向上した。また、Pdは水素を吸蔵し脆化するので水素吸蔵量を比較、純Pdに較べPd-Ni合金は二桁小さいことを確認した。更にフレッティング磨耗の10万回試験でA/BGoldと殆ど同じであった。
 コネクター用Cu合金ばね材料の接点部分は突起状で、成形はめっき後に行っていたが、Pd-Ni合金の場合は成形時に亀裂が生じる場合が有り、成形後にめっきすることで解決した。Au0.4μmめっきをNi-Pd80%合金に替え、形成工程も変更、表面に薄い金フラッシュめっきをすることによって性能を維持しコスト低減ができた。
 実際に車載され5年間市場での不具合もなく大変好評であったが、Pd価格が金の3倍以上に急高騰、金に再び戻す結果になった。貴金属を使用する場合は価格変動を考慮したリスクマネジメントをしっかり行う必要がある。
 また、質問に答えて、自発光塗料の開発は市販されているフィルムからヒントを得て数十nm〜数十μmの粉末を利用、有機分散ELによってスクリーン印刷している。蛍光体は硫化亜鉛、誘電体塗料はチタン酸バリウム、発光体は硫化亜鉛である。

2005年11月16日

テーマ:最近のローラーチェンの動向
講 師:松野和正氏((株)椿本チエイン)
(概要)
 講師は 大阪府 立大学大学院工学研究科を卒業後、(株)椿本チエインに入社し、チェーン及びタイミングチェンの耐摩耗性や疲労強度の向上を目指した設計やチェーンの材料・加工の研究開発に従事し、現在も同社の開発・技術センター研究開発部でチェーン表面処理などの研究開発を行っている。
 今回の講演は一般の伝動に用いられるローラチェーンの規格と性能を解説するとともに、最近のスチール製ローラチェーン並びに最近開発したプラスチック製チェーンの技術動向を紹介する。
 ローラチェーンの規格は米国A型と欧州B型と2つあり、日本はA、B型双方を包含したJIS規格がある。構成部品は外プレート、内プレート、ピン、ブシュ及びローラで、連結部品は継手リンクとオフセットリンクで構成され、ピンとブシュは合金肌焼鋼に浸炭焼入・焼戻処理して表面硬化されている。ローラチェーンは摩耗による強度低下、ピン・ブシュの摩耗によるチェーンの伸び及び使用環境によって寿命が決まる。伝動能力はスプロケットの回転数nを横軸に、伝動kWを縦軸にした時、プレートの疲労強度、ブシュ・ローラの衝撃疲労強度及びピン・ブシュのゴーリングに囲まれたテントカーブと呼ばれる範囲内に制約される。  更に、寿命向上のために、継手プレートのピン穴周辺にリングコイン加工を行い、孔周辺に残留応力を発生させて疲労強度を向上させ、ブシュの内部にルーブディンプルを加工して潤滑油の保持効果により摩耗寿命が従来品と較べ30%向上した。その他、含油焼結ブシュ使用(Λチェーン)により無給油でも2倍の長寿命化を実現、これとフェルトシールを組み合わせた(X-Λチェーン)によって、Λチェーンの更に5倍も摩耗性能を改善した。また、亜鉛コ−トと特殊表面コートの2層コートによって耐食性向上とクロムフリー化が出来、塩水噴霧の腐食試験でも優れた耐食性を有することから屋外の駐車場や水産加工、洗浄装置などに使用している。環境面から騒音問題を改善するためにスチールチェーンのローラ部分にスプリングを使用して衝突音を緩和した低騒音ドライブチェーンなどがある。
 一方、搬送物の摺動傷を防ぎ、低騒音、サニタリー、軽量化、無給油などの特徴を有するプラスチック製チェーンが最近多用されている。トッププレートとリンク部を一体で射出成形後、連結ピンを嵌合して組立ている。低い摩擦係数の製品や抗菌、防カビを施したHACCP対応製品も製作している。プラスチックの弱点である耐熱性に関して、連続使用温度250℃で最高速度200m/minで耐薬品性、導電性、難燃性と食品衛生法に適合したスーパーエンプラや従来のチェーンとは歯の噛合いを異ならせ、接触箇所が常に多角形運動の上限にチェーンが保持されるリンク形状にし、低騒音を実現して従来に較べて14dB低減した製品がある。  そのほかに自動車用タイミングドライブシステム用チェーンも開発、実用化している。

2005年11月20日〜21日

見学会(香嵐渓、トヨタ自動車)
1.11月20日(日) 香嵐渓散策
 9時に東京駅八重洲口をハトバスで出発、首都高速道路、東名高速道路を快晴の中、サービスエリアで休憩を含め順調に走行、東海環状自動車道のトヨタ勘八インターを出て10Km先(約30分)の香嵐渓に向かった。ところが好天の日曜日、その先は車、車の大渋滞で約3時間かかった。4km手前で元気の良いメンバーは徒歩でバスより約30分早く到着、大きな岩石の川沿いに3,000本以上ある紅葉が夕日に映え、やがてライトアップされた美しい香嵐渓を散策しホテル松風に18時30分に到着、19時から懇親会、出席者は金属部会のほか建設、機会、情報工学、農業部会など参加者の自己紹介から始まり、大いに打ち解け愉快で和やかな懇親会となりました。

2.11月21日(月) 講演会、トヨタ会館見学、高岡工場見学
 9時30分にホテル松風を出発、9時45分トヨタ会館に到着、会議室にて講演を拝聴した。
 演題:トヨタのアーク溶接50年
 講師:トヨタ自動車(株)鍛圧・部品生技部 技術企画室 主査 松井仁志 様
(1)トヨタ生産方式
(概要)
 トヨタ生産方式の起源は、激動期の「金」も「技術」も無く、あるのは「人」だけだった苦難の時期に生まれた。その2本柱は「必要なものを必要な時に必要なだけ運び、後工程が前工程に引き取りに行く(pull方式)」のジャストインタイムと「異常が発生したら、機械やラインが直ちに止まる、機械を壊したり、不良品を作らない、人を機械の番人にしない」という「ニンベンのついた自動化」=「自働化」である。またバブルと後遺症への対応として固定費を削減し「設備の寄せ停め、シンプル化、フレキシブル化」を実現したが、一方、情報システム、ハイテクと製造現場とのミスマッチなど情報システムの過信、分業による細分化、組織の近代化、フラット化による効果の一方で、基本技能の低下の恐れがでてきたためその対応策も検討してきた。
 21世紀は自然との共生を目指しボーダレスネットワーク、科学技術変革「ITとバイオの時代」に向けて「車のものづくり」も、[1].グローバルからボーダレスへ、[2].ネットワーク(IT革命)による情報の同時化と共に製品の世界同時化・同一化など、[3].循環型経済システムの確立を目標としている。
 これからの企業に求められるものは「環境・循環型社会への貢献」「人類共通の問題解決への協力」「徳のある、尊敬される企業としての企業倫理の確立」が重要であると考えている。
 これからの社会は人に認められる「ものづくり」への挑戦であり「品質・性能」と「感動・喜び」の追求である。
 トヨタの「ものづくり」における取り組みは、[1].商品開発及びオーダーからデリバリーの期間短縮、[2].「ものづくり」の更なる高度化・精度アップ、[3].グローバルで取り組みITの活用によるトヨタ生産方式の更なる進化をさせることに挑戦していくことである。(トヨタ生産方式の詳細説明は省略)
 その基盤となるのは日本の「ものづくり」の強さの上に、「人間くさいものづくり」(=物を作るのは人間)であり和と連携(チームワーク)、全員参加と現地現物主義(現場との一体感)、人間尊重(創意、やる気、活力と人間の五感や感性、感情を大切にすることを前提とした「ものづくり」は「人づくり」であるとの理念の基に、育成のスピードアップをすることであり、その基本となるのはトップの姿勢、歴代トップの「ものづくり」の哲学に基き、周りの情報に踊らされずに信念をもって取り組むことであると考えている。

(2)自動車部品のアーク溶接50年
(概要)
 国産自動車、トヨタ初代のクラウンを開発した中心人物が主査中村健也氏であり、この中村氏がクラウンの車体設計から製造技術の開発に取り組み、自ら溶接機も開発し、ボディ成型用の大型プレスの製造にまで関わり必要なものを全て自分達の手で完成させた。その中村氏が嬉しかったのは「クラウンが売れたときより、溶接機のことで英二(豊田)に褒められたことである」と語ったと書物に残されている。このように自分達の手で「ものづくり」を目指し、こつこつと改善を積み上げた成果が、大発明はないが今日のトヨタになったのだと考えている。
 このようにトヨタの自動車車体の加工技術は溶接技術と密接に関係している。昭和25年にステアリングメインシャフトをフラッシュバット溶接で行ったことに始まり、昭和30年に外板溶接にヘリアーク溶接、32年にプロペラシャフトの溶接、昭和35〜36年炭酸ガス溶接によってフロントフレーム、ハウジングエンドをフラッシュバット溶接で行い、昭和40年に摩擦溶接になった。昭和44年セッションギヤを電子ビーム溶接で行い昭和51年にはプラズマアーク溶接に、そしてはんだ付部はアーク溶接に変えた。ボディはガスメタルアーク溶接になっていった。
 溶接においても「ムダ、ムラ、ムリ」を徹底的になくすための実例を幾つかご紹介戴いた。例えば、溶接ワイヤーの供給ドラムに残量検知器を設置して、取替え時期を事前に感知してムラをなくすとか、ワイヤーパックの捻り収納によって溶接中のワイヤーねじれの発生を防ぎムリをなくした。また、エンドレスパックにするためコイルの後端と先端をバット溶接し、更にスペースの無駄をなくすために横置きを縦にしてエンドレスリールにした。先、後端の接合もろう付けに替えてバット溶接の欠点のバリをなくし、より効率を上げる地道な改善を行ってきた。
 薄板構造における継ぎ手は構造的な設計の変更とそれにあった接合法が検討されてきた。ブラッケットをMAGからMIGのシーム溶接にかえ、メインボディはスポット溶接からCO2溶接に変更し、次にMAG溶接による接合に替わった。その後、薄板の場合はミグ溶接によって、製品設計のフレキシビリティ、すなわち多種の継手形式に適合、母材の変動に余裕度がありビード表面形状、硬さ分布の滑らかさが得られ、ロボット溶接への適合性、生産性とコストが両立し、溶接現象の診断と適応制御が認められたことで採用されている。パルスGMA溶接は電磁ピンチ力を高め液滴の細粒化、液滴変形能の向上がはかれ、トランジスター・インバータ電源とワイヤー組成によってスパッタの低減もでき、ワイヤーの巻き戻しとトーチリフトを調整しノンスパッタ・アーク点弧が可能となった。
 最近の適応制御技術の開発として溶融池振動による溶け込み適応制御を研究していて、パルスGMA溶接ワイヤーの改良とワイヤー成形形溶接トーチにより溶け込み適応制御が出来るようになった。自励発振低周波パルス溶接によって周波数と時間経過によるパルス電圧、電流との相関から溶け込み深さや溶融池の制御を可能とする開発に取り組んでいる。ご講演いただきました、主査松井仁志様に深謝いたします。

ロボットの演奏およびトヨタ会館前での全員集合写真(拡大画像へのリンク)

ロボットの演奏およびトヨタ会館前での全員集合写真

(画像クリックで拡大 37KB)

3.トヨタ会館見学
(概要)
 トヨタ会館は正面入り口にロボットが展示され定期的にラッパ演奏している。館内は順路に従ってトヨタ自動(株)が今日まで発展してきた経過やトヨタ生産システムの起源、その内容を詳細に映像やパソコンなどによって知ることができる。また、ハイブリットカーとして注目されているプリウスなどの自動車からコンセプトカー、未来の夢のある自動車、そしてトヨタF1カーの展示に加えて、現在生産している評判のレクサスなど、最新自動車の各車種を展示、車内に乗り込み感触を体験出来るようになっている。

4.高岡工場見学
(概要)
 工場見学は企業PR部の佐武様のご案内で一般見学者通路を通り、トヨタ生産システムに従ってジャストインタイムにより「かんばん」をつけた部品が到着する所から始まりエンジンの組立ライン、車体の取り付け、ドアの取り付け、伝送部品など次々と車が組み立てられていくラインと、組立終了した車の最終検査工程でライトの焦点合わせや車の高速回転試験など順次機能検査が終了した車が工場から出荷されていくまでを見学した。
 その後、溶接工場に行き松井主査様のご講演にあった機種の異なる車の車体周囲のスポット溶接、アーク溶接をロボットにより連続的に溶接していく豪快な現場を見学させていただきました。これらの生産ラインを設計し立ち上げるのは一朝一夕に出来るものではなく、長い間のたゆまない改善の積み重ね、技術のノウハウ並びにしっかりと教育された従業員一人一人がトヨタ生産システムを理解して作り上げた成果であると深い感銘を受けました。

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