新年会
場所:ニューオータニイン東京「ももきりの間」(JR大崎駅)
時間:18:00〜20:30
演 題:新倫理綱領について
講 演:神戸良雄氏(カンベ技術事務所)
社団法人日本技術士会の元副会長、元理事、元金属部会部会長などを歴任され、現在選挙管理委員長であり、倫理委員会副委員長、倫理綱領小委員会委員長である講師が、現在の副会長であり前期の倫理委員会委員長である山崎氏からの依頼を受けて「新倫理綱領案」をまとめるまでの経緯や内容について現状を解説されたものです。
内容
(社)日本技術士会の倫理綱領(倫理要綱)の歴史は古く、1961(昭和36)年に初めて制定され、1983(平成58)年の技術士法の全面改正の後、平成11年に改訂されて現在に至っている。その後、2000年に技術士法が一部改正されて、国際相互承認(第2章の2)、技術士等の義務(第4章)他が新しく取り入れられている。また、2007(平成19)年に「技術士プロフェッション宣言」が公表され、2009(平成21)年には、APECエンジニア及びEMF国際エンジニアが関係するIEM会議が京都で開催されIEA倫理規定が採択されている。これらを取り入れるとともに、倫理綱領に関しては進んでいる米国の技術者協会等の倫理綱領内容を取り入れて改訂作業が進められた。
改訂作業は、2005年から発足した倫理委員会で取組み始められ、その後、2007年からの倫理委員会(山崎宏委員長)では、(社)日本技術士会の倫理問題に関心の深い会員を結集して、杉本泰治氏の指導の下で、「技術者倫理研究者会議」を発足するなど活発な活動が始められた。また、「(社)日本技術士会登録グループ技術者倫理研究会」の定例研究会で倫理綱領の検討が始められ、倫理綱領案が提示された。この提案を受けて2009年から始まる現倫理委員会(水野委員長)で最終案が作成され、(社)日本技術士会のホームページで公開されて広く会員からの意見を徴収すると共に、水野委員長が各支部で説明会を開催されるなど内容の精査が行われた。改訂案は、上記の様に、3期に亘る倫理委員会の担当メンバーにより鋭意討議されて作成されたものである。
平成23年1月開催の理事会には、HPに会員から寄せられた様々な意見を取り入れた改正案が提案され、3〜5月の理事会で検討・結論が得られることになっている。
今回の検討では、従来の「倫理要綱」から多くの学協会で採用されている「倫理綱領」に名称を変更し、その改定案の構成は、前文、基本綱領、細則(手引き)から成っている。 最も重要な基本綱領は、10項目(公衆の利益の優先、持続可能性の確保、有能性の重視、真実性の確保、公正かつ誠実な履行、秘密の保持、信用の保持、法規の順守、継続研鑽)から構成されている。更に、本案は、倫理綱領の具備すべき7つの原則(公衆優先、持続性、有能性、真実性、誠実性、正直性、専門職)、27のモラル要素、9の義務を踏まえて作成されている。
今回の講演では、上記の倫理綱領に関連する情報、倫理綱領の考え方、改訂の必要性等についてその詳細を説明した後、本年、平成23年1月に理事会に提出された倫理綱領の内容について、金属部会の会員各位の倫理綱領に対する関心を高めて戴くことを目的に講演されました。
東日本大震災の為中止
(次の講演は6月15日に延期いたしました。)
演題:鉄鋼表面処理技術の動向
講演:望月一雄氏(参与 日本パーカライジング(株)製品事業本部マーケティング部 製品開発研究所 ADテーマ統括室)
幹事会
場所:ニューオータニイン東京「ももきりの間」(JR大崎駅)
時間:18:00〜20:30
部会及び第一次、第二次技術士試験合格者歓迎会
演題「鉄の元素戦略」
講演:田村元紀氏(東京農業大学教授 工学研究院応用科学部門、物質機能応用(兼務))
【自己紹介】
講師は技術士(金属部門)であって、東京農工大学産官学連携推進部長および工学研究院応用化学部門の教授、工学博士。東京大学理学部卒業、同理学部系大学院地質学 修士課程を修了、マサチューセッツ工科大学材料科学専攻修了(工学修士)。新日本製鉄(株)技術開発本部主幹研究員、文部科学省研究振興局調査員などを歴任し現在、大学のポテンシャルを発掘・活用下、社会・産業とのWIN-WIN関係の構築に携わっていますが今回はその一端をご紹介戴きました。
【内容】
文部科学省で平成17年に元素戦略プロジェクトを立案した際に、初めに頭に浮かんだのが「鉄の元素戦略」であった。希少金属資源を使わずに組織制御により様々な特性を造り込むのは日本鉄鋼業の先進技術である。希少金属の元素機能の研究は鉄のようなベースメタルの研究と一体で進めることで、さらに新たな展開をするのではないだろうか。
生命と地球という大きなタイムスケールで鉄の機能を考えると、地球史のなかでは鉄の様々な機能が刻印されているが未解明な部分も多い。鉄の機能の研究は、金属学や化学だけでなく、生物学、地球科学、物理学や社会科学といった多くの学問領域に関わる。
鉄は地球生命と深い関わりを持ち、どこにでもある元素で一般構造材料として多用されているが、他の金属元素と異なる特異な特性がある。宇宙や地球、生命、人類の歴史を考えると、様々な側面で鉄が重要な役割を果たしてきた。地球の重量の1/3は鉄であり、鉄が磁場を形成し有害な宇宙からの放射線を退け生物が地表面で暮らせる。
血液中のヘモグロビンは鉄を中心とした構造であり、酸素を体の隅々に運ぶ。人類の経済や産業は鉄鋼の強度を活かした道具や建築物を利用することで発展してきた。最近、超伝導や触媒の分野で鉄を含む化合物の新たな特性が報告され話題を呼んだ。大量に存在する鉄は希少金属資源確保の問題からは遠い存在に見られるかもしれないが、鉄の潜在機能を見出し有効に活用することで、希少資源の有効利用にも通じ、ひいては元素戦略の新展開が図れる可能性がある。
元素戦略は、資源問題解決にとどまらず低炭素社会や安全安心社会の実現や、新機能の発見や生命起源の解明といった学術分野の発展にも貢献する。「鉄の元素戦略」研究は、それを予感できる内容とポテンシャルを備えている。
田村先生の御講演は鉄をグローバルな視点からみると、まだ多くの未知の世界があり、従来から抱いていた鉄に対する先入観を覆すインパクトのある内容で、何か新しいことが生み出されるエネルギーを内蔵しているご講演でした。
演題「技術士と公設試験研究期間」
講師:宮川和幸氏(山梨県工業技術センター 企画情報部 総合相談・研究管理課 主任研究員)
【自己紹介】
講師は昭和40年生まれ(45才)、山梨県出身で平成元年3月、明治大学工学部機械工学科を卒業、同年4月山梨県庁に入庁し、山梨県工業技術センターに配属されました。平成5年4月山梨県高等技術専門学校に異動、平成8年より再び山梨県工業技術センターに異動。木材加工関連業務や職業訓練業務を経て材料関連の業務に携わり現在に至っています。技術士(金属部門)。
【内容】
「公設試験研究機関」とは地方公共団体が設立した試験所、研究所その他の機関であり、試験研究および企業支援に関する業務を行っている。農業系、林業系などいくつかの分野ごとに設置されているが、今回は講師の勤務する山梨県工業技術センターを例に挙げてその業務について紹介された。
山梨工業技術センターは県内中小企業が抱える技術的課題の解決や新技術・新製品開発等の支援を通じて、競争力のある中小企業の育成・集積を促し、地域産業の振興・発展に寄与することを目的としている。この目的を達成するため、「技術支援」「研究開発」「人材育成」「情報提供」の考えを基本に様々な業務を推進してきている。
ここでは企業との共同研究の例として、(a)溶接部入熱管理システム、(b)大型高強度溶接ベローズの開発の2テーマと放射線測定など最近の業務のトピックについて報告されました。
★(a)の溶接部入熱管理システムは、(社)山梨県鉄構協会の要望に基づき、山梨県工業技術センターが開発した溶接時のパス間温度、入熱量が管理できるシステムである。これまでは、JASS6における基準としてパス間温度は350℃以下(開先端より10mmで測定)、入熱量は各パス40,000J/cm以下と、基準では決まっているが、データの収集・管理方法や信憑性が確立されていないことや記録の保存、管理をするには「温度チョーク」や「表面温度計」では困難であった。こうした問題を解決するために、パス間温度が350℃を超えると作業者に休止指令を出すことや、センサーによって溶接近傍の溶接時の電流・電圧、母材温度を計測・保存するシステムが構築され、試作することができた。
★(b)の大型高強度溶接ベローズの開発は、産学官でコンソーシアムを結成して半導体製造装置向けに、大型高強度溶接ベローズの開発を行ったものである。ベローズは真空機器・分析機器などに幅広く用いられている蛇腹構造を有し、締結した部品同士が気密性を保ちながら伸縮可能な管形の部品である。シリコンウェハー大型化(300mm)に対応して、半導体製造装置の仕様変更などから、従来のSUS304製のベローズを単純にスケールアップすると座屈や耐食性が問題となるために、材質変更により長寿命・高強度のNi基超合金、ハステロイC-22を用い、自動化して溶接品質の向上と合わせて口径460mm、自由長346mm、疲労試験100万回、ストローク200mmの大型溶接ベローズの開発をYAGレーザー溶接によって行い、300mmウェハにも対応可能な大型溶接ベローズを世界で初めて商品化することに成功した。
更に、講師の考える技術士と公設試(および勤務する職員)の共通点・相違点などをについて紹介し、これを契機として、公設試験研究機関に関する理解を深めて戴き、大いにご利用いただければ幸いとの言葉で締めくくられました。
講演「鉄鋼表面処理技術の動向」
講師:望月一雄氏(参与 日本パーカライジング(株)製品事業本部 マーケティング部 製品開発研究所 ADテーマ統括室 室長)
【自己紹介】
講師は1973年3月早稲田大学(金属工学)を卒業、1975年3月東京大学(冶金学専攻)修士課程卒業後、川崎製鉄(株)に勤務し技術研究所にて表面処理鋼板の開発に25年間従事されました。その後、薄板セクター部で容器用鋼板の事業戦略策定に携わり、現在は日本パーカライジング(株)製品事業本部でマーケティング部と製品開発研究所を兼務されています。
【内容】
鉄鋼表面処理は高い生産性の連続式設備で薄鋼板を製造するための製造技術および品質設計の技術である。表面処理は防錆や種々の機能性を付与する目的で、成形されて組み立てられた部品に金属めっきや塗装などのいわゆるポストコートが行われていた。これらは、次第に表面処理鋼板(広義のプレコート製品)に置き換わっている。鉄鋼表面処理の技術は、高い生産性、均一な品質などの優位な性能を高める一方で、プレコートでは不可避なプレス加工性、プレスによる皮膜損傷、スポット溶接性、端面や加工部の耐食性などの課題を克服して発展している。
鉄鋼表面処理の需要分野は、国内では自動車、建設、家電機器、容器、その他と分けられる。近年、自動車分野の使用量が拡大している。自動車分野では、防錆目標や法規制の進展とともに亜鉛めっき鋼板の需要量が増加し高機能化が図られている。現在多く使用されているのは合金化溶融亜鉛めっき鋼板である。建設分野と家電機器分野では、白錆防止を基本的な機能とする化成処理皮膜あるいはおよび意匠性を目的とした塗装皮膜を有する亜鉛めっき鋼板が使用されている。建設用鋼板は、屋外における紫外線や海塩粒子などの過酷な環境に耐えるために高耐食めっきをベースとした高耐久で意匠性に富んだものである。一方、家電機器用鋼板は耐指紋性、成形性、成形後の耐食性などの機能を付与されている。容器分野では、LTS(薄錫めっき鋼板)あるいはTFS(Crめっき鋼板)、ラミネート鋼板が使用されている。近年、小型ペットボトルの適用拡大が進み、これら鋼板の需要量は減少傾向にある。
2006年から2010年の表面処理鋼板に関する公開特許から、これら需要分野における要求性能を表1にまとめた。高機能・低コストのニーズは、自動車分野では合金化溶融亜鉛めっき鋼板のプレス成形性の改善技術が多く、建設・家電機器分野では新たな種々の機能の要求が見受けられる。低環境負荷に関しては、家電機器分野におけるRohs規制対応技術の検討が進んでおり、建設・容器分野でも技術的検討は進んでいる。CO2削減に関しては、車体軽量化のための高強度鋼板の使用比率が拡大しており、これに応じた化成処理性改善技術が検討されている。資源枯渇に関しては、需要分野を特定するものではないが、亜鉛代替を目的としためっき金属と合金組成、製造条件の検討が進んでいる。
日本パーカライジング(株)はグループ企業も含め、表面処理鋼板の製造プロセスに対応する種々の製品を供給している。主なものとしては、アルカリ脱脂剤、冷間圧延油、調質圧延剤、鉄粉除去装置、CGlおよびEGLの後処理薬剤、防錆油等がある。また、アジア地区へ合弁会社を経由した製品の提供も可能である。など本講演では表面処理技術に関して、最近の特許動向を含め広範囲の内容を解説、紹介されました。
高機能・低コスト | 低環境負荷 | CO2削減 | 資源枯渇 | |
---|---|---|---|---|
自動車 | プレス性改善技術 | 鉛−錫めっき代替技術 | 高強度鋼板化への対応技術 | ― |
建 設 |
加工部・端面耐食性 耐汚染性、意匠性向上 |
化成皮膜・防錆顔料の低環境負荷技術 | ― | 亜鉛めっき代替技術 |
家電機器 | 電磁波シールド特性等高機能化技術 | 化成皮膜の低環境負荷技術 | ― | めっき省略・節約技術 |
容 器 | ラミネート鋼板の品質改善技術等 | 化成皮膜の低環境負荷技術 | ― | ― |
講演会
演題「非鉄金属(機能材料)の実験とシミュレーション」
講演:佐藤知広氏(株式会社 栗本鐵工所 技術開発本部 材料技術開発部素形材グループ 技術主任)
幹事会
講演会
演題「国内におけるレアメタルのリサイクル方法とその事例」
講演:佐藤智幸氏(松田産業株式会社 生産本部 技術部 技術開発課)
見学会
場所「海洋研究開発機構」と「記念艦:三笠」(神奈川県横須賀市)
演題「太平洋海底に眠るレアメタルについて」
講演:鈴木勝彦氏(海洋研究開発機構 主任研究員)
見学:深海探査船しんかいなど研究施設及び日本海戦でバルチック艦隊を撃破した戦艦「三笠」
講演会
演題「独立行政法人の一研究員として、一技術士として」
講演:田中秀明氏(独立行政法人 産業技術総合研究所 ユビキタスエネルギー研究部門 エネルギー材料標準化グループ 主任研究員)
幹事会
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