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2026年6月 建設部会講演会(報告)
1 開催概要
■日時:令和8年6月17日(水)18:00〜19:30
■場所:機械振興会館 6階 6D-4会議室
■講演方法:会場(対面)/ WEB会議方式
■講師:東出 成記 氏 技術士(建設部門)国際航業株式会社 技師長
■演題:インフラ・防災DX、いかにイノベーションを起こすか
〜「技術」と「社会」をつなぐ戦略と実践〜
■参加者:会場27名(内訳:会員25名、非会員2名)、Web参加者148名
2 講師紹介
東出成記氏は平成3年に建設省(現・国土交通省)に入省し、主に河川や防災分野に従事され、その後、内閣府の科学技術・イノベーション推進事務局にてインフラ・防災担当の参事官、国土地理院の参事官を歴任し、省庁横断的な施策の立案に携わられた。
現在は、国際航業株式会社の事業推進部にて技師長を務め、国の政策・技術動向の分析や事業展開を推進されている。また、社内の「AIアンバサダー」として、自身でも生成AIによる3Dマップ作成等のプログラミングを実践しながら、新技術の普及活動を牽引されている。
3 講演内容
本講演では、激甚化する災害、インフラの老朽化、人手不足といった社会課題に対し、建設・インフラ業界がいかにDX(デジタルトランスフォーメーション)やAIを活用してイノベーションを起こし、事業機会を拡大していくべきかについて語られた。
3.1 科学技術予算の拡大と活用戦略
日本の公共事業予算はピーク時から比べると厳しい状況が続いているが、一方で科学技術予算は右肩上がりで増加しており、5年間で約40兆円という巨大な予算が組まれている事が示された。東出氏は、国土交通省の予算だけでなく、経済産業省や文部科学省、防衛省に計上されているAI、自律化、ロボット関連の科学技術予算が、インフラや防災分野でも大いに活用できると指摘され、国交省のホームページだけでなく、内閣官房・内閣府が主導する「成長戦略会議」や「骨太の方針」といった上位の政策動向をいち早く察知し、予算獲得に向けた準備を整えることの重要性を強調された。
3.2 DXの本質と技術者の強み
DXの目的は、単にデータをデジタル化することではなく、働き方や文化を含めてビジネス全体を根本的に変革し、現場の「課題解決」に結びつけることにあることを示唆された。例えば、気象予測やインフラ市場にIT企業が続々と参入してくる中で、データの処理能力ではIT企業に分があるものの、「災害現場の緊迫感」や「役所・現場の文化」といった深い理解が不足している。そのため、建設コンサルタント業界であれば、IT企業と対等に協業しつつ、現場の最前線で培われた実践知を武器にして「データを読み解き、いかに解決策を導き出し意思決定するか」という領域に注力すべきであることについて認識を深めた。
3.3 AI・データの具体的な活用実践と展望
最新技術と専門的知見を掛け合わせた具体例が紹介された。気象の「アンサンブル予報」のデータを読み解き、台風接近前にダムの水を事前放流する取り組みや、人工衛星データを活用した被災状況の早期把握などが挙げられた。また、国土地理院時代の事例として、地震発生後15分以内に過去の「地形分類」のマトリックスから液状化や斜面崩壊を推測するシステムも、現場を知る技術者ならではの発想から生まれたと紹介された。
さらにAIの業務利用については、「100%の正確性がなくとも、7〜8割の精度で圧倒的に早く回答を出せる」という特性を活かせば、速報性が求められる災害対応などに有効であるとの見解を示唆された。
■ 結び
東出氏は、技術士が持つ「公益確保」の使命感と卓越した専門性こそが、DXやAIといった新技術を現場の真の課題解決へと昇華させる鍵であると示唆した。そして「技術は、現場の経験を知る者の手に渡ってこそ、社会を変える力になる」という力強いメッセージと共に、インフラ・防災の最前線に立つ技術士が、次世代へ向けて強靭な社会基盤を引き継いでいく主役となるよう強い期待を寄せ、講演を締めくくられた。
以上
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