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建設部会

2021年9月 建設部会講演会(報告)

日 時:2021年9月15日(水)18:00〜19:30
講演名:「BIM/CIMに関する最新情報」〜三次元納品への動き〜
講演者:日本建設情報総合センター 研究開発部 主任研究員 影山 輝彰 氏
講演場所:機械振興開会 6-66会議室
参加者:会場参加者13名(会員11名 非会員2名) WEB参加者149名

1.はじめに
 BIM/CIMの関する最新情報について、「ICT技術の進化と新語」、「モデル(model)」、「3D-CAD」、「3次元モデルの活用」、「BIM/CIMに関する基準要領」の5つのテーマについてご講演いただいた。

2.ICT技術の進化と新語
 現在、科学技術の国際的な巨大化・複雑化の進展に伴い、技術者が柔軟な発想による技術の組合せや改善を通じて新たな付加価値を創造できる環境がより身近になっている。
 技術者が計画を実行するためには、他人に理解してもらう必要があり、様々な媒体を通じて、表現する必要がある。近年では、コンピュータの進歩に伴い3D-CADやVRなども計画に用いられている。これらの技術を基にした、BIM/CIMが進められている。
 また、建設現場のICT活用は、「目的を達成するためのひとつの過程を効率化する道具」に過ぎないと再認識することが肝要である。ICTを活用するには、目的と手段を明確化し、各場面に応用できることが技術者の肝である。

3.モデル(model)
 設計や施工(製造)における情報媒体や情報伝達の方法は時代とともに進化し続けている。その背後には、学術の発展、新たな発明や技術開発や工夫の積み重ねがある。現在の製図(2次元図面)は、使用されてから百年程度である。科学技術の進化の速度が急速に速まっているのは、過去の歴史より明らかである。
 その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが革命的にもしくは劇的に変化している。
 しかし、建設分野では、基準要領や示方書は2次元であり、基礎支持力の計算(カール・フォン・テルツァーギ(Karl von Terzaghi)など公式で十分通じている。設計・施工(製造)分野の流れは、コンピュータや機械が読んで「理解」出来るオブジェクト指向技術に基づいた3次元モデルに急速に移りつつある。

4.3D-CAD
 3D-CADソフトは図面を製図する道具ではなく、物体(オブジェクト)を設計する道具である。オブジェクトの幾何形状に属性情報として、材質などの特性を付与することができる
 機械、建設、土木分野に特化した複数の3D-CADがある。作成過程が異なる複数のオブジェクトが存在するため、各オブジェクトが持つ情報の交換標準が必要で重要となる。

5.3次元モデルの活用
(1) 日本自動車工業会
 自動車業界は、「開発期間短縮」、「コスト削減」、「品質向上」、「グローバル化」を自動車開発の重要な目標として掲げ、自動車メーカと部品メーカが密接な協力関係を保ちながら、この目標に取り組んでいる。
 これらを実現すべく注目されている手段の1つに、自動車開発サイクル全般を通じた「設計情報を反映した3Dモデル主体の業務形態」への移行がある。
(2) 電子情報技術産業界
 電機精密産業界に3次元CADが導入されることにより、機械設計業務における三次元設計が定着し、3Dモデルを活用したCAD・CAM・CAEを中心とした開発革新が広く行われるようになってきた。ただし、一部金型設計・金型加工で3Dモデルを活用しているものの、製造現場では2D図面の必要性が求められているのが現実である。
 このような状況の中で、一般社団法人電子情報技術産業協会三次元CAD情報標準化専門委員会が2007年9月に設立した。ツールに依存しない三次元CAD情報を有効に活用する産業界標準の確立と、関連 業界内に広く普及させていくことで、設計・製造の革新と高度化を図り、我が国のものづくり技術の進歩に貢献することを目的としている。
 2013年3月(三次元CAD情報標準化セミナー)には、2012年4月の欧州海外調査結果と中期計画検討により、3D単独図から3DAモデル(3DAnnotated Models:3D製品情報付加モデル)とDTPD(Digital Technical Product Documentation:デジタル製品技術文書情報)へのパラダイムシフトが述べられている。
(3) 公共工事
 公共工事(良くわかる設計と工事の図面 平成29年3月,国土交通省北陸地方整備局)では、図面の分類と定義について以下のとおり示されている。
・「設計図」とは、工事目的物の規格寸法、並びに設計施工条件を明示した図面。設計者は、発注者から貸与された地形図等を使用して、業務委託の契約図書に基づき「設計図」を作成し、発注者に納品する。
・「参考図」とは、「当初設計図以外」で、入札公告時に参考提示する図面。発注者は、設計者の業務成果を元に「参考図」として積算の考え方を明示し、入札公告時に提示する。施工者は、「参考図」を工事価格(入札価格)算定のための数量計算及び積算、並びに施工において参考としても良い。

6.BIM/CIMに関する基準要領
 『発注者におけるBIM/CIM実施要領(案)(以下、「本要領」という。)』は、国土交通省 直轄事業におけるBIM/CIMの活用について必要な事項を定め、公共工事等の品質確保を図り、もって行政事務の円滑かつ効率的な実施に資することを目的とする。
 国土交通省では平成28年を「生産性革命元年」と位置づけている。ICT等の活用にあたっては、建設生産・管理システムの各段階における部分最適化を図るだけでなく、全体最適化を推進することが重要である。本要領は、ICTの全面的な活用の推進の一環として、国土交通省直轄事業にBIM/CIMを活用するに当たって、発注者(調査職員、監督職員、検査職員等)が必要とする事項の適用範囲、基本的な考え方、実施事項や留意事項等を示したものである。

7.おわりに
 講師の一般財団法人日本建設情報総合センター 研究開発部 影山 輝彰様には、「BIM/CIMに関する最新情報」について、わかりやすくご説明いただきました。限られた時間の中でしたが活発な質疑応答も行われました。今回の講演会の講師をお引き受けいただいた影山輝彰様に心より感謝申し上げます。
以  上
講演会担当:村山、河北、片山(記)
WEB配信担当:反町、太田、山岡、曽根、越後

写真ー1講師(影山輝彰氏)(拡大画像へのリンク)

写真ー1 講師(影山 輝彰氏)

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写真ー2講演会風景(拡大画像へのリンク)

写真ー2 講演会風景

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