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建設部会

2019年5月 建設部会講演会(報告)

開催日時:2019(令和元)年5月17日14時00分〜16時00分
講演名 :AIを用いた建設混合物自動選別工場
講演者 :(株)シタラ興産 設楽竜也社長、宮下智則本部長 他
講演場所:埼玉県深谷市折之口1977 サンライズFUKAYA
参加者 :23(1)名 ( )内は非会員

1.はじめに
 サンライズFUKAYAは、経済産業省の平成28年度ロボット導入実証事業に採択された「屋内型混合廃棄物選別施設」で2年半程度運用している。対象としている廃棄物は、建設現場や同業他社で分別できなかった5%程度の建設廃棄物を処理している。
 現地は、池袋から高速を利用して1時間30分弱の距離にあり、新規事業を立ち上げるに当たって本社施設の近隣で大手家電メーカーのブラウン管工場跡地に建設した。

2.産業廃棄物について
 1997年度廃棄物処理法の改正によって産業廃棄物のマニフェスト制度が義務付けられ、1998年12月より施行され、産業廃棄物は排出事業者の責任において適正に処理しなければならない。(廃棄物処理法第3条)
 処理については、産業廃棄物処理業の許可を持つ処理業者に委託することができ、その産業廃棄物が適正に処理されたことを、最後まで確認する必要がある。(法第12条第5項)
 確認方法としては、排出事業者にマニフェスト伝票の発行・回収・照合を義務付けるマニフェスト制度を定め、排出事業者が適正処理完了を確認する具体的な方法を明確にしている。
 当該事業においてもマニフェストで確認・運用されているが、選別機械がAIによる最先端の機能を用いているものの、電子化は20%程度で、残りの80%は紙によって処理されている。
 シタラ興産は中間処理業者であり、中部・東北等で最終処分を行っている。これは、廃棄処分とリサイクルでは1.5倍の価格差があり、廃棄物持ち込み業者の希望に添って適切に処理している。

3.分別処理の概要
 搬入された混合廃棄物は、二軸破砕機で破砕し、パリオセパレータで傾斜・揺動により軽量、細粒、重量物の3種類に分別する。その後、磁選機により金属を分離し次工程に移る。
 軽量物は、選別コンベヤにて人力選別して終了。細粒物は、重量物のAI選別の後工程に移る。
 重量物は選別コンベヤを移動しながら2本のロボットアーム(AI)で選別し、最終的に2名の肉眼でチェックする。その後、破砕機にて更に細かくし、前工程の軽量物と合流してベルトフィーダ、振動フィーダ、比重砂選別機、油分分離機、二軸剪断機等を経て終了する。
 室内の粉塵対策は、集塵機、ミスト噴霧などにより行っている。肉眼チェックをしている作業員は防塵マスク等を装着すると共に、通常は2時間、夏期には1時間で交代している。
 この人為的選別については、現時点では精度の懸念から完全AI化には至っていない
 アスベストなどの危険物については、搬入時に目視で確認し必要に応じて分析表の提示を依頼しており、AI選別の最終段階でも肉眼での選別を残している。

4.AIによる作業
 AIによる選別の前に、40mm以下をふるいで分別し軽量物は風で分別する。
 ロボットによるピッキングは、2,000個/hの早さで4種類の重さに分別し、サイズ感があるものを掴み、軽いものは掴んでも放すようにしている。
 現在は、16種類の学習をさせており、新規種類がある場合は1種類当たり100ピース程度を学習させている。
 装置の維持管理・資機材改良については、2週間毎の破砕機部品交換やベルト強度改良など、同社が独自に行っているもの、フィンランドのロボットメーカーとインターネットで常時情報共有すると共に、技術者が1回/3ヶ月のペースで来日している。

5.おわりに
 現在までの投資は資本規模の28倍にも及び、今後も更なる投資を計画しているとのこと。
 人手不足の状況が続く中、AIによる作業効率化、スピードアップ、人間による苦渋作業の低減など大きな結果が得られており、更なる研究開発と普及が望まれる。

講演担当:河内、武曽、近藤(文責)

写真ー1工場見学の様子(拡大画像へのリンク)

写真ー1 工場見学の様子

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写真ー2説明会の様子(拡大画像へのリンク)

写真ー2 説明会の様子

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