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建設部会

2019年2月 建設部会講演会(報告)

開催日時:平成31年2月20日(水)18時〜19時30分
講演名 :木材を使った地盤改良工法−建設事業で木材を使い都市に森をつくろう−
講演者 :木材活用地盤対策研究会 技術委員長
     飛島建設株式会社 土木事業本部 プロジェクト統括部 木材・地盤ソリューションG 沼田 淳紀部長
講演場所:機械振興会館 6階67会議室
参加者 :会員35名 非会員 2名 合計37名

1.はじめに
 丸太を地中に打設することにより、液状化対策を行うとともに、炭素貯蔵による地球温暖化緩和と国内林業に寄与する工法について木材活用地盤対策研究会技術委員長沼田淳紀工学博士[飛島建設株式会社土木事業本部 プロジェクト統括部、木材・地盤ソリューションG部長(兼)技術研究所主席研究員、高知大学客員教授、技術士(建設)]のからご講演をいただいた。沼田講師は、(公社)土木学会 木材工学委員会の幹事等を務められ、本日のテーマ「丸太打設による液状化対策及び炭素の地中貯蔵工法(LP-LiC工法)」で2015年10月28日に第6回ものづくり日本大賞内閣総理大臣賞を受賞されている。

2.気候変動(地球温暖化)の現状
 IPCC:国連気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)の2007年第4次評価報告書と2014年第5次評価報告書をみると、最近の猛暑や豪雨災害といった異常気象は、すでに予測されていたことで自然災害ともはや言えなくなってきている。地球温暖化は、人為的な現象なので、何をすべきなのかは明確である。→低炭素社会、脱地下資源化
 大気中の二酸化炭素CO2と人類の寿命(Life)、経済活動(GDP)は比例関係にある。1900年頃は平均寿命が20歳程度であったのが100年で飛躍的に伸びている。同様にGDP,CO2も飛躍的に増加している。

3.木材による温室効果ガス削減
 胸高直径の大きい老齢段階の木は大気からの二酸化炭素削減には寄与していないし使いにくいので若齢・成熟段階の木の比率を上げるために,現在の樹木を伐採し,植林を行い森林を若返らせることが重要で,これが温室効果ガス削減につながる。
 木材の蓄積増による二酸化炭素削減策として、
  ・植林し樹木の数を増やす
  ・間伐し樹木の生長を促し材積を増やす
  ・木材を利用し都市部で木材の総量を増やす
木材利用による二酸化炭素削減効果として、
  ・炭素貯蔵効果
  ・材料代替効果(省エネルギー効果)
  ・森林活性効果
があげられる。

4.日本の森林資源
 日本は世界の中でもトップクラスの森林国家である。人工林面積では大国の中で世界7位、森林率では世界2位である。日本の都市鉱山には世界埋蔵量で金約16%、銀約22%等、潜在的な資源が埋もれている。一方、森林は植林等の政策により現在は、正規分布のような樹齢分布であるが、このまま伐採しないと老齢段階の森林が分布の頂点となる。人間世界に当てはめると超高齢化社会を迎える。建設材料をウッドファーストにして、伐採・植林のサイクルを回して森林を若返らせる必要がある。

5.建設事業における木材利用
 人は利便性から国土の10%しかない沖積平野に集まり、資産比率は75%になる。平野となっているのは地盤のせん断強度が弱いからで、この土地に木材を利用することで地盤の強化を図る。

6.丸太による液状化対策
 地震に弱い(液状化しやすい)地下水位が高い砂地盤の沖積平野で液状化対策として丸太を地中に設置し地盤を締め固める。(無対策との比較、大型実験動画と各地の林業事例の説明を受けた)

7.地中にある木材の耐久性
地中(地下水位以深)にあり空気が遮断されていると木材の耐久性は大きい。(埋没林等の事例、文献調査、腐朽促進実験等の説明を受けた)

8.炭素貯蔵効果
丸太打設による炭素貯蔵量と液状化対策各工事(サンドコンパクションパイル、深層混合処理)による二酸化炭素排出量の説明を受けた。(丸太打設は工事によるCO2排出より貯蔵の方が大きい)

9.おわりに
 講師の静止画による説明だけでなく動画のようなパワーポイント、実験の映像や施工状況のビデオなど具体的な映像を見ること、受講者に向けたクイズなどで地球環境・木材利用について理解が深まった。
 今回の講演会のWeb配信(北海道・東北・中部・四国本部、鳥取・神奈川・長野県支部)および採録を承諾され講師をお引き受けいただいた沼田淳紀氏に、改めて感謝申し上げます。

以 上
講演担当:近藤、濱中、藤野(文責)

写真−1:講師・沼田淳紀氏(拡大画像へのリンク)

写真−1:講師・沼田淳紀氏

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写真ー2:講演会の様子(拡大画像へのリンク)

写真ー2:講演会の様子

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