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建設部会

平成30年12月 建設部会講演会(報告)

日 時 :平成30年12月12日(水) 16:30〜18:00
講演名 :東京駅の変遷
講演者 :鉄建建設株式会社 代表取締役会長 林 康雄
講演場所:日本教育会館9階喜山倶楽部
参加者 :75名(会員66名、非会員9名)

講演内容
1.東京駅誕生までの鉄道敷設の進展
・我が国は明治時代の富国強兵政策の下、お雇い外国人を登用して鉄道などの社会基盤を整備してきた。その技術は日本人技術者によって吸収され、その後の内製化・国産化へつながった。
・大谷~大津にある逢坂山トンネルは日本技術のみで造った初の山岳トンネルである。
・1889年(明治22年)頃の東京周辺の鉄道路線は新橋−横浜間を除き、民間資本により整備された。当時、新橋―上野間の路線接続はなく、東京市の都市計画において線路を接続させて鍛冶橋と万世橋の北方に新駅を設置することが計画された。
・1914年(大正3年)に東京駅は開業された。

2.首都東京の交通機能としての「東京駅の変遷」
・開業時1914年(大正3年)の東京駅は4面8線が運用され、1日あたりの乗降人員は9.6千人であった。
・開業から5年後の1919年(大正8年)には、東京―新宿間の線路が接続され、いわゆる「の」の字運転(山手・中央相互運転)が開始された。
・1925年(大正14年)、東京―上野間が接続され、山手線環状運転、京浜電車上野乗入れが開始された。
・東京駅では、乗降人員および列車本数の増加に伴って拡張工事を繰り返した。
・2013年(平成25年)には、東北新幹線の上方に在来線を置き、東北縦貫線が整備された。この時点で東京駅は10面20線および地下4面8線となり、1日あたりの乗車人員は416千人(JR東日本のみ)となった。(2016年時点では、538千人/日(JR東日本、JR東海の合計))

3.首都東京の顔としての「東京駅(丸の内)駅舎の変遷(保存・復原)」
・東京駅の当初計画はF.バルツァーによって1903年(明治36年)に立案された。それは和様式の外観を有していた。
・ロンドン大学への留学経験のある建築家辰野金吾は、洋式の設計案を1910年(明治43年)に提案した。(同氏は50歳の定年を前に東京帝国大学の教授を辞し、建築事務所を経営していた。)
・東京駅の設計当時、日本は日清戦争および日露戦争での勝利により国威が高揚しており、設計案は次第に大規模化して予算は当初比の7倍、現在貨幣価値に換算して110 億円に膨らんだ。
・東京駅の基礎構造は松杭約11,000本の上に無筋コンクリート布基礎となっている。
・東京駅の建築様式はアムステルダム駅(ネオ・ゴシック様式)に似ているとの指摘があるが、実際にはビクトリアン・ゴシック様式の影響を受けた辰野式フリー・クラシック様式である。
・東京駅は1945年5月25日の東京大空襲で被災した。戦後、1947年に木造として復興し、それは60年間供用されたが終盤には雨漏りが多発するなど老朽化が著しかった。
・東京駅八重洲口駅舎は1954年に3代目となる鉄道会館本館が完成して東京オリンピックを迎えた。
・その後、十河構想(1958年)やツインタワー構想(1989年)などの近代的な駅ビルの建替え構想が立案されたが、最終的には赤レンガ駅舎の保存・復原を前提とした東京駅周辺の再生整備を行うこととなった。その社会的背景には、歴史的建築物保存の機運の高まりや首都東京の「顔」に相応しい景観整備の期待などがあった。
・「特例容積率適用区域制度」の施行により空中権の売買が可能となり、東京駅丸の内駅舎上空の未使用容積使用権を丸の内パークビルや新丸の内ビル、JPタワーなどへ売却することにより、丸の内駅舎保存・復原の原資とした。
・東京駅丸の内駅舎の保存復原にあたり、国内最大級の免震レトロフィットとなる免震工法(アイソレータ352台、オイルダンパー(158台)を採用し免震化を行った。
・東京駅丸の内駅舎の外装には、擬石と花崗岩の組み合わせや色合いを新旧違和感のないように調整した化粧レンガ、覆輪(ふくりん)目地の復原などオリジナルを最大限尊重した仕様とされた。
・東京駅丸の内駅舎のドーム内部は、過去の写真と照合しつつ文献を調べて復原された。
・東京駅の既存線路上空に人工地盤を設置すれば、将来の空間高度利用の用途が拓ける。

 講師の鉄建建設株式会社代表取締役会長林康雄先生には、東京駅の変遷について明治時代からの歴史をまじえて分かりやすくご説明頂き、また同駅のこれからの拡張性をも示して頂きました。
 ご講演に心から感謝申し上げます。

以 上

講演会担当:森田、榎本、阿山、竹中、鈴木、太田、山下(記)

写真−1:講師・林康雄氏(拡大画像へのリンク)

写真−1:講師・林 康雄氏

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写真ー2:講演会の様子(拡大画像へのリンク)

写真ー2:講演会の様子

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