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建設部会

平成30年1月 建設部会講演会(報告)

開催日時:平成30年1月17日(水)18時〜19時30分
講演名 :国内外の自転車政策の最新動向
講演者 :株式会社 三井住友トラスト基礎研究所 研究理事 古倉 宗治氏
講演場所:パシフィックコンサルタンツ株式会社 16階会議室(東京都千代田区神田錦町3-22)
参加者 :会員29名 非会員 7名 合計36名

1.はじめに
 自転車政策、自転車の利活用のポイントは、以下の9点である。
  [1]自転車活用のメリット
  [2]自転車事故の懸念
  [3]自転車利用社会のルール
  [4]自転車利用のための空間
  [5]自転車利用による健康、将来の医療費減少
  [6]高齢者の利用
  [7]サイクルツーリズム
  [8]利活用
  [9]海外、ヨーロッパ

2.現状の理解
 自転車は環境・健康にやさしい=だれでもが認める
・生活=クルマ⇒自動車利用は必要なし(特に地方部)
 ☆地方都市の自家用車移動の半分以上⇒自転車で十分(電動アシスト等)
・他の交通手段は?ルール無視、放置・安全性に疑問 ⇒環境にやさしい交通手段の一つ
 ☆環境・健康・経済・時間の総合点で最高の交通手段
  放置・事故・違反はメリットに比較して極小であり軽減中
・自転車利用率は世界的に見ても高い⇒優先して推進する必要はない?
 ☆観光・災害・環境・健康等の交通政策以外の重要政策で活用可能
  ポテンシャルよりはるかに低い利用状況
  コペンハーゲンでは現状通勤自転車比率35%を50%に引き上げる目標を掲げている

3.自転車施策(利用促進のための有効な政策)
(1)自転車施策の中途半端な実施⇒効果の高い成果は不可能
・自転車移動の交通手段における分担率 欧米第1位〜3位、オランダ・デンマーク・ドイツ
・走行空間(専用自転車道、スーパーハイウェイ)・車体(カーゴバイク、電動アシスト)
・駐輪空間(駐輪場)
・公共交通等連携(列車・バス持込、自転車と車の連結・ラック・キャリータクシー)
・迅速性の確保(移動時間短縮、自転車歩行者専用橋、自転車優先道路等)
・施策の実現確保(市民参加等による施策の有効性確保、自転車環境の評価)
・高齢者の移動手段確保(電動アシストで外出改善効果、健康寿命延長)

(2)自転車の位置づけの明確化と強力な優遇施策⇒利活用施策必要
 自転車の位置づけについて、ドイツ・オランダ・デンマーク3国の現状の位置づけと走行空間の質について比較説明
・ドイツ:自動車と同等または位置づけなし⇒1台幅(1.5〜2.0m) 安全性
・オランダ:自転車をクルマより優先⇒2台幅(2.0〜2.5m) 快適性
・デンマーク:自転車を移動の中心(最高位)⇒3台幅(2.2〜4.0m) 快適・快速性

(3)交通施策⇒交通混雑緩和、環境負荷削減等自家用車からの転換

(4)自転車利用促進政策⇒様々なメリットを根拠に拡大

4.自転車活用推進計画の極意
(1)一過性より継続性
・強固な意志と信念での継続性の確保

(2)各論より総論の重視
・自転車と自動車等との優劣を明示

(3)内容より自転車の位置づけ
・論理を並べるより具体データ提示

(4)メリットは論より具体的証拠
・非利用者又は社会の説得が大切

(5)形態別の施策より目的別の施策
・走行・駐輪・安全啓発・企業誘因等

(6)総花的より重点的
・施策の重点化やメリハリ(時期ごと)

(7)横並びより地域特性
・オリジナリティのある内容を工夫

(8)行政向けより住民向け
・行政に向けた内容より住民誘引に

(9)サイクリストより一般利用者を重視
・一般利用者の利用促進が成功のカギ

(10)利用より活用
・自転車は目的でなく、政策の手段

5.質疑およびおわりに
(質問)日本の自転車移動手段の現状として、神奈川中央交通のような自転車ラックバスはどの程度普及していますか、これからの展望はいかがでしょうか。
(回答)群馬の日本中央バス、神奈川中央交通等があるが思うように進んでいない。コペンハーゲンではタクシーにも自転車ラック設置を義務付けている。

 今年から本格化する自転車政策について、「自転車活用推進計画の極意」に優先順位をつけ、国から市民一体となって自転車利用促進策が進められていくことを期待したい。今回の講演会の講師をお引き受けいただいた古倉宗治氏に感謝いたします。
以上

講演担当:森田、河北、松本、藤野(文責)

写真ー1講師(拡大画像へのリンク)

写真ー1 講師

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写真ー2講演会の様子(拡大画像へのリンク)

写真ー2 講演会の様子

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