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建設部会

平成28年6月 建設部会 講演会報告

日 時:平成28年6月15日(水) 18:00〜19:30
講 演 名:「石巻市の復興の現状と課題」について
講 演 者:大元守 石巻市建設技術管理監
講演場所:日本工営(株)九段オフィス 4階会議室
参 加 者:37名(会員34名、非会員3名)

1.はじめに
 本講演は、2011年3月に発生した東日本大震災において最大の被災を受けた石巻市の復興の現状と課題についてご講演をいただいた。具体的な復興プロジェクトとして、計画の約50%整備の復興公営住宅、半島部65箇所に点在する防災集団移転団地、これから動き出す中心市街地部における57の復興事業の工事調整や被災住民との合意形成と関係者間の情報共有を円滑に進めるため、復興事業マネジメントとしてCIM(ConstructionInformationModeling1Management)を利活用した取り組みについて、浸水面積、死者行方不明者数、浸水エリアなどの統計を交えてご紹介して戴いた。さらに、復興5年間の歩みや区画整理事業、宅地整備事業、復興公営住宅と仮設住宅、などの現状やCIM−3Dを利用した復興事業の取り組みを紹介いただいた。

2.石巻市の震災復興の歩み
 石巻市は、震災被害最大都市で、津波浸水面積73km2は全国被害の13%、死者・行方不明者数も3,601人で全国犠牲者の19%を占める。石巻市の復興事業は、半島部67箇所に点在する防災集団移転促進事業、市街地部で輻輳する75の復興事業等、市域全体に亘っている。
  震災復興5年間の歩みと平成32年度までの予定を年表にしてまとめると以下のとおりである。
 さらに、今後の課題として人口減少が著しい石巻市において、その未来を考えると三陸沿岸市町村の広域連携による観光交流人口の拡大、地域の文化・伝統の継承による地域魅力度の確保等が重要である。

3.技術者としての復興事業への取り組み
 復興事業を迅速かつ効率的に推進すると共に、関係者間の情報共有と合意形成を判りやすくスピーディーに行うため、独自の取り組みとしてCIM3Dなどの情報技術を積極的に活用した。

4.おわりに
 石巻復興事業に携わった経験から、復興事業取り組みの課題と技術者の役割について下記のようにまとめて講演を締めくくられた。
(1)迅速かつ効率的な復興事業の推進に向けて
ア.被災住民の合意形成成と関係者間情報共有による復興マネジメントへの取組み
イ.高台適地の不足・地権者の権利関係の輻輳等に対する用地取得手続きの改善提案
ウ.応急仮設〜復興住宅〜維持管理の将来まで俯瞰した適地選定・住宅建設の提案
エ.復興事業を束ねた地区の複合的復興事業メニューの提言
(2)将来に向けた各自治体の自立的復興への啓蒙
ア.被災自治体等による復興事業の取組伝達に対する積極的仕組みづくり
イ.各自治体独自で自立した復旧・復興への取組みの啓蒙
ウ.震災の記憶・教訓の伝承と震災遺構等活用による震災被害の風化防止への取組み
(3)新たな産業再生と地域コミュニティ継続への提言
ア.地方の人口減少・高齢化を見据えた広域連携による交流人口の拡大の提唱
イ.地域に根ずく文化・伝統の継承による地域コニュニティ継続の重要性提言
ウ.若年層を呼び込む地域ブランド化産業や地域での子育て環境の構築等への提案

 大震災から5年が経過したものの、復興事業がなかなか進まない状況をふまえて、今後とも地域コミュニティーつくりに継続的な支援が必要であると痛感した。
 今回のご講演にあたり大元守様に感謝すると共に、今後の復興まちづくりにご活躍されることを祈ります。
 以  上

 講演会担当:河北、武曽、近藤(記)

写真ー1講師(大元氏)(拡大画像へのリンク)

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写真ー2講演会の様子(拡大画像へのリンク)

(画像クリックで拡大 37KB)

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