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建設部会

建設部会 6月講演会報告

日    時:平成26年6月24日 (水) 18時00分〜19時30分
講演場所:日本工営(株) 本社ビル 3F会議室
講演題目:橋を守る
講演者  :玉越 隆史氏 (国土交通省 国土技術政策総合研究所 道路構造物研究部橋梁研究室長)
参加者 :56名(会員49名、非会員7名)

報 告

1.はじめに
平成26年6月の講演会は国土交通省 国土技術政策総合研究所 道路構造物研究部橋梁研究室長 玉越 隆史様を講師に迎え、「橋を守る」と題して、橋の維持管理に関連して、今、橋がどのような状態に置かれているか、そして今後取り組むべき課題(点検、診断、補修補強など)について、橋の損傷原因やそのメカニズムを織り交ぜながら、講演を頂きました。

2.講演内容
(1)今橋に起きていること
高度経済成長期に架設された道路橋は全体の30%を占めて、平均経過年数が45年となっています。さらに架設後40年を経過した橋の補修等を必要とする割合は50%を超えます。今後、これらの橋は維持管理が必須となることから、維持管理上の課題を3項目抽出します。

[1]時々の最新の知見の限界
→未知の知(今後も予想される新たな事象)
[2]耐久性の信頼性の限界
→共用期間中の定期・適時の状態把握を前提
[3]設計での想定と一致しない被災や不具合の発生
→具体に想定できる事象以外の発生を想定

(2)反省を踏まえた対策の状況
H24年道路橋示方書では上記課題解決のためいくつかの重要な改定がなされました。
[1]未知の知(今後も予想される新たな事象)への対応として維持管理の「容易さ」のみならず「確実性」も必要となります。維持管理が困難になる構造の回避や緊急時の速やかな状態把握にも配慮する必要があり、設計の基本概念に「維持管理の確実性」を追加しました。
[2]供用期間中の適時の状態把握を前提とするためには、設計の前提(性能の一部)としての維持管理計画との整合性が必要となることから、構造設計上の配慮事項として維持管理実施への配慮を追加しました。
[3]具体に想定できる事象以外の発生を想定するためには、不測の事態の発生を念頭にした配慮が必要となり、維持管理の方法等の計画、補完性・代替性の考慮、記録の作成、地域防災計画を考慮した橋の設計等の項目を追加しました。

(3)適切な維持管理への処方箋
維持管理への処方箋としては、体質改善、早期発見・早期治療、高度技術の活用、「医は人術」の4つです。
[1]体質改善としては、耐久性の向上とともに保全方法を予防保全に移行していくことが必要であり、予防保全により維持管理費を縮減させる計画的な対応が必要です。
[2]早期発見・早期治療としては、最新状態の把握、適時適切な対策、定量的な評価手法により合理的な維持管理サイクルを回すことが必要です。
[3]高度技術の活用として、非破壊検査・補修補強技術・モニタリングなどの最先端の技術の高度化・充実化を図る必要があります。
[4]医は人術とは「管理も人術」であり専門知識と経験が管理の質を左右することから、経験と知識が不可欠です。

3.おわりに
今回の講演では、橋を維持管理するうえで、現場で直接点検することの大切さを強調されていました。また、実際の現場では点検箇所が離れていて点検が困難であったり、点検部位が隠されていたりすることが多いが、今後は、確実に点検できるような橋の構造、点検通路などの維持管理設備の設置が求められているとのことでした。維持管理時代に入り、H24年道路橋示方書では維持管理における項目を追加しています。
また、道路橋の定期点検や損傷状況などの情報は、国総研HP
http://www.nilim.go.jp/
にアップされているので興味のある方はアクセスしてくださいとのことでした。

以上
担当幹事 松本、鈴木、山室(記)

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