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建設部会

平成23年5月の講演・見学会報告

平成23年 5月 現場研修会報告

日時   平成23年 5月 18日(水) 8時20分〜19時30分
見学会   湯西川ダム施工現場見学会
見学先   国土交通省 関東地方整備局 湯西川ダム工事事務所
説明者   須田健一 工事課長
参加者   30名
報告
1.はじめに
 湯西川ダムは、利根川水系湯西川に建設される重力式コンクリートダムで、首都圏域としての発展が進む鬼怒川や利根川下流域の急速な都市化・ライフスタイルの変化に伴う水需要の増加に応えるとともに、流域を洪水の被害から守るために、鬼怒川上流のダム群の一つとして建設されています。
 湯西川ダムが建設される水源地の日光市栗山地区は、栃木県内一の面積を持ち、そのほとんどが日光国立公園に含まれる自然豊かな地域で、森林を活かした林業をはじめ、「平家の落人の里」として知られる湯西川温泉などの観光資源も豊かな地域です。湯西川ダムは、こうした自然環境を活かし、地域に根づいた文化を大切にしながら、地元の人々の理解と協力のもとに進められています。

図-1ダム位置および完成予想図(拡大画像へのリンク)

 図-1 ダム位置および完成予想図

(画像クリックで拡大 119KB)

(拡大画像へのリンク)

 

(画像クリックで拡大 48KB)

2.説明概要
 湯西川ダムの役割は、
[1] 洪水から人々の生命・財産を守るための洪水調節
[2] 美しい川の流れを守るための流水の正常な機能の維持
[3] 暮らしに欠かせない農業用水の確保
[4] 増大する生活用水の安定的な供給
[5] 産業の発展に欠かせない工業用水の安定確保
など、多目的ダムとして治水・利水事業の重要な役割を担っています。
事業概要は以下に記します。

場所:栃木県日光市(利根川水系湯西川)
諸元:重力式コンクリートダム、高さ119m、総貯水容量7,500万m3
事業費:約1,840億円(平成22年度末時点 約1,424億円 ⇒ 進捗率約77%)
工期:昭和57年度〜平成23年度

 29年間に及ぶ壮大な事業は、最終段階に入り完成間近に迫ってきています。

3.現場見学
 建設部会研修委員会では、最終段階に入った湯西川ダム工事現場を見学し、治水事業の雄大さに触れ、その目的と意義を実感し、なお幾多の困難を乗り越えて建設事業に取り組まれたご努力を少しでも理解するために今回の現場研修会を開催しました。
 総勢30名は、早朝の上野に集結し時間通りにバスで現地に向け出発しました。道路の混雑もなく順調に進み、予定時間よりやや早く湯西川温泉駅と隣り合う「道の駅」に到着、昼食をとった後、工事事務所に向かいました。
 午後から、事務所横の会議室にて、須田工事課長(国土交通省関東地方整備局湯西川ダム工事事務所)から説明を受けました。事業の概要、工事の進捗状況、特殊な施工方法に加え、

湯西川ダムの完成後は五十里、川俣、川治の各ダムと共に鬼怒川ダム統合管理事務所にて統合管理される。
川治ダム貯水池内の堆積砂利、湯西川ダム湛水予定地内の堆積砂利、堤体岩盤掘削ずりの3種をコンクリート骨材に利用している。
周辺地域整備も重要であること。

などの説明を受けました。

 会議室での説明を受けた後、再びバスで現場に移動し、施工が進む堤体が見下ろせる、左岸を望む右岸にて、鹿島・清水特定建設工事共同企業体の岡山工事課長から工事の説明を受けました。堤体は縦に3つに区分され1段階(1リフト)ごとに仕上げられていて、現在、3日間で1リフト(h=1m)を施工しています。施工の中でも特に重要なコンクリートについては、製造時の骨材表面水分量管理、練り上がりスランプ管理(ミキサー電流値管理⇒スランプ3cm)、出荷管理を中央一括集中制御による自動コントロールとすることで、1日(24時間)で最大5,000m3もの打設となるコンクリートの品質管理が行われています。
 見学者は、施工中の堤体の上に降りて行き、間近で施工状況の実体験をしました。あらためて工事の規模の大きさに圧倒されました。
 現場の説明会場で質疑に移り、事業の賛否、環境アセスメント、住民移転交渉、設計、施工、安全管理に関する活発な応答があり、盛況のうちに見学会を終え、帰路に付きました。

4.おわりに
 今回の現場見学研修会を快くお許しいただいた工事事務所様(最初に対応いただいた渡邉副所長、当日も対応いただいた須田課長はじめ皆様)、熱心に案内いただいた共同企業体様(大内所長、岡山課長、戸澤課長はじめ皆様)お忙しい中誠にありがとうございました。一刻も早い工事の竣工、事業の完成を願っております。

(建設部会 千々岩三夫 記)

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