建設部会のホーム部会活動状況平成23年9月の講演・見学会報告
開催日時 平成23年 9月 27日(火)18時00分〜19時30分
講演名 交流電力から直流電力の時代へ
講演者 宮澤 伸一(信州大学 総合工学系研究科 特任教授)
開催場所 弘済会館
参加者 40名
報告
1.はじめに
東日本大地震では、福島第一原子力発電所が津波による被害を受け、電力供給に重大な影響が発生しました。このような中、電力供給のあり方について、信州大学 総合工学系研究科 特任教授 宮澤 伸一様に、直流と交流という観点から、お話をいただきました。
2.直流配電方式と交流配電方式
直流配電方式は、1882年、トーマス・エジソンによってマンハッタンに電燈をつけることから、交流配電方式は、1886年、ウェスチングハウスとスタンリが水車発電機で発電したことから始まった。
その後、1893年に米国のシカゴで開催されたコロンブス博覧会に、テスラとウェスチングハウスが開発した交流方式の電気による照明が使用され、さらに、ナイアガラ瀑布を利用する水力発電所のコンペに直流方式と交流方式の提案がなされ、テスラの交流方式が採用された。
3.原発事故と集中発電方式の不都合
現在の電力供給のなかで原子力発電の状況について、
[1] 原子力発電が増えてきている。
[2] 発電方法の割合では、原子力発電は平均で約30%である。
[3] 電力供給の1日の時間変化では、原子力発電は一定なのに対し、ピーク電力は火力発電でまかなっている。
[4] 日本の原子力発電所は、海岸に設置されている。
など、原子力発電に関する状況と停止による影響は大きい。
4.一極集中発電から自立分散発電へ
これからの配電方式として、蓄電を行いやすく、送電ロスが発生しない、自立分散発電を提案する。
分散発電の担い手として、太陽光発電と燃料電池がある。特に燃料電池は、化学反応を即電気に変えるので効率が高く、今後分散発電が主力になる。
次に蓄電池について、リチウムイオン電池とNAS(ナトリウム硫黄)電池があり、NAS電池については、他の蓄電池と比べて優れた能力を持ち、将来性が見込まれる。
また、蓄電池の開発では、新しい原理に基づく研究の余地がある。
今後は、交流集中発電から、交流方式と直流方式が混在するスマートグリットを経て、分散直流発電として太陽光発電や燃料電池、そして蓄電といった電力供給方式への変化が予想される。
5.おわりに
今回の講演では、今後のエネルギー事情に応じて、一極集中発電から自立分散発電の必要性をお話して頂き、新しい社会システムづくりの必要性を実感することができました。蓄電池技術の開発やエネルギー供給方式からの社会システム変革の可能性など、新しい未来に向かって、技術革新への不断の努力が必要だと感じました。
以上
担当幹事 河北慶介 河瀬日吉 榎本浩(文責)
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