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建設部会

平成23年10月の講演・見学会報告

平成23年10月 現場研修会報告

開催日時   平成23年10月17日 (月) 15時00分〜16時30分
見学会 首都圏外郭放水路現場研修見学会
見学先 関東地方整備局江戸川河川事務所首都圏外郭放水路管理支所
 管理支所地下探検ミュージアム龍Q館
 (埼玉県春日部市上金先720庄和排水機場)
参加者 27名
報 告

 参加者27名(全員技術士会会員)、14:20に東武春日部駅東口に集合、チャ-タ-バスにて龍Q館に移動、参加者名簿を提出し、専任の説明・案内員より見学が安全に出来るように等の指示を受け開始。

 最初に龍Q館2Fにて、床上の江戸川・中川・綾瀬川流域地図により、この一帯の地形、河川の歴史上の変化・現況、都市化してきた現状等の説明を受けた。昔から水が溜まりやすく浸水被害に悩まされたこの地域に対し根本的水害防止のための施設として、首都圏外郭放水路が計画され、平成5年3月に工事に着手、平成18年6月に完成(総工事費2,300億円)、この間平成14年6月より一部完成した施設より通水が開始された。今年7月には10年となった。この間、異常降雨時に67回稼動し、この施設が有効に働き、この一帯は何ら水害を被ることはなかった。施設全体について、いつでも稼動できるように日々保守・点検、運行体制対応等、万全を期しているとのことである。また、3月の地震による被害は、取り込み立坑・遊通水シールドトンネル、遊排水施設等、長延長、巨大等ではあるが最新の耐震技術対応によって建造されており問題はなかったとのことである。

 次に、ビデオ、模型により放水路全体、個々の構造物・機能等の説明を受けて龍Q館屋上に移動し放水路全体・設備の位置関係等の説明を受けた。その後、龍Q館を出て、土被り3mで地表がサッカー場となっている調圧水槽(RC構造、内寸法、幅78m×長さ18m×高さ18m、内柱方式)出入口に移動、階段により底版上に降りて、構造の詳細、機能、運行状況等の更に詳細な説明を受け、質疑応答を行い、階段により地上に移動、全員怪我等がなかったことを確認、説明員にお礼の挨拶をして終了した。チャ-タ-バスにて東武春日部駅東口に移動し解散。

 今回の研修見学会において技術的問題はじめ特に啓発、啓蒙された主な事項を列記すれば次のようである。

1)放水路全体が巨大な遊水効果が発揮できる構造(内径10m・延長6.3kmシールド、内径30m・深さ70m立坑、巨大調圧水槽)になっており、かつ、調圧水槽内の水位が低い状態でも排水能力50T/Sのジエット式強力ポンプ(燃料A重油)が4台まで稼動でき、江戸川下流部の洪水の心配ない箇所に放流するようになっており上流5箇所で取り込み中に下流で強力放流しているという、極めて特殊で高能率のものになっている。

2)国道16号線脇の取り込み立坑の位置が異常時スムースに流入可能になるように水路を新設・整備し排水流入の一体性が確保されている。遊水・放水トンネルは16号線下であるが、この放水路のような大規模放水路の成功は、高性能ポンプや大規模立坑、大規模水槽等の個々の技術も重要ではあるが、歴史的に多くこうむった水害を無くし安全にして安心な社会を実現するという地元との地域コンセンサスを大切にして計画、施工、運営されている賜と思われる。

3)近年の異常降雨に対し、放流ポンプは、今までは100%稼動させる状況にはならなかったとのことであるが、フル運転すればこの地域のどの程度の集中豪雨まで処理可能かをホームページ等で明示する事も重要と考える。

4)この施設は、異常降雨時に人間の操作が主体となり機能を発揮させる物である。コントロール室の説明は受けたが、異常降雨時にこの巨大にして強力複雑なる施設を詳細に理解し、100%機能を発揮されるよう判断・操作運転できる人材が確保されているような話もあった。

 

 以上、研修見学会の概要等を記したが、首都圏外郭放水路という近年、国内で建設された多くの遊水兼放水路の代表的な施設に直に接し説明を受け大いに勉強、啓発された。この社会資本施設が末永く大切に維持管理され、世の安全と安心に貢献し続けることを願う次第である。

  担当幹事 鈴木久尚 武曽善樹 吉田圭佑(文責)

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