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建設部会

平成23年12月の講演・見学会報告

平成23年12月 講演会報告

開催日時  平成23年12月14日(水)16時30分〜18時00分
講演名  東日本大震災における地盤災害について
講演者  東京電機大学理工学部 工学博士 安田 進教授 技術士(総合技術監理部門、建設部門)
参加者  55名
報告
1.はじめに
 12月の講演会は東京電機大学の安田進教授に「東日本大震災に おける地盤災害について」という演題で講演をおねがいいたしました。 講演に先立って建設部会の高木部会長より建設部会の組織・体制 や見学会・講演会等活動報告をさせていただきました。 安田教授による講演会は大震災で発生した地盤災害について、被 災状況の写真や実験データで液状化現象や造成宅地盛土の変状を 中心に講演をしていただきました。

【講演者プロヒィール】
 氏名:安田 進(やすだ すすむ)
 所属:東京電機大学理工学部建築・都市環境学系 教授
 生年月日:昭和23年、広島市生まれ
 学歴・職歴:昭和45年3月 九州工業大学開発土木工学科卒業
         昭和50年3月 東京大学大学院工学系研究科博士課程
                  土木工学専攻修了
        昭和50年4月 基礎地盤コンサルタンツ(株)入社
        昭和61年10月 九州工業大学 助教授
        平成6年4月東京電機大学理工学部 教授   現在に至る
 学位:工学博士(東京大学) 1975
 専門分野:地盤工学、土木工学、地震工学
 学会歴:地盤工学会副会長(2006年度〜2007年度)
      国際地盤工学会ATC10委員長(2002年度〜2005年度)
      国際地盤工学会ATC3委員長(2006年度〜2009年度)
       日本地震工学会副会長(2005年度〜2006年度)
       土木学会地盤工学委員会委員長(2003年度〜2004年度)
 褒賞等:土木学会論文賞、1987年
      地盤工学会事業企画賞および土と基礎年間最優秀賞、2005年
      地盤工学会研究業績賞、2011年
      国土交通大臣賞産官学連携功労者表彰、2011年

2.講演内容 東日本大震災による地盤災害について

A.液状化による被害
 (1)東日本大震災における液状化被害の概要 関東各地の液状化の被害を写真をまじえて 説明
・茨城県東海(丘陵地の造成盛土)
・神栖市(道路と浄水場)
・潮来市(住宅地)
・香取市(佐原の住宅地)
・我孫子市(住宅地)
関東地方の河川堤防の被害の説明
・被災は939箇所
・大規模被災55箇所のうち51箇所が液状化
・液状化による51箇所のうち基礎地盤の液状化が7割
 堤体の液状化が1割
 基礎地盤・堤体の複合が2割
・空洞化が予想された構造物621施設のうち、126箇所にグラウトなどの復旧補修

東北地方の液状化の説明 ・液状化の発生地点
・ 海岸・港湾
・ 河川沿い、河川堤防
・ 仙台空港
・ 丘陵の造成地
・ 下水道の埋戻し土

 (2)東日本大震災における東京湾岸の液状化 と特徴

1)液状化発生および地盤の変状の特徴
[1]震度は5強〜5弱と揺れの振幅はあまり大きな値ではなかったが、広い範囲で激しい液状化が生じた。なお、継続時間は長く、また、29分後に大きな余震が襲った。
[2]多量の噴水・噴砂が発生した。
[3]広域にわたって地盤が沈下し支持層まで 打設してある杭の抜け上がりが多く発生した。
[4]幹線道路の歩道や生活道路などでは盛り上がりや迫上がりが各地で発生した。ただ し幹線道路自体はほとんど無被害であった。
2)液状化による構造物の被害の特徴
[1]数多くの戸建て住宅が大きく沈下・傾斜した。
[2]杭で支えられている中・高層アパートや高架橋、橋梁などの大型構造物はほとんど無被害だった。
[3]下水管、ガス導管、水道管など埋設管が多く被災した。一般埋設部に加えて宅地内の取り付け管も被災した。
[4]道路が被災し通行が困難になった。また、電柱は各地で大きく沈下・傾斜し、電線の垂れ下がりも発生した。
[5]護岸はあまり孕み出さなかった。

 将来の東海、東南海、南海地震といった巨大地震で液状化の発生予測などで留意すべきことは

◎単独で地震が発生する場合でも地震動の継続時間が長くなり、その分波数が多くなる。
◎南海、東南海、東海地震は同時に発生するとか、短い時間をおいて連続して発生する可能性も指摘されている。もし、同時に発生すると、さらに地震動の継続時間が長くなる可能性がある。
◎上記の三つの地震が短い時間をおいて連続して発生する場合には、その間に過剰水圧が消散し得るか どうかも問題になる。

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 (3)戸建て住宅の液状化対策

   右の画像をご参照下さい。

3.終わりに
 東日本大震災から新しい年を迎えようとしている中、被災地各地で復興に向けたさまざまな取組みがなされています。今回の講演では被災地各地の被害状況を現地の写真をまじえて説明され、被害に至った科学的な分析 もおこなって講演をしていただきました。お忙しい中、お時間をつくっていただいた安田先生にあらためて感謝いたします。この大震災に対する復興と、今後、発生すると予想されている大地震災害に対し、技術士としてど のような貢献ができるのかと言うことの参考になる講演会であったと思います。 頑張ろう日本!頑張ろう技術士!

【建設部会幹事 垣本弘 記】

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