ナビゲーションを飛ばしてコンテンツへ
  • 建設部会のホーム
  • 地域本部・県支部・部会・委員会
  • 公益社団法人日本技術士会
  • RSSについて
建設部会

平成24年1月の講演・見学会報告

平成24年 1月 講演会報告

開催日時  平成24年1月18日(水)18:00〜19:30
講演名  建設コンサルタントの現状と課題
講演者  大島 一哉氏 社団法人建設コンサルタンツ協会 会長(株式会社 建設技術研究所 代表取締役社長)
開催場所  弘済会館
参加者  44名
報告
 大島氏は、昭和44年に株式会社建設技術研究所に入社以来、一貫して建設コンサルタントとして活動されてきて、現在は社団法人建設コンサルタンツ協会の会長として活躍されている。本月はそのような大島氏の経歴を踏まえた建設コンサルタントの沿革とともに、設計者としての役割、建設コンサルタントの業務領域の拡大、契約そして品質確保とともに企業として、コンサルタントとしての課題についてご講演頂いた。

1. 建設コンサルタントの沿革
 建設コンサルタントが成立した背景とその制度設計、現在の建設コンサルタント企業とその規模、技術者と技術力について説明された。建設コンサルタントは企業としては第二次世界大戦後に成立しており、現在では4,000社弱の企業が建設コンサルタント登録制度に基づき登録している状況にある。
その役割は、インハウスエンジニアの補助者から自立する設計者へ進化してきており、発注者、施工者と設計者という新たな三者構造の構築が進められている。
 このような流れを背景に、建設コンサルタントの業務領域は上流側、下流側へ拡大をしており、発注者支援としてのCMR(コンストラクションマネージャー)やPFIやPPPといった民間資本の活用にかかる支援にも参加する企業が増えている。
 また、建設コンサルタントの選定には、従来は会計法に基づく競争または随意契約であったが、現在では技術競争方式の導入が進んでいる。

(拡大画像へのリンク)

 

(画像クリックで拡大 15KB)

2.建設コンサルタントの業務と品質
 建設コンサルタントの業務執行における品質確保は、発注者からの監督、検査によって行われている。建設コンサルタントの設計業務においては、「公共土木設計業務等標準委託契約約款」により管理技術者と照査技術者を置くことが求められる。管理技術者とは受注者側で、業務の技術上の管理を行う者で、打合せ協議、履行報告、検査の立会などが求められる。照査技術者は、受注者側で成果物の技術上の照査を行う者で、設計図書(特記仕様書)において照査を求めた場合に配置される。
ミス・エラーに対しては瑕疵担保責任が課せられており、ペナルティとして指名停止や業務評定(企業評価点)での減点などが課せられる。近年設計ミスによる指名停止措置が激増しており、顧客の品質に対する要求が高まっていることを表している。
建設コンサルタントでは品質確保のため、資格取得やOJTの推進、ミス最小化のためのシステム整備などを進めており、発注者と協働しての取り組みとして、合同現地踏査や打合せへの工事関係部署の参加、業務スケジュール管理、ワンデーレスポンスなどを実施している。

3.建設コンサルタント企業と技術者の課題
 建設コンサルタンツ協会では、企業と技術者の倫理として倫理規定を設けている。建設コンサルタントと技術者の3大倫理とは、「公正かつ自由な競争」「中立・独立性の堅持」「品質の確保」である。
また業界の構造改革にも取り組んでおり、玉石混交から自律した産業へ進化すべく努力を続けている。21世紀における建設コンサルタントの分化・再編として「デザインコンサルタント」「エンジニアコンサルタント」「コンプリヘンシブコンサルタント」を提唱しており、これらは「改革宣言−建設コンサルタント21世紀ビジョン」(建設コンサルタンツ協会H15)に示されている。
また、業界の改革として慢性的長時間労働の解消と高齢化・若年技術者の減少にも取り組んでいるところである。
その他、建設コンサルタントの法的位置付けの明確化にも積極的に取り組んでおり、「業法」の成立に向けて努力をしている。

4.おわりに
 技術士および技術士会にとって、コンサルタントは最も重要で関心の高いプロフェッションであろう。建設業界は技術士資格を最も有効に活用している業界であり、他の分野において技術士活用、普及において参考となるところが多いものと思われる。

 (野村 貢 記)

(拡大画像へのリンク)

 

(画像クリックで拡大 22KB)

このページのお問い合わせ:建設部会

ページトップへ