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建設部会

平成24年7月の講演・見学会報告

講演会報告

開催日時  平成24年7月25日(水) 18時00分〜19時30分
講演名  ―東日本大震災― PC橋の被災状況と今後の津波対策に向けて
講演者  西垣義彦氏(社)プレストレストコンクリート建設業協会 技術部会長
開催場所  日本工営本社 会議室
報 告
1.はじめに
  東北地方太平洋沖地震では、多くのインフラストラクチャーが甚大な被害を受けました。最近の我が国の地震被害では、兵庫県南部地震をはじめ津波による例は少なかったのですが、今回の東日本大震災被害は津波の影響が顕著であったことが大きな特徴です。このような中で、研修会ではPC橋に関して被害状況の紹介およびその対策についてPC橋施工者側からの視点からお話をいただきました。

2.東北地方太平洋沖地震の概要
  今回の地震について、その概要を説明される。
     [1] マグニチュードMw=9.0 という我が国最大規模の地震
     [2] 地震動の継続時間が3分以上と長い
     [3] 震源域が広い(三陸沖200×400km)
     [4] 加速度応答スペクトルは、道路橋示方書耐震編に記載された応答レベルの範疇に入っていた。
     [5] 津浪高さが影響によっては30mを超えており、堤防設計条件を超えるケースが多くの場所で生じた。
       (被害を大きくした原因でもあり、油断もあった)

3.PC建協の動き
  地震後のPC建協(プレストレストコンクリート建設業協会)の行動について説明されました。
3月11日にPC建協本部内に災害対策本部が設置され、橋梁調査派遣要請に基づき、橋梁点検調査班が編成される。また、国交省からは3月12日に災害応急対策への協力要請が、PC建協災害対策本部にあり、各会社単位に担当区域が設定されたとのことです。

特筆事項
    ※東北自動車道が機能していた。
    ※緊急車両通行証が有効に機能した。
    PC橋の調査;橋長15m以上のコンクリート橋(直轄国道、県管理の緊急輸送路、跨線橋、跨道橋)
    調査橋梁数;1253橋(調査日3月18日〜4月17日)
    調査対象 ;県(岩手319橋、宮城361橋、福島243橋、茨城70橋、山形147橋) 国交省 113橋 (国道45号、三陸道)

4.PC橋の調査結果および対策
   PC建協で纏められた調査結果および対策について、写真、図により報告されました。
     [1]地震動による被害は少ない。(支承部および伸縮装置の損傷等に限定される)
     [2]落橋防止対策、耐震補強対策の効果により被害は最小限であった。
     [3]橋台背面の取り付け道路との段差・流失が多く確認された。
     [4]橋の被害は津波による影響が顕著であった。(南三陸沿岸域に集中)

  鉄道橋28橋、国道15橋、県道25橋、その他154橋 (長岡技術大学調査より)
  現地写真による被害状況の説明
    沼田跨線橋(陸前高田市)、歌津大橋(南三陸町)閖上大橋(名取市)
    定川大橋(石巻市)、松川浦大橋(相馬市)、宝来橋(山田町)
    普代水門橋 岩切線路橋etc
     ※被害度の大きな形式;複数連の単純T形桁構造
     ※幅員が狭い側道橋、添架橋の流出頻度が高い
     ※上揚力への対策が講じられていない
     ※流出した橋による二次災害防止に備える
     ※自重が重いPC橋は津浪に対しては鋼橋に比べ有利と言える。
     ※PCスラブ橋は桁高が低く津波の影響は小さく有利である。
     ※桁橋は桁下面の開口により波の巻き込み、浮力等の影響が大きくなる。

5.おわりに
  プレキャストプレストレストコンクリート人工地盤の活用による津波対策まちづくりについては、限られた時間内では十分な説明を聞けませんでした。橋梁設計においては、橋梁形式の選定、上下部工の連結等設計に配慮すべき要因があることを、被害事例から指摘されました。防災・減災の観点からも、技術革新への不断の努力が必要だと感じました。

(河瀬 記)

講演会状況

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