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国際委員会

IEA Graduate Attributes and Professional Competencies について

1. International Engineering Alliance (IEA)での議論の経緯

エンジニアリング教育認定の3 協定(Washington Accord, Sydney Accord, Dublin Accord)と、専門職資格認定の3枠組(APEC Engineer, EMF, ETMF)は、高等教育機関における教育の質保証・国際的同等性の確保と、専門職資格の質の確保・国際流動化は同一線上のテーマであるという観点から、国際エンジニアリング連合International Engineering Alliance (IEA)を結成して、共通課題について議論を行ってきました。

その一環として、教育及び専門職資格の同等性確保の基準として検討されてきた Graduate Attributes Profiles(GA) and Professional Competencies Profiles (PC)(以下、「IEA (GA及び)PCプロフィール」)の第2版が、2009年のIEA京都総会で採択されております。

これを受け、ワシントン協定(4〜5年制大学レベル)の各加盟団体は、2019年までにこのGAを模範にして認定基準の改定を行うことが義務付けられ、アウトカム重視の審査という明確な方向が打ち出されました。

一方、3つの専門職資格認定の枠組みについては、2012年6月のIEA会議(シドニー)において、それらの協定の基本文書を統合化するための全面的な改定案が決議されました。その中で、APECエンジニア及びEMF国際エンジニアの登録要件の一つとして、「IEA PCプロフィールに標準として示されている自立した専門職としての知識・能力をもつこと」と定められました。

2. IEA GA及びPCプロフィールの翻訳

IEA GA及びPCプロフィール(第2版、2009)は、文部科学省先導的大学改革推進委託事業「技術者教育に関する分野別の到達目標の設定に関する調査研究」(調査受託:千葉大学)において、参考に供された国際基準の中で代表的なものです。
この調査研究の中でIEA GA及びPCプロフィールの翻訳ワーキンググループが設置され、日本技術士会からも翻訳メンバーに加わり、最終報告書に参考として収録されました。

3. IEA PCプロフィールの内容

IEA PC プロフィール(Professional Competencies Profiles)は、エンジニア、テクノロジスト及びテクニシャンの3階層の技術者向けに作成されています。
これらの階層ごとの基準は、条項(Category)別に、基幹的な規定文言を共通にし(Common stem)、それに各階層別の難易度(Range qualifier)を表す表現を加えて作成されています。

日本の場合は、テクノロジスト及びテクニシャンに相当する公的資格が存在せず、また日本技術士会としては、プロフェッショナル・エンジニアに関する事項だけに関与しているので、下記【表1】に示す翻訳はプロフェッショナル・エンジニアについてのものです。

4. Graduate Attributes (GA)

IEAは、前述したようにPCプロフィールの他、その傘下のワシントン協定(日本においては「技術者教育認定機構(JABEE)が加盟)等、技術者教育に関する同等性相互承認のための協定において、標準として用いられる「4〜5年制大学卒業生としての知識・能力Graduate Attributes (GA)」を定めています。

5. IEA PCプロフィールの位置づけ

IEA PCプロフィールは、いわば専門職(プロフェッショナル・エンジニア、テクノロジスト等)のあるべき姿を示すものですので、今後、技術士が国際的に通用するプロフェッショナル・エンジニアとして認められるためには、APECエンジニア等に登録を希望する者に限らず、PCプロフィールに適合する知識・能力をもつことが求められます。
PCプロフィールのわが国への適用については、今後国際委員会にて検討し、必要に応じて関係委員会等へのフィードバックを行う予定です。

【表1】IEA専門職としての知識・能力
No. プロフェッショナル・エンジニアとして求められる知識・能力
前文 専門職にあるものは、知識・能力の最低基準を満たすために、各自が自分の専門領域において、満足できるエンジニアとして期待される水準で業務を完全に実践できることを示さなければならない。

該当者が総合的に適格か否かをアセスメントするに当っては、以下に示す各々の要素をその専門領域でどの程度実行できるかについて考慮されなければならない。
1 普遍的知識を理解し応用する:優れた実践に必要な汎用的な原理に関する高度な知識を理解し応用する
2 特定の国又は地域に関する知識を理解し応用する:自分の活動する国又は地域に特有の優れた実践の基礎となる汎用的な原理に関する高度な知識を理解し応用する。
3 問題分析:複合的な問題を明確にし、調査し、及び分析する。
4 解決策のデザインと開発:複合的な問題に対する解決策をデザインし、又は開発する。
5 評価:複合的な活動の成果及びインパクトを評価する。
6 社会の保全:複合的な活動の、合理的に予見できる社会、文化及び環境に対する影響を全般的に認識し、持続可能性保持の必要性に配慮する;社会の保全が最優先事項であることを認識している。
7 法と規則:自分の活動において、全ての法及び規則の要求する事項を満たし、公衆の健康と安全を守る。
8 倫理:倫理的に行動する。
9 エンジニアリング活動のマネジメント:一つ又は複数の複合的な活動の一部又は全体をマネジメントする。
10 コミュニケーション:自分の活動の過程において、他の人達と明瞭にコミュニケーションを行う。
11 継続研鑽:自分の知識・能力を維持し向上するために十分な継続研鑽(CPD)を行う。
12 判断:複合的な活動に当たり、要求事項が競合することや知識の不完全なことを考慮して、複合性を把握し代案をアセスメントする。このような活動の過程で、確かな判断を行う。
13 決定に対する責任:複合的な活動の一部又は全てに関して行う決定に対して責任を持つ。

【注】文部科学省 平成22、23年度 先導的大学改革推進事業「技術者教育に関する分野別の到達目標の設定に関する調査研究報告書」のうち、 (参考資料) 国際エンジニアリング連合「卒業生としての知識・能力と専門職としての知識・能力」 278、279ページ (同調査研究の一環として行われた、「IEA Gradate Attiributes & Professional Competency Profiles」の翻訳)から引用し加工。

【参考URL】
IEA Graduate Attributes and Professional Competencies の元本
http://www.ieagreements.org/assets/Uploads/Documents/Policy/Graduate-Attributes-and-Professional-Competencies.pdf

【参考資料】
文部科学省先導的大学改革推進委託事業「技術者教育に関する分野別の到達目標の設定に関する調査研究 報告書」(調査受託:千葉大学)
本報告書の著作権は文部科学省に帰属します。
本報告書の内容等についてのお問い合わせのある方は、文部科学省高等教育局専門教育課宛てに御連絡下さい

(下記「添付資料」欄からダウンロードできます。システムの仕様上、報告書は12のファィルに分割しています。)

「技術者教育に関する分野別の到達目標の設定に関する調査研究」報 告 書
− 目 次 −
はじめに_5
1.工学と基幹分野について_10
2.委託事業概要_17
3.技術者教育の現状と問題_19
4.技術者教育に関する分野別の到達目標の設定の考え方と全体構造について(全体のイメージ図と分野毎の科目や項目間の関連図)_21
5.技術分野共通(知識・理解)の到達目標及び学修に当たっての配慮事項
(1)数 学_33
(2)物 理_60
(3)化 学_78
(4)情報リテラシー_83
(5)工学基礎_85
6.技術分野の到達目標及び学修に当たっての配慮事項
(1)機械分野_91
(2)電気・電子分野_98
(3)建築分野_110
(4)土木分野_121
(5)化学分野_135
(6)バイオ分野_146
(7)情報・通信分野_159
7.共通的な「汎用的技能」「態度・志向性」「総合的な学習経験と創造的思考力」の到達目標及び学修に当たっての配慮事項
(1)汎用的技能(応用的能力)_222
(2)態度・志向性(道徳的能力)_224
(3)総合的な学習経験と創造的思考力_225
(4)共通的な「汎用的技能」「態度・志向性」「総合的な学習経験と創造的思考力」_225
(5)到達目標(学習成果)の企業での活用_236
8.分野別の到達目標の大学の教育課程への有機的な盛り込み_250
9.参考となる論文・著書・授業やカリキュラムの良好事例・Web サイト_253
結 び_260
参 考
I. 国際エンジニアリング連合:
「卒業生としての知識・能力と専門職としての知識・能力」_265
II. パブリックコメント募集及び報告書掲載Webサイト_283
1.パブリックコメント募集Web サイトの紹介
2.報告書などの活動成果の情報発信サイトの紹介
III.調査研究会議開催状況_289

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