CPD支援委員会のホームお知らせ2月度技術士CPD中央講座(第143回)
講演会の概要
2002年に発覚したベル研究所の若き研究者シェーンによる有機超伝導をめぐる史上空前規模の63報もの論文捏造事件、2014年に社会問題となった理化学研究所の若き研究者小保方氏によるSTAP細胞は大発見と喧伝されながらも僅か1年後には研究全体が虚構であったことが判明した。これらの事件を取材した記者自身による研究不正の深層に迫り、各組織の対応の問題点を明らかにすると同時に昨今の企業による不正発生の要因についても触れる。
研鑽目的・目標
我が国の科学技術関係の研究は目覚ましいものがあるが、一方著名雑誌への投稿論文のデータ捏造等はマスコミを賑わしている。研究論文の不正(改ざん、盗用、捏造)は我が国だけでなく世界的に著名な研究所でも起きている。著名な科学ジャーナルは投稿論文の再現性や正確性を全く保証しておらず、研究者の「良心」に依存するのみである。過去から現在に発生した著名な事例であるベル研や理研の研究不正は研究者だけでなく所属する組織にも多大な問題があることが指摘されている。不正の起こらない研究開発環境を構築する可能性について論ずる。
2018年2月17日(土)13:00〜17:00
機械振興会館 地下2階ホール
〒105-0011 東京都港区芝公園3-5-8 地図
公益社団法人日本技術士会 CPD支援委員会
正会員(A)2,000円、準会員(B)1,000円、非会員(C)4,000円
※会費は資料代込みです。当日、会場の受付でお支払い下さい。
200名(定員に達し次第締切)
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お問合せ先:公益社団法人 日本技術士会 事務局 電話:03-3459-1331
◆ 講演1 : 史上空前規模の論文捏造から考える科学技術社会〜ベル研究所での事例から〜 70分
村松秀 氏 〔 日本放送協会(NHK) 編成局コンテンツ開発センター チーフプロデューサー 〕
科学論文の不正事件が後を絶たない、その中でも史上空前規模とも言われる論文捏造事件が、2002年に発覚した米国・ベル研究所での有機物超伝導をめぐるものである。ドイツ出身の若き科学者ヤン・ヘンドリック・シェーンが筆頭著者として書いた論文63報は、事実上すべて捏造・不正があったとされている。演者は番組ディレクターとして、その詳細を取材してきた。事件をつぶさに見ていくと、現代の科学技術コミュニティが抱える構造的な問題点が浮かび上がってくる。本講演ではベル研の捏造事件の取材をもとに、研究不正を生じさせないために何をしたらいいのか、考えを述べてみたい。
【キーワード】 不正事件、科学論文、史上空前規模、論文捏造、有機超伝導、捏造・不正、ベル研究所、ヤン・ヘンドリック・シェーン、研究不正、捏造事件
◆ 講演2 : STAP事件から考える研究不正の要因とリスク管理 70分
須田桃子 氏 〔 毎日新聞 科学環境部 記者 〕
2014年に社会問題となったSTAP細胞事件は、教科書を書きかえるような大発見と喧伝されながらも、論文発表直後に疑義が浮上し、わずか1年後には研究全体が虚構であったことが判明するという異例の展開となった。事件の経緯を振り返るとともに、論文発表に至るまでの道のりを取材に基づいてたどり、日本の科学史に汚点を残した研究不正の深層に迫る。さらに、疑義浮上後の理化学研究所の対応の問題点についても考えたい。
【キーワード】 STAP細胞事件、科学史、汚点、研究不正、リスク管理、理化学研究所
◆ 講演3 : 研究開発における倫理プログラムの可能性〜単なる研究不正防止を越えて〜 70分
札野順 氏 〔 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院大学院 環境・社会理工学院 社会・人間科学系教授 〕
国内外の代表的な研究不正事例の分析により明らかになった構造的要因について検討した上で、単なる不正防止ではなく、責任ある研究開発活動を促す「倫理プログラム」のあり方について具体例を使って解説する。ここでは、「倫理」とは、「よく生きる(well-being)」ために為すべきことを考え、行動することであることを確認し、「やってはならないこと」を強調する「予防倫理」だけでなく、「為すべきこと」を考察し、行動する「志向倫理」の重要性を論じる。
【キーワード】 研究不正事例、構造的要因、倫理プログラム、よく生きる(well-being)、予防倫理、志向倫理、倫理、研究開発活動
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