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CPD支援委員会

12月度技術士CPD中央講座(第138回)

 『東京電力福島第一原子力発電所の事故から5年、福島の復興を考える-知の統合に向けた専門家の役割-』

(講演会の概要)
CPD支援委員会では、本年3月に開催した『東京電力福島第一原子力発電所の事故から5年、現状と課題をリスクの大小を踏まえて理解する』に続き、今回は、発電所の外の現状と課題を紹介し、地域再生のために専門家の役割を考える講座を開催致します。

福島で今起きている問題は、原発事故によって引き起こされた。しかし、蓄積された膨大なデータから、初期対応により、生物学的な放射線による健康被害は封じ込めたといえる一方で、社会的影響、精神的影響による健康被害は増大し続け、故郷を失い地域社会や家族の分断という社会的災害の先が見えない現状がある。この理由を専門家の責任と役割の観点から明らかにしなければならない。

事故直後の放射線影響の回避という点では正しい対応が、住民の立場で考えた行動予測の欠如により、災害弱者と言われる人々の災害関連死や健康被害を引き起こした。避難指示が二転三転したことや低線量放射線被ばくの健康影響に関して、いわゆる専門家の意見が割れたことは、政府や専門家の信用を失墜させた。当時、一般の方々のリスク認識や正しい放射線知識の必要性が唱えられた。指摘はその通りであるが、その前に、専門家や行政側の危機管理、クライシスコミュニケーションの問題、リスクトレードオフの課題を明らかにする必要がある。
緊急時を脱し放射線影響に関する情報が蓄積されてから、11の省庁が連携し100人もの放射線の専門家が共同して、福島の情報を整理した。しかし、その情報は、福島に住む人々はおろか、福島以外の外部の人々や専門家にも十分に浸透しているとは言えない。実際、福島のイメージが固定化され、人々の尊厳を傷つけ誤解を生む情報が繰り返し発信され、風評被害も繰り返されている。最低限の情報を知らずに漠然とした不安を語る人も多数存在する。事故当初の専門家のリスクコミュニケーションの失敗に端を発することだが、リスコミ強化のために、個人の不安に対応した少人数によるきめ細かな対応、正確で分かりやすい情報発信、地元に密着した専門人材の育成強化等を唱えるだけでは不十分である。福島の問題の真の原因を読み解くべく、様々な専門家で共同し、「分かりやすい情報」の真意を考える必要がある。

今、専門家に求められることは、自らの役割は人々が健康な生活を送るためにあることを、一般の人々と共有することである。放射線知識はもちろん、リスクの相場観の普及も目的ではなく、人々の判断基準の一選択情報に過ぎない。すると、「放射線影響」は特別ではなく、放射線以外の情報こそ大切であることが見えてくる。福島の実情を示す正確な情報、生活につながる情報は地域への理解を生み、人の生命活動・健康全般に関連する情報、人の思考過程に関連する情報を取り込むことで知識として整理する。知の統合を図り、生活に役立つ知恵に変えれば、言葉は共通になり、地元の人々との会話が情報源となり、リスクの物差し・定量的な議論にも進むことも可能となる。これは放射線の専門家だけでは成し得ない。

本企画は、福島の再生とそこで生きる人々の精神と身体の健康を守るために、免疫学、公衆衛生と臨床、社会心理学の立場から福島の問題に取り組み情報発信に努めている3氏を迎え、知の統合を図るための手助けを行うことが目的である。事故の経験を乗り越えて、人々の健康の回復、地域の創生、真の減災への取り組みを、部門を超えて協力するための足掛かりとなることを狙っている。

日 時

2016年12月17日(土)13:00〜17:00

場 所

エッサム神田 【2号館】 3階大会議室
 〒101-0047 東京都千代田区内神田3-24-5   地図

エッサムビルは神田駅周辺に3棟あります。今回は【2号館】ですので地図をご確認ください。

主 催

公益社団法人日本技術士会 CPD支援委員会(協力:原子力・放射線部会)

会 費

正会員(A)2,000円、準会員(B)1,000円、非会員(C)4,000円
 (なお、CPD覚書を日本技術士会と締結している学協会*)の会員は、正会員と同額となります。)

*) 電気学会、日本機械学会、日本原子力学会、日本保健物理学会他全11学協会があります。参加申し込みに際しては、「連絡事項」欄に団体名をご記入いただき、当日会員証をご持参下さい。(覚書締結団体はこちら

※会費は資料代込みです。当日、会場の受付でお支払いください。

定 員

 140名(定員に達し次第締切)

申込み先及び問合せ先

会員ID・PWをお持ちの方は、こちらからお申込み下さい。
会員ID・PWをお持ちでない方は、こちらから、または、参加費区分(会員(A)、準会員(B)、非会員(C))氏名(フリガナ)、部門、所属、連絡先住所、E-Mail、Tel、Faxをご記入のうえ、下記Faxあてお申込み下さい。
Fax:03-3459-1338

お問合せ先:公益社団法人 日本技術士会 事務局 電話:03-3459-1331

内 容

◆ 講演1 「低線量放射線の影響と食の重要性、情報発信における専門家の責任
 宇野 賀津子 氏
〔公益財団法人 ルイ・パストゥール医学研究センター 基礎研究部 IFN・生体防御研究室室長〕

 福島原発事故直後から、低線量放射線の影響で一番心配されているのががんリスクだったら、癌(の再発)を予防するライフスタイルや免疫機能を活性化する方法等の研究に係わって来た経験が役立つと、発言し今に至っている。免疫学者としては、わずかな放射線よりも恐怖で免疫機能が低下する、あるいは放射能汚染への不安から野菜不足となる方が、がんリスクは高くなるので、リスクは総合的に考える必要があると,言い続けてきた。これまでに学術振興会や日赤の要請で、福島での低線量放射線の影響と食の重要性についてお話をしてきましたが、県外避難者の推移をグラフ化すると、2011年夏以降県外避難者が増加し2012年3月がピークであることが解ります。何故事故がある程度落ち着いて後も県外避難者が増えたか、政府の動き、科学者の発言と関連して考察する。

◆ 講演2 「福島復興に向けて把握すべき事実と課題、専門家/メディア・国民/住人各々の課題
 開沼 博 氏
〔立命館大学衣笠総合研究機構准教授〕

◆ 講演3 「福島トリプル災害の真の健康被害とは:現場からの知見
 越智 小枝 氏
〔医療法人 相馬中央病院 内科診療科長〕

 地震、津波、放射線災害という福島のトリプル災害における健康被害のほとんどは放射線被害ではない。大量避難、風評被害、失業、コミュニティ崩壊などの様々な要素が直接的・間接的に健康被害を生ぜしめている。しかし福島の議論が放射能とがんに終始することにより、大量かつ現在進行形の健康被害が今なお見過ごされている。将来世界で起こり得る原発事故をはじめとした複合災害において同様の被害を繰り返さないため、福島に生じた多様な健康被害を俯瞰することは必須である。真に実際的な災害対策のため、福島の医療現場において得られた知見を提供したい。

 

各講演の内容が決まり次第、随時更新します。
プログラムは当日変更となる場合がございますのでご了承ください。
後日、技術士会HP等で公開される開催報告等に当日の写真を掲載することがございますがあらかじめご了承ください。

このページのお問い合わせ:CPD支援委員会

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