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CPD支援委員会

3月度技術士CPD中央講座(第131回)

※定員に達したため申込み受付を締め切りました。沢山のお申込みありがとうございました。(2/5)

 『東京電力福島第一原子力発電所の事故から5年、現状と課題をリスクの大小を踏まえて理解する』

(講演会の概要)
CPD支援委員会では、東京電力福島第一原子力発電所(以下、「東電福島原発」という)の事故後5年が経過する日に、発電所サイト内の現状と課題を紹介するための講座を開催致します。

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴い発生した大津波により、東電福島原発事故が起こりました。今でも現地で暮らしていた人々の多くは故郷を離れ苦汁の日々を送っており、事故の影響は長く続いています。それでも、事故直後の危機的な状況に比して、整然とした発電所内の映像が度々流れるようになりました。廃炉への道は遥か先まで続きますが、大きなリスクを抱えながらも、一歩ずつ前進しているかに見えます。

一方で、東電福島原発の廃炉に向けた作業と通常の原子力発電所の廃炉作業とが、何が同じで何が異なるのか理解し難く、加えて、汚染水問題などのように対策が多肢に渡るうえに根拠となる技術的知見が分かり難い対応も多く、全体像を把握することは容易ではありません。また、汚染水の漏洩や、敷地外への意図しない放出等の報道も濃淡なく流れており、不安や不信感が払拭できない状況にあります。

このような中で、平成27年6月に「廃止措置に向けた中長期ロードマップ」が改定されました。この改定では、発生している種々のトラブルを踏まえ、スピードよりも長期的にリスクが着実に下がるように優先順位をつけて対応する方向に軌道修正がされており、主要作業の目標工程の見える化に気を配っています。

また、主たる作業以外にも、敷地外に影響を与える可能性のあるリスクを総点検して、液体やダストを中心に現場で行う具体的な作業の品質管理にも着目し、現場の作業安全も重視して、業種を問わず共通の価値観で理解しやすいように工夫されています。

本講座では、東電福島原発が抱える事象を、潜在的なリスクの大きさと敷地外への制御されない放出の起こり易さをキーワードに整理して、現在進行中の作業と将来の課題を大まかに把握して頂くことを目標とします。加えて、原子力・放射線分野を専門としない方々には、現場が抱えるニーズに対してご自身の専門分野からの提案を、原子力・放射線分野を専門とする方々においては、他分野の方々の疑問を知って頂き、ご自身が整理して説明できる知見を得て頂くことを目的とします。

なお、東電福島原発事故を受けて、多種の関心が皆様にはあると思いますが、今回の企画は東電福島原発内の事象の理解に特化し、原子力に関する政策的な課題等には触れないものと致します。

日 時

2016年3月12日(土)13:00〜17:00

場 所

機械振興会館 地下2階ホール
 〒105-0011 東京都港区芝公園3-5-8   地図

主 催

公益社団法人日本技術士会 CPD支援委員会(協力:原子力・放射線部会)

会 費

正会員(A)2,000円、準会員(B)1,000円、非会員(C)4,000円
 (なお、CPD覚書を日本技術士会と締結している学協会*)の会員は、正会員と同額となります。)

*) 電気学会、日本機械学会、日本原子力学会、日本保健物理学会他全11学協会があります。参加申し込みに際しては、「連絡事項」欄に団体名をご記入いただき、当日会員証をご持参下さい。(覚書締結団体はこちら

※会費は資料代込みです。当日、会場の受付でお支払いください。

定 員

 200名(定員に達し次第締切)

申込み先及び問合せ先

会員ID・PWをお持ちの方は、こちらからお申込み下さい。
会員ID・PWをお持ちでない方は、こちらから、または、参加費区分(会員(A)、準会員(B)、非会員(C))氏名(フリガナ)、部門、所属、連絡先住所、E-Mail、Tel、Faxをご記入のうえ、下記Faxあてお申込み下さい。
Fax:03-3459-1338

お問合せ先:公益社団法人 日本技術士会 事務局 電話:03-3459-1331

内 容

◆講演1「東電福島原発サイト内の現状と課題、抱えているリスクと戦略プランの背景を理解する」(基調講演)
 岡本 孝司 氏(東京大学 大学院 工学系研究科 原子力専攻 専攻長・教授

 はじめに、東電福島原発の廃炉作業と一般的な廃炉作業との相違点を考えながら、現在の状況と作業の全体像を把握する。この講演の中で、それぞれの活動や施設が抱えている潜在的なリスクについて整理することを試みる。具体的なリスクとしては、例えば、発電所サイト内で直面している汚染水の処理から保管における漏えい、放出等のリスク、廃止措置に係る各種作業、2次廃棄物を含めた廃棄物の処理・処分等に係る作業管理上のリスク、施設設備の劣化、破損等による災害のリスク、技術開発の失敗等のリスクが考えられる。また、整理にあたって、様々な潜在的リスクを、敷地外への制御されない放出等の影響の大きさと起こり易さをキーワードに分類するととともに、時間的なリスクの増減、リスクトレードオフを考えつつ、改訂された中長期ロードマップを眺めることにより、その背景にある思想を理解する。

◆講演2「汚染水の問題とその対策の状況を理解する」
 大西 有三氏(関西大学 特任教授、京都大学名誉教授、エネ庁汚染水処理対策委員会委員長

 次に、現在直面している汚染水の問題に対する技術的事項についての理解を深める。汚染水の発生状況、汚染源、地下水の流入経路等の関連する事項について、調査の状況、採られてきた対応の経緯について確認した後、中長期ロードマップに記載されている、(1)汚染源を取り除く、(2)汚染源に水を近づけない、(3)汚染水を漏らさない、の3つの方針に沿って、具体的に対策を進めていく上での技術的な課題、その関連事項について整理する。汚染水の問題は、その放射性物質のレベル、滞留場所の敷地境界との距離、管理状況の違いによって、環境への影響度が大きく異なる。(1)に関しては、放射性核種の濾過を中心とする処理技術に加え、トリチウムの取扱いについての理解が必要であり、適用可能な候補技術、希釈放出等を含めた評価検討の状況について把握する。さらに(2)と(3)については、陸側遮水壁(凍土壁)、海側遮水壁、地下水バイパス、サブドレンによる水位調整、雨水の遮水処理(フェージング)等行われているものの、表層水や地下水の動き等の基礎的な情報が乏しく、ここの対策の関係や有効性が理解しにくい状況にあること、品質管理上の問題から汚染水が敷地外に漏洩しているトラブルが頻発していることを考慮し、得られている情報を基に、環境への実質的な影響や、発生抑制のための手段、環境への放出抑制のための手段を含めて、今後どのような管理を行っていくべきかを考える。

◆講演3「廃炉に向けた主たる作業、燃料デブリの取り出しに関する課題を理解する」
 鈴木 俊一 氏 (東京大学工学系研究科 原子力国際専攻 特任教授)

 最後に、今後の廃止措置に係る対応において、最も困難な課題の一つである燃料デブリに係る課題について理解を深める。炉内の状態を確認することを含む燃料デブリの取出しは、廃止措置のプランに大きく影響する。TMIにおいて、燃料デブリについては冠水工法による取出しが行われたが、東電福島原発においては、原子炉の損傷が大きく、冠水工法が採用できない可能性がある。また、燃料デブリの性状を把握し、その後の安全管理、処理をどのように行うか等、多くの技術開発要素を含んでいる。そこで、周辺技術も含めた必要な技術開発項目、技術開発の現状を把握する。また、合わせて、TMIの燃料デブリの調査研究の状況等、燃料デブリに関する関連情報等を得る。

※プログラムは当日変更となる場合がございますのでご了承ください。
※後日、技術士会HP等で公開される開催報告等に当日の写真を掲載することがございますがあらかじめご了承ください。

このページのお問い合わせ:CPD支援委員会

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