原子力・放射線部会のホーム部会活動状況住民目線のリスクコミュニケーションを考える(平成27年度活動)
当部会では、東電福島第一原発事故以降、被災された方々への支援のために種々の取組みを行っております。昨年度は「部会員の福島支援活動の経験から、住民目線のリスクコミュニケーションを考える」と題し、経験値の共有化を目指して、経験者の講演聴講や意見交換を行いましたが、住民とのコミュニケーション活動が未経験の技術士の方々が『「技術士として何に取り組むべきか」を考え、自らの行動に反映する』ところまでは至りませんでした。
そこで、第49回技術士の夕べ(2016年3月)では、経験が重要と考え、原子力・放射線に関する相談を受けた場合を想定したロールプレイ(疑似体験)を行うことにしました。以下のような相談に対し、技術士として答える場面を想定してみてください。あなたならどのような対応ができるでしょうか。
〔相談を受けた時の想定〕
・私は 50 代の女性。東京在住。夫と20 代の娘がいて、同居中。
・娘には現在遠距離恋愛中の交際相手がいて、娘は結婚を意識している様子。
・交際相手は 10 年ほど原子力発電所で働いており、仕事上被ばくをしている。被ばくをしている以上、健康への悪影響があるはずで、心配である。
・また、娘は結婚すれば、原子力発電所の近くに住むことになるが、福島と同じような事故が起きれば、娘の健康にも影響が出ることが心配。
・自分はいろいろ心配しているのに、当の娘が全く何も考えていないことが腹立たしい。どう娘に説明すればよいか。
※実際、相談者を受ける場合において、相談者は自身である程度調べていることが多いと思いますが、
専門家ではありませんので、それが正しい情報とは限りません。また、そのような情報を信じきって
いる場合があります。
相手の情報を否定し、問題ありませんということがあなたの答えでしょうか?
ロールプレイが進んでいく中で、相談を受けた側の役を担った参加者は、技術的説明に固執するのではなく、徐々に相談者の真の悩みがどこにあるのかを考え、具体的な解決手段を提示する方向に向かい始めました。相手の立場に立つことの重要性が理解されたと考えております。
この企画には、原子力学会倫理委員長の大場恭子氏にお越しいただき、ロールプレイの講評と、リスク・コミュニケーションにおけるポイント、留意点などをお話し頂いております。詳しくは、こちらのレジメ、資料をご覧ください。
報告資料( 概要版 、 詳細版(会員の方) )
大場恭子氏 講演資料(会員の方)
住民目線のコミュニケーションに係る企画は、今回で終わりではなく、今後も継続して取り組んで行きます。企画に参加いただき、技術士としてどうあるべきかを考え、実際のコミュニケーション活動に活かしていただければ幸いです。
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