未来の社会を
こころ豊かにしたい
小山 匡子さん化学部門株式会社スモールウィン 勤務

1.私の仕事

私は、食品や化粧品の原料を製造販売する企業で技術営業をしていました。様々な素材を開発するとともに、食品原料や化粧品原料としてどのように使えるかも検討し製造企業に提供していました。食品や化粧品を商品化する企業の研究者に、原料の価値を知っていただくのが技術営業の仕事です。研究者の方から「面白い原料を紹介してくれたから、よい商品がつくれた」と言っていただけた時は達成感があります。併せて市場のニーズやトレンドの情報提供も心がけ、よりよい商品づくりのサポートになるよう原料を紹介しています。

お客様に技術説明

私は学生時代から洗剤や化粧品に使われる原料にかかわる界面化学を研究してきました。この研究を足がかりに、化粧品を商品化検討する研究者がどのような視点で面白い原料と思っていただけるかを考え、データを採取し提供しています。

機器を用いて泡の測定

一例ですが、洗顔料の泡の質の測定方法を検討し、当社原料により泡の質感が変化することをデータで示しました。心地よい泡の感触をつくるにはどうしたらよいかを提案することができました。多くの化粧品研究者に知っていただくために、それを学会発表や対外発表もしています。

研究成果の対外発表

2.技術士になったきっかけ

私の仕事は技術士の資格がないとできない仕事ではありません。化学の専門を深めるのであれば研究機関で研究をすることで深めることができます。(私も大学との共同研究などで博士を取得しました)
しかしながら現在の社会では化粧品をひとつとっても、原料の由来は安全・安心なものか、パッケージは環境にやさしいか、製造は再生可能エネルギーで作られているのか、など消費者の問題意識は厳しくなっています。科学の専門を極めるだけではなく、消費者の不安を取り除き、社会の役に立つ科学技術に視点を移して技術士を取得しました。化学だけでなく、科学を広く学び考え、さらに社会に貢献していくことを目指しています。

3.これから目指すこと

技術士は経験を積んだ科学技術のプロなので、その一員となって身が引き締まる思いがします。化学部門の技術士の方々と話をする時でも、他の部門の技術士の方とのコミュニケーションの際も、初めて知る情報や技術から、科学技術の重要性を俯瞰して考えるようになりました。
多くのモノに囲まれた豊かさの時代から、コト消費さらにはストーリーまでも求められる時代となり、モノの価値から生活者の安心・心のゆとりや豊かさが価値に変わってきていると言われています。安心安全なモノづくりや心地よさの測定などをはじめ化学部門の技術士の経験と知恵がこれから益々生きてくると考えています。
現在、出身大学同窓の技術士が集う理窓技術士会にも運営委員として参加しています。技術士の資質の向上を図るよう努める自己研鑽の一環としても、他部門の技術士の方々とのコミュニケーションをとる良い機会として活動しています。

他部門技術士とWEB会議

4.趣味

茶道を趣味としておりお客様を招いたり、お稽古したりしています。茶道裏千家の教授者として自宅の茶室で指導もさせていただいております。茶がなぜ緑色なのか?抹茶が泡立つのはなぜ?カテキンの免疫調整作用は?など、科学的な興味もわいてきますが、茶道で大切にしている季節のうつろいや一座建立を通じて、穏やかなひと時を楽しんでいます。

拙宅茶室にお客様を招いて
プロフィール
  • 1988年4月 大学卒業後、味の素株式会社入社、中央研究所ファイン研究所に配属 化粧品原料の研究開発・テクニカルサービスを担当(その間、大学との共同研究員)
  • 2002年4月 アミノ酸技術室にて分析・評価技術・品質管理等担当
  • 2006年4月 バイオ工業化センター素材製品開発部 品質技術グループ長
  • 2007年4月 健康基盤研究所に異動
  • 2010年 株式会社ナノエッグに転職(化粧品原料営業担当)
  • 2013年 太陽化学株式会社に転職 化粧品原料のテクニカルセールスほか、化成品・食品原料の営業、新事業開発などを担当
  • 2017年 技術士(化学部門)取得
  • 2021年 株式会社スモールウィン設立
受賞歴
  • 2003年 日本化学会コロイドおよび界面化学部会技術奨励賞 受賞
資格
  • 技術士(化学部門)
  • 博士(工学)
  • 危険物取扱者甲種
  • 二級知的財産管理士(管理業務)
趣味
  • 茶道、スキー
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