人とのつながりを大切に、
地域の明るい未来をつくる
永井 登茂美さん建設部門総合技術監理部門合同会社LinC 勤務

1.どうして技術士になったのか

私は、大学で建築を学び、卒業後、建築関係の会社に勤めました。しかし、男女の扱いなどにちょっと悩んでしまい、一度仕事をやめました。その後、「違う分野の仕事を経験してみよう!」と、会社名のイメージから応募したところ、なんと、建設コンサルタントの会社でした。
「この業界から逃れられない運命なのだ」と覚悟を決め、技術者として生きていくという意志を周りに示すため、一級建築士の資格を取得、出産を経て(出産後の初外出は技術士一次試験!)、技術士の資格を取得しました。出産は女性の人生にとって大きな節目になります。31歳で私は「技術士」となり、出産後も技術者として仕事を続けていく人生を選びました。

2.技術士として、こんな仕事をしています

私は、都市、住まい、建築、地域活性化などに関わる調査検討、計画づくりなどに携わっています。
例えば、行政が「この地域は人口がどんどん減っていくけれども、なんとか地域を活性化させたい」と考えた場合、この地域の人口、世帯、建物の状況、住んでいる人の考えなど様々な情報収集や調査を行い、また、ワークショップなどを開催して地域の人の考え方などを聞き、地域が抱えている課題を整理し、その課題を解決して地域の活性化に向けた取組などを考えます。

地域の方々の意見をまとめます

このような仕事をしているなかで、『考えたものを実現するまでお手伝いしたい』『自らも実現に向けて動かなければ』、そんな思いを強く持つようになりました。そのため、2019年に会社を立ち上げ、今後は、地域の皆様と意見交換しながら、地域活性化に向けた取組を自ら実践することに重点を置いていきたいと思っています。
私が仕事を行う上で大切にしているのは、人とのつながりを大切にして、信頼できる仲間と良いチームワーク築きながら進めることです。気軽に意見を出し合って、1+1が3にも5にも10にもなるような、そんな強いチームワークで進めるプロジェクトを今後も作っていきたいと思います。

仕事ではチームワークを大切に

3.働き方については試行錯誤の連続

私にとって最も大切なものは家族です。プライベートでは、家族や仲間とキャンプに行くのが大好きです!共働きで毎日時間に追われて自分の時間があまりとれないのは永遠の課題ですが、子ども達の笑顔や頑張る姿に励まされながら、幸せな日々を過ごしています。
最近は、「子どもも大きくなってきたし楽になるかな」と思っていたら、主人が単身赴任、両親も近隣から遠方へ引っ越し、さらに、トラブルが続いて手のかかることが増えるなど、なぜかなかなか楽できません。「どうやって仕事と家庭を両立していますか?」とよく聞かれますが、両立しようと思っていません。毎日、今何を優先すべきか、やらなくてよいことは何か、家族の笑顔を大切にしながら試行錯誤しています。

息子からの嬉しい励まし(涙)

今、「働き方」の転換期を迎えているのではないでしょうか。建設業界は忙しい業界の1つですが、国民の生活に寄り添って技術を活用していくためには、自らの人生・生活に目を向ける必要があると思います。ワークinライフ、豊かな人生・生活をベースに仕事をどう位置づけるかが重要だと思っています。
「残業しないなんて無理」という言葉を耳にしますが、自分が望む働き方、生き方を実現したいのであれば、すぐに大きく変えられなくても、今できることはたくさんあると思います。自ら環境を変える意味で、「技術士」の資格を取得することは有効です。特に、女性は、少ないからこそ目立つ、評価される、自信がつく。私は、その恩恵を受け、これまで充実した毎日を送っています。

愛すべき、技術士仲間と!

4.技術士になって良かった!

私の仕事は、都市・地域計画の分野以外に、福祉、教育、環境、経済など多くの関連分野について理解し、総合的に判断する能力が求められるため、建設部門に加え、総合技術監理部門の資格を取得しました。比較的若い年齢で取得したことにより、早くから責任ある仕事、難しい仕事などを経験し、管理職として人材育成やマネジメントに携わることができました。技術士の資格取得は、技術者としての人生に大きなメリットがありました。
また、技術士会での活動は、私の成長、仕事の質向上のためにとても有意義なものになっています。技術士になった直後から、北海道本部の「青年技術士交流委員会(青技交)」の幹事となり、たくさんの先輩技術士、全国の若手技術士と出会い、導かれて、一気に人脈・視野が広がりました。特に、平成25〜26年に青技交の委員長を務めたことは、貴重な経験となりました。

技術士会活動(技術士を知ろう!)

昨年、長く務めた青技交を卒業したため、これからは、「社会活動委員会」「技術者のミライ研究委員会」などを軸に、技術士会を活性化すべく、積極的に活動していきたいと思っています。
これまでのキャリアを振り返ると、「技術士になってよかった!」と心からそう思うことができます。そして、私の経験、感じていることを、これからもいろいろな場面で発信して、若い技術者の方のほんの小さな支えになれたらと思います。

技術士会活動(学生と地域との取組)
プロフィール
  • 平成9年4月 大学卒業後、株式会社土屋ホームへ入社、住宅設計の仕事に携わる
  • 平成11年11月 株式会社北海道建築総合研究所へ入社、建築設計の仕事に携わる
  • 平成13年5月 結婚
  • 平成14年1月 日本データーサービス株式会社へ入社、都市・地方計画の仕事に携わる
  • 平成16年2月 一級建築士取得
  • 平成16年9月 長男出産
  • 平成18年3月 技術士(建設部門)取得
  • 平成21年3月 技術士(総合技術監理部門)取得
  • 平成23年1月 次男出産
  • 令和元年12月 合同会社LinC設立、地域活性化に向けた事業に取り組む
資格
  • 技術士(建設部門:都市及び地方計画、総合技術管理部門:建設[都市及び地方計画])
  • 一級建築士
趣味
  • キャンプ、読書、ピアノ、水泳
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