(1)(独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所

    所在地 つくば市池の台2

 

 環境保全技術に係る現在実施中の研究について見学した。

  当研究所(筑波地区)で行なわれている研究領域は、家畜の育種繁殖、生理栄養、食肉特性等の品質開発など、多面にわたっている。今回は、家畜ふん尿の資源循環等環境保全型畜産に関する実施中の課題について、その研究プラントの設置箇所で、担当の研究者から説明をしていただいた。

  @嫌気性と好気性の二段階処理式畜産汚水浄化システムの開発

次の4つの部分で処理システムを構成している。

   @ 沈みやすい有機物と結晶化させたリンを沈殿させて取り除 く前処理槽

   A メタン細菌が活躍して汚れをメタンガスに変える嫌気槽

   B 好気性微生物が活躍してさらに水を浄化する好気槽

   C 最後に残った窒素分を除去する脱窒槽

   実証試験を基に、豚1万頭飼育規模レベルの施設設計・維持管理暫定指針を平成1610月に作成した。(写真1)

A     結晶化反応を用いた豚舎汚水中のリンの除去・回収技術

 肥料としてのリンは輸入リン鉱石にほとんどを依存しているが、その資源の枯渇化がいわれている。他方豚舎汚水中のリンは、国内で年間約1万トン排出されている。

リンの結晶化反応(リン酸マグネシウムアンモニウム反応)を利用して、こうした汚水中の水溶性リンを不溶化・除去するとともに、回収する技術の確立・実用化の必要性が高まってきている。

 そこで、簡便な方法として、曝気することで汚水中の炭酸ガスを追い出し、pHを上昇させ、リン酸の結晶化反応を進行させることの実証試験に取り組んでいる。