2009年に開催した例会及び講演会の報告等を掲載しています。
小林修 先生 東京大学理学系大学院 教授
水系媒体中での有機合成反応は、溶媒や反応基質等の脱水乾燥の必要が無い等の利点以外に、ユニークな反応性や選択性も実現でき、本講演では、ルイス酸-界面活性型一体触媒、 特にLASC型Sc触媒またはBi触媒、及びビピリジン型キラル配位子触媒等を用いる高選択性反応、完全水中で不斉反応、世界で初めて水系で機能するSc・キラルビピリジン錯体による反応等が紹介された。医薬品や機能性材料の創成、「ものづくり」の中核に位置付けられる反応であり、今後のR&Dの一助になる有意義な講演であった。
松田臣平氏(マツダリサーチコーポレーション・日本技術士会理事)
ベンチャーキャピタル(VC)に持ち込まれる技術的な案件では、実現性を評価しなければならない。演者の電機メーカでの研究開発の考察から、「試作品が出来て、15年も実用化しない技術は、永久に実用化しない」という「経験則」を見出した。VCでは思いもよらぬ素晴らしい技術、例えば、大企業の研究者が大勢で何十年もかけても思い至らない技術をベンチャーが開発した例にも出会え、本講演ではこれらの具体例の紹介がなされた。
北澤宏一 氏 科学技術振興機構 理事長 東京大学名誉教授
日本経済のバブル崩壊以来、1995年に科学技術基本法が制定され、現在の基調を作った。さらにその間に大学や国研の独法化が行われた。
基本的には科学技術政策に計画立案義務、評価、社会への開放、競争的環境の付与などが新たな因子として導入された。それらがどのような効果を与えているのか、そしてそれがどのように活きているのか、さらに「元気な父さんの出稼ぎ留守宅国家日本」としての新たな問題点についても言及された。
伊藤順一 氏 工業所有権センター 技術士(化学部門)
かって米国の大手化学企業と約3年間、Dry Film Resistの共同開発(改良)を行った。
その際、経験した共同開発のメリット・デメリットや慣習の違い及びそこで学び取った幾つかの教訓を紹介された。
いばらき量子ビーム研究センターおよび J−PARK
若手グループ主催(第1回休日開催イベント)
テーマ「化学系企業の地球環境問題やCSR等に関する取組み」
講演1:田中栄司 氏 (株)地球快適化インスティテュート 三菱ケミカルHD系 取締役副所長
講演2:藤間俊彦 氏 旭硝子(株)中央研究所環境安全保安室 技術士(化学、総合技術管理)
テーマ「滑らない技術と滑らせる技術」
講演1:滑らない技術 「スタッドレスタイヤ」
竹下通孝 氏 日本ゴム工業会 元ブリジストン 技術士 (化学部門)
講演2: 滑らせる技術 「潤滑油と冷凍機油」
時合健生 氏 出光興産(株)潤滑油部 技術士 (化学部門)
岡田弘晃 先生(東京薬科大学教授)
米国では、バイオ医薬品の売上げが医薬品総売上げの30%近くになり、2007年の抗体薬の売上高は260億ドルに達した。近年、古くて新しいペプチド・タンパク質と、siRNA・miRNA、アプタマーなどの新しいバイオ素材による創薬が期待されている。超速効性・持続性インスリン、Byetta、アプタマー、さらにそれらを医薬品に仕上げるためのPEG化、細胞透過性ペプチド(CPP)、タイトジャンクション開口ペプチドなどのDDS素材を用いた遺伝子治療、細胞治療などの最先端の話題についても紹介された。マイクロRNAなど生化学の領域につき少し理解でき、また薬は20歳台の人を助けるためのものとのお言葉が印象的で、ガンの征圧も夢でないと実感できた。
平野輝美 氏 技術士(化学部門)
メッキに代表される金属調の装飾技術は,長い歴史を持って活用されている。環境的な要請から制限が厳しくなり,新しい技術展開が求められている。銀鏡塗装技術は銀の還元反応と塗装プロセスを組み合わせた金属調装飾を形成する技術として上市されている。未来の加飾技術としてこの銀鏡塗装を考え,「加飾技術研究会」にて展開を図っており、この加飾技術研究会の運営と技術士業務としての考え方を紹介された。加飾技術研究会については、部会のなかでいろいろの意見・コメントがでて、非常に活発な例会となった。
府川伊三郎 氏 旭化成 顧問
井原博之 氏 技術士(化学部門)
今成真 氏 触媒学会会長 元三菱化学常務取締役
前田賢二 氏 東京ガス 技術士(化学部門)
入江正浩 先生 立教大学 教授
黒田 誠 氏 技術士(化学部門)
産総研臨界副都心センター(バイオ中心)
細見 彰 氏 筑波大学 名誉教授
鹿島 實 氏 技術士(化学部門)
丸田和高 氏 林原生物化学研究所 主管研究員
山田興一 氏 東京大学 理事
坂本国輔 氏 技術士(化学部門)
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