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行事案内
【例会案内】2025年10月例会(秋の例会)
日時:2025年10月11日(土)13:00-18:30
場所:機械振興会館 6階 会議室6-66(東京都港区芝公園3-5-8)およびオンライン(Teams)によるハイブリッド開催
対象:日本技術士会 正会員・準会員
参加費:日本技術士会 正会員・準会員:1,000円(新CPD行事参加申込サイトにて一括支払い)、情報交換会:500円(会場にて現金支払い)
テーマ:AlphaFoldから探るAIの可能性 〜AIとの協働で切り拓く生命科学〜
概要:2024年のノーベル物理学賞・化学賞がともにAI関連技術に授与されたことは、科学の世界におけるAIの存在感を鮮烈に示しました。中でも「AlphaFold」は、タンパク質構造予測という生命科学の根幹に革新をもたらした、象徴的なAIツールです。本例会では、政界からはAI時代における技術士への期待、学術界からはAlphaFoldの理論と応用、産業界からAlphaFoldの創薬現場での実践例をご紹介いただきます。AIが科学の常識を塗り替える変革期にあって、技術士には新たな知識やツールを積極的に取り入れる柔軟性と応用力が求められています。本例会が、業務におけるAI活用の可能性を広げる契機となることを期待しています。
プログラム:
13:00-17:00 講演会 司会:高橋俊哉 氏(技術士・生物工学部門)
・開会挨拶 部会長:東田英毅 氏(技術士・生物工学)
・講演1:技術士の活躍について
講演者:井林辰憲 氏(衆議院議員/与党技術士議員連盟 事務局次長)
要旨:技術士は高度な専門性と倫理観を備え、社会課題の解決に貢献する専門職です。今後はその役割をさらに広げ、DXの推進や政策形成、国際競争力の強化にも寄与することが期待されます。そのためには、制度整備と社会的地位の向上が不可欠です。これからの時代における技術士の使命と役割について、ぜひお話ししたいと思います。
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・講演2:AlphaFoldとは? AlphaFoldの仕組みと生命科学への波及効果
講演者:西羽美 氏(東北大学大学院 情報科学研究科 生命情報システム科学分野 准教授/お茶の水女子大学 基幹研究院 自然科学系 准教授)
要旨:AlphaFold2の公開から4年。数十年にわたり生命情報学における最大の課題(グランドチャレンジ)だったタンパク質立体構造予測は、いまや誰もが気軽に試せる身近な技術へと劇的に変化した。
本講演では、AlphaFoldがどのようなAI技術を用いてタンパク質構造予測を実現しているのかを、過去の研究の流れも踏まえてわかりやすく紹介する。また、現状の限界や使い方の注意点にも触れつつ、生命科学分野への影響と将来の発展について展望する。
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・講演3:タンパク質のフォールディング問題はAlphaFoldで解かれたのか?〜構造形成メカニズム解明へのもう一つのアプローチ〜
講演者:美宅成樹 氏(名古屋大学 名誉教授)
要旨:タンパク質がどのように立体構造をとるのかは、生命科学の大きな謎の一つです。AlphaFoldはこの構造予測に革新をもたらしましたが、私たちはさらに「生命の全体像」を捉える新しい視点から研究を進めています。ゲノム配列から生物の性質やタンパク質の構造分布を読み解くことで、AlphaFoldの成果と結びつける可能性が見えてきました。講演では、こうしたトップダウン型のアプローチがもたらす新たな展望についてご紹介します。
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・講演4:インシリコ創薬におけるAlphaFoldのインパクト
講演者:広川貴次 氏(筑波大学 医学医療系 ケミカルバイオロジー・IT創薬研究室 教授)
要旨:近年のインシリコ創薬において、AlphaFoldによる高精度なタンパク質立体構造予測は画期的な変革をもたらした。従来困難であった標的タンパク質の構造情報が網羅的に利用可能となり、ドッキングシミュレーションや分子動力学計算などの応用研究が加速している。特に、創薬標的の同定や結合ポケット探索、変異体解析などにおいて、AlphaFoldモデルは強力な出発点を提供する。一方で、動的構造や複合体形成予測には課題が残されており、MD計算や生成AIとの統合的利用が不可欠である。本講演では、AlphaFoldのインパクトを概観するとともに、今後のインシリコ創薬の展望を議論する。
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・講演5:創薬現場における「AlphaFold」活用の実際
講演者:トーレ・エリクソン 氏(大正製薬 研究本部 医薬研究センター 構造生物学研究室 グループマネージャー)
要旨:AlphaFoldの登場が創薬研究に与えた影響について、製薬企業の現場からの視点で考察します。第1部では、抗体創薬におけるタンパク質構造の重要性と、抗体の多様性生成メカニズムについて解説します。第2部では、AI技術の応用に焦点を当て、構造ベースの物性予測、逆折りたたみ問題へのアプローチ、さらには将来的な完全de novo抗体設計の可能性について展望します。本講演を通じて、AlphaFoldが創薬現場にもたらした変革と、今後の抗体設計・最適化におけるAIの役割について、皆様と共有いたします。
・閉会挨拶 理事:中野哲郎 氏(技術士・生物工学/総合技術監理)
17:00-18:30 情報交換会(別途、参加費500円が必要:任意参加)
参加申込:日本技術士会ホームページ・CPD行事参加申込サイトよりお申し込みください(会員パスワードが必要です)。
申込締切:2025日年10月3日(金)(厳守)
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