ナビゲーションを飛ばしてコンテンツへ
  • 生物工学部会のホーム
  • 地域本部・県支部・部会・委員会
  • 公益社団法人日本技術士会
  • RSSについて
生物工学部会

【例会案内】2022年2月例会(2021年度日本生物工学会学会賞受賞の会員2名による講演会)

日時:2022年2月12日(土)(講演会)14:00〜16:20、(技術懇話会) 16:30〜17:30
(幹事のみ:幹事会 12:00〜13:30)
場所:オンライン(Teams)
対象:日本技術士会 正会員・準会員
会費:日本技術士会 正会員・準会員1,000円(新CPD行事参加申込サイトにて一括支払い)
プログラム
 講演(1)
 越智 浩 会員 (森永乳業株式会社 素材応用研究所副所長、技術士(生物工学部門))
 「『ペプチドアレイ』を基盤とする低抗原性生理活性ペプチドの製造に関する研究」
 [講演要旨]
 乳たんぱく質の酵素加水分解物(乳ペプチド)は、育児用ミルクにおけるアレルゲン性低減や消化吸収性の向上などの用途で世界中で使用され、また近年では、血圧コントロールなど健康に関わる機能性が注目を浴びており、健康素材としての臨床試験も盛んに行われている。一方、乳ペプチド中には様々なペプチド配列が混在し、それら個々を対象として扱うことは困難であった。そのため、乳に限らず、ペプチド製造とその実用化に関する二大課題といえる、(1)抗原性ペプチド群の分解・除去と、(2)生理活性ペプチド群の標的製造を実現するには、分画・分析の繰返しや酵素の組合せの膨大な試行錯誤が必要であり、製品化して社会へ発信する上で大きな足枷であった。演者らは、任意のペプチド配列を小さな基板上に多数合成できる「ペプチドアレイ」をコアテクノロジーとして、ペプチドを個々の配列レベルで、精緻に分析・設計するための2つの基幹技術「Pep iEIA法」および「Pep-MS Assay法」を開発したので、ご紹介する。

 講演(2)
 小西 正朗 会員(北見工業大学工学部教授、技術士(生物工学部門))
 「微生物培地設計におけるAI活用(仮)」
 [講演要旨]
 地球温暖化の原因の一つとされる二酸化炭素の排出量の削減を達成するためには、産業構造の大きな変革が必要とされている。先般開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)にて,産業革命前と比べた平均気温上昇を2℃未満、できれば1.5℃に抑えることが目標として掲げられ、二酸化炭素排出量の多い石炭火力発電の段階的な削減が合意された。経済協力開発機構(OECD)が2012年に発表した「Bioeconomy to 2030」や内閣府が策定した「バイオ戦略2019」および「バイオ戦略2020」にて、バイオ技術を活用したバイオエコノミーを実現することが目標として掲げられている。高機能バイオ素材、バイオプラスチック、バイオ生産システムの市場規模は2018年の23.1兆円から2020年には41.4兆円への拡大が目標に掲げられている。バイオ製造の開発課題として、製造実証拠点の優先的整備、開発生産システムのロボット・AI化、バイオものづくり支援等のデータプラットフォームの構築、バイオインフォマティックス等の専門・教育人材の育成などが掲げられ、バイオ技術の高度化が強く求められるようになっている。バイオ生産システムは、育種された生産ポテンシャルの高い細胞株、育種株を用いた大規模・高効率・安定な培養、生産物の効率的な分離が達成されることで、経済的な物質生産が可能となる。この20年で育種に関しては、NGSの実用化による遺伝子解析技術やゲノム編集技術の開発などにより大規模な遺伝子改変が可能となり、従来の遺伝子組換え技術では構築が困難な育種株(スマートセル)が開発されるようになっている。一方で、培養技術については、大きなイノベーションは起こっていない。つまり製造技術以降の開発ステップの効率化がバイオ生産の開発力向上に繋がると考えられている。
 培養方法の開発のステップを整理すると、培地設計(培地成分に対する微生物の挙動把握)、ミニジャーファーメンター等による流加制御等の培養制御手法の開発、スケールアップの段階にわけることができる。培養開発当初に培地成分に対する微生物の挙動を把握し、適切な基礎培地を設計することで、後段の開発の効率化にもつながる。一般的には、当該微生物に関する過去の論文を参考に基礎培地を設定し、各成分が生産性に与える影響を実験的に調査することで、最適な組成を決定する。培地設計を効率化する手法として、実験計画法(田口法)が良く知られている。田口法はラテン方格用いた均一なデータサンプリングを可能とする実験配置方法および分散分析もしくは重回帰分析による解析手法である。田口法は比較的少ない要素(培地や物理条件など10要素以下)を対象に適用されることが多く探索範囲が限定されること、線形回帰分析を利用しているため、複雑な微生物挙動を表現しきれないなどの課題がある。発表者らは、探索範囲の拡張や複雑な微生物挙動を解析しうる手法として、大規模なラテン方格による実験配置と最新のAI技術を利用した培地設計手法を提案している。講演では、発表者らがPoCとして実施した大腸菌による組換えタンパク質生産に関して紹介し、培地設計や解析に関するAI利用について、議論を深めたい。

参加申込締切:2022年2月5日(土)(締切厳守)
部会員:技術士会ホームページ・新CPD行事参加申込サイトよりお申し込みください(会員パスワードが必要です)。

関連ページ

このページのお問い合わせ:生物工学部会

ページトップへ