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生物工学部会

研修旅行実績(見学会および講演会)2017年

金沢製作所玄関での記念撮影(拡大画像へのリンク)

金沢製作所 玄関での記念撮影

(画像クリックで拡大 55KB)

研修旅行記録

【日時】平成29年7月28日(金)13:30-16:30(終了後懇親会)
【訪問先】日機装株式会社 金沢製作所 メディカル工場 A棟、B棟
【懇親会】(JR金沢駅周辺)

【内容】
 見学会の開催に当たり、近藤準会員(技術開発研究所、基礎研究部、再生医工学グループ、グループリーダー)からの挨拶の後、日機装株式会社、金沢製作所、メディカル工場長、泉様、および技術開発研究所、基礎研究部、部長、神保様より、日機装株式会社、金沢製作所、メディカル工場、および各製品の概要について紹介が行われた。

1.日機装株式会社 金沢製作所 メディカル工場の概
 日機装株式会社は、1953年「特殊ポンプ工業株式会社」として創立され、1959年「日本機械計装株式会社」を経て、1968年に現社名「日機装株式会社」となった。現在は、インダストリアル事業、精密機器事業、航空宇宙事業、メディカル事業に加えて深紫外LED事業を展開している。今回の見学対象となったメディカル事業は、精密な定量ポンプ技術の応用展開を目指し、1967年、日本で初めての血液透析装置の輸入販売から始まった。1969年に血液透析装置国産第一号機を完成して以来、治療方法の進化に対応する継続的技術開発によって、現在では血液透析装置国内シェア50%超の実績を持つまでに発展を遂げている。
 金沢製作所は、1995年北陸自動車道金沢森本ICに近接する金沢テクノパークに設立された日機装株式会社における国内最大の生産拠点であり、メディカル工場と航空宇宙工場とで構成されている。メディカル工場では、人工腎臓装置を中心とする血液透析関連装置、独自のPEPA(ポリエステル系ポリマーアロイ)膜を使用した中空糸型透析器(PEPAダイアライザー)、および人工腎臓透析用剤などが生産されている。隣接する航空宇宙工場では、ジェット機の着陸時にエンジンから流れる逆噴射エアー制御機能を担う、世界シェア90%以上を持つ炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製「カスケード」などが生産されている。

2.メディカル工場見学
 メディカル工場は、透析設備関連を生産するメディカル工場A棟と透析消耗品を生産するメディカル工場B棟とから構成される。まず、メディカル工場B棟で中空糸型透析器の生産工程を見学した。ここではクリーンルーム内の自動化ラインで、透析膜機能を持つ中空糸の紡糸から透析器ケース加工、封入、検査、包装まで24時間体制で一貫生産されている。
 一方、透析装置関連を生産するメディカル工場A棟では同工場B棟とは対照的に、よく教育訓練された作業者による組み立て生産ラインが稼働している。常に高品質な部品を安定確保するため外部からの購入部品の厳重な受入れ検査が行われ、さらに高密度実装された電子基板や射出成型部品などの医療装置に組み込む最重要部品は内製化されている。特に、加工しにくい射出成型部品の内製化は製品の精度維持に重要であるとの説明があった。

3.宗桂会館見学
 記念撮影後、金沢製作所敷地に存在する、金沢の伝統工芸「加賀象嵌(かがぞうがん)」と 日機装株式会社の先端技術を展示、紹介する宗桂会館を見学した。宗桂会館(宗斎の間)を 運営する宗桂会は、創業者 音 桂二郎氏により、その母方の系譜にあたる山川家が代々伝え てきた加賀象嵌という伝統金工技法の継承発展を図る目的で平成5年に設立された公益財 団法人である。
 宗桂会館には、歴史的な加賀象嵌を施した各種美術品のほか、別室に国産第一号の血液透 析装置とキール型透析器、並びに最新の血液透析装置と中空糸型透析器が間近に展示され ていた。両者を見比べて技術の進歩に感慨を深くするとともに、技術の原点を大切にする社 風を強く感じることができた。見学会の終了に当たり日機装株式会社へ、公益社団法人日本 技術士会 柿谷理事より、見学会に関する感謝の言葉とともに社内における技術士養成へ の期待が述べられ、記念品(生物工学部会創設20周年記念出版物「新バイオの扉―未来を 拓く生物工学の世界―」)が贈られた。

4.懇親会
 金沢駅前の郷土料理の店で14名が参加して大いに盛り上がった。参加者各人からは、自己紹介と共に、参加していただいた神保部長、近藤準会員へ見学会へのお礼や感想などが述べられた。

5.所感
 日本の伝統工芸である加賀象嵌は、武具の装飾に用いられた金属加工技術で、その用途から「美」と同時に「実用的耐久性」が重視された。このような加賀象嵌の伝統的精神は、日機装株式会社の「量より質を尊ぶ」精神と共通する部分が多くあると感じた。同様に、我々が携わる「生物工学」分野の製品では、特に「安全性」とともに「機能性」という「質」にこそ価値があることを再認識させられた。今回の研修旅行を通して、日機装株式会社の「ものづくり」における高度な品質への取り組みと共に伝統を守りつつも新たな事業に果敢に挑戦するパイオニア精神に大いなる感銘を受けた。最後に、見学を受け入れてくださった日機装株式会社の皆様、研修旅行の企画運営の労をとられた皆様に心から感謝の意を表したい。

(記録者:佐野 千明)

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