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生物工学部会

研修旅行実績(見学会および講演会)2019年

藤崎研究所の会議室での記念撮影(拡大画像へのリンク)

藤崎研究所の会議室での記念撮影

(画像クリックで拡大 111KB)

研修旅行記録

【日時】令和元年7月19日(金)13:00-18:00(終了後懇親会)
【訪問先】株式会社林原 藤崎研究所、岡山第一工場、岡山第二工場、岡山機能糖質工場
【懇親会】JR岡山駅周辺

【内容】
 本研修会には総勢28名が参加し、見学ルートは岡山第二工場、岡山機能糖質工場、岡山第一工場、藤崎研究所の順で見学をさせていただいた。株式会社林原では自社独自の酵素を開発しており、これを利用して多岐にわたる機能性糖質を製造している。先ず初めに岡山第二工場をバス車内から見学させていただいた際、冒頭で万代取締役(生産統括部 統括部長)よりご挨拶をいただき、その後、岡山第二工場、岡山機能糖質工場の概要についてご説明をしていただいた。

1.株式会社林原 岡山第二工場、岡山機能糖質工場の概要
 岡山第二工場は、1976年より建設が始まり、近年も改築や増築を進めてられている。1976年に竣工したプルラン棟(P棟)やその他の建屋(T棟、M棟)では、プルラン、トレハロース、アスコルビン酸誘導体などを製造している。トレハロースは2016年に増築を行うことで3割の生産性向上を達成している。また、新たに建設しているプルランと各種酵素を生産する6階建て新棟(新P棟)は、2020年に竣工予定である。また、岡山機能糖質工場内にある自動倉庫は800kg×1000のパレット数を格納できる能力があり、適正在庫を持つための設備を有していた。岡山第二工場では増築などの工事が行われているため、危険を回避するためにバス車内からの見学が中心となった。岡山第二工場の改築や増築を急ピッチで進めている光景を目の当たりにすることで、同社は常に顧客ニーズがある製品を顧客へ迅速に提供する社会的使命をしっかり果たしている企業であることを改めて強く感じた。尚、同社が独自に製造する酵素の製造場所は、時間の関係で見学できなかった。

2.株式会社林原 岡山第一工場の概要
 岡山第一工場は、2015年3月に竣工し、糖転移ヘスペリジンと水あめなどを製造している。岡山第一工場の見学では、実際に工場内へ入室させていただき、糖転移ヘスペリジンと水あめの製造工程についての設備を見学させていただいた。見学の第一印象としては、設備が新しく綺麗に整理整頓されていた。それだけでなく、上流から下流工程への設備同士の連結や配置を見ると、高い品質の製品を安定的に供給できる設計思想があり、効率と機能面を考慮した形で具現化する有能な技術者がいることを感じ取れた。

3.株式会社林原 藤崎研究所の概要
 藤崎研究所では、約100名の社員が所属している。研究開発部門の組織は研究部、開発部と知財部がある。研究部は主に酵素のスクリーニングなどを行っており、トレハロースの生産性を向上させた過去実績では、約15年間の菌株育種によって生産性を大きく上げることに成功している。開発部は主にアプリケーションや酵素を利用した機能性糖質の開発を行っており、フランスのリヨン大学などへ定期的に研究員を出向させ、人脈交流を図っているとのことであった。過去に権利化を失敗し事業撤退した経験があることから、同社の知財部では知財の権利化に力を入れている。尚、2018年に同社が出した知財件数は12件に上る。また、過去の研究報告書は研究員がすぐに閲覧できる仕組みを構築し、業務スピード化を行っていた。
 同社では、アプリケーション開発に加え、プレゼンテーションや講習会を行う施設として「L’プラザ(岡山ラボ・東京ラボ)」を設置し、戦略的研究・開発施設として活用していた。
 その他、藤崎研究所には、著名な科学者や文化人が数多く訪問されており、現上皇も訪問されていた。著名人のサインや展示パネルも所々にあり、興味が湧くような仕掛けが随所に見受けられた。最後に、見学の質疑応答が終了した後、藤崎研究所の会議室において、株式会社林原の社
員13名と本研修会参加者による記念撮影を行った。

4.懇親会
 岡山駅近くの飲食店で28名が参加し、懇親会の冒頭で各参加者が自己紹介を行った後、今回の研修会を企画運営した西会員、山本会員、株式会社林原の社員の方々に対して、お礼や感想が述べられた。懇親会では、参加者同士が活発なコミュニケーションを取り合い、生物工学の話題で終始大いに盛り上がった。

6.所感
 株式会社林原は独自の酵素を利用して付加価値の高い機能性糖質を創り出している。同社は顧客とのパートナーシップから新たな市場開拓を積極的に行うと同時に、他社より先手で知財戦略も実行している。同社は自らの経営資源を最大限活用して、高度な技術と伝統の発酵技術を組み合わせ、他社に模倣できない独自の強さでスペシャリティー製品を生み出している。同社が世界の機能性糖質の市場で戦っていける力をどのように育ててきたのかという時系列の歩みを感じられる非常に学ぶことが多い機会をいただくことができた。
 最後に、本研修会では、株式会社林原の多く社員の方々が研修会参加者に対し、非常に献身的な対応で案内をしていただいた。本研修会の企画運営に携わっていただいた生物工学部会の方々も含め、本研修会の開催にご尽力いただいた皆様へ心から感謝の意を申し上げます。

(記録者:水戸 光司)

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