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生物工学部会

研修旅行実績(見学会および講演会)2015年

研修旅行の様子(拡大画像へのリンク)

(画像クリックで拡大 34KB)

研修旅行記録

【日時】平成27年7月24日(金)12:30-17:00(終了後懇親会)
【訪問先】花王株式会社 和歌山工場 及び 花王エコラボミュージアム
【懇親会】(和歌山駅周辺)

【内容】
1. 花王株式会社の概要
 本田大士会員(花王株式会社安全性科学研究所)の挨拶のあと、簡単に花王株式会社の概要について紹介された。花王の“よきモノづくり”は1890年に国産の高級石鹸「花王石鹸」を作るところから始まり、花王の社名は当時“顔洗い”と呼んでいた石鹸に由来し、発音を残して漢字がきれいな“花王”になっている。また、その花王石鹸が当時の最先端技術によって品質/安全性を確認していたことや約6600名いる社員の内、研究に従事している社員の割合が多いことなど、初期から現在まで一貫して技術に立脚して製品づくりを行っていることを説明された。

2. 「花王の環境への取り組み」(花王株式会社花王エコラボミュージアム館長 脇阪達司氏)
 脇阪館長がR&D出身であることから、環境への取り組みの前に花王の研究所について紹介された。ビジネスユニットと機能ユニットの「マトリックス運営」が行われており、研究開発では「商品開発研究」と「基盤技術研究」に分かれ商品の発売や改良に関わる研究をされている。専門領域や分野の異なる研究員が同じフロアで対話(“まじめな雑談”)し、情報交換しながら研究を進めるために「大部屋制」が取られている。
 非常に基礎研究を大事にしており、他社ではあまりみられない化成品の製造・販売を行っており、その事業で売り上げの2割弱に達している。現在の社長も研究出身であり、技術に力を入れている事を体現されていた。
 最近の学会発表から毛髪がきれいに見えるのはどういう状態か、界面活性剤が油を包み込む瞬間、などの分析例を動画で見させていただいた。その他、藻類の研究成果について紹介された。通常、界面活性剤などに使用される油は炭素数が12か14であるが、自然界でその炭素数の油を産生する藻類はほとんどない。その中で目的の炭素数を産生する藻類を見つけ、また中鎖脂肪酸の生成に寄与する長い酵素まで発見できたことを説明いただいた。藻類で原料を造れるようになれば、プランテーションのために森林を切り開く事もなくエコになるようである。
 続いて環境への取り組みについて紹介された。持続可能な社会を実現するために環境への影響を低減する目標として2020年にCO2排出量35%削減、水使用量30%削減(いずれも国内、2005年基準)を掲げており、生産時における排出量としては達成しつつある。しかしながら原材料の調達からゴミになる所まで全ての段階での環境への影響をはかるものさしLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)でみてみると消費者が製品を使うところが50%の割合を占めるため、泡立ちを抑える工夫をしたり、すすぎ回数を減らしたりして、消費者への啓蒙も行っていた。
 例として1987年発売の洗濯用洗剤ザブは非常に大きく、小さな子供が抱え込む程度の大きさであったが、研究・改良により非常にコンパクトになり、片手で持てるサイズになった。
 先ほどのLCAの他にCFP(カーボンフットプリント)、WFP(ウォーターフットプリント)、EF(エコロジカル・フットプリント)、LIME(ライフサイクルインパクトアセスメントメソッドベースドオンエンドポイントモデリング)などの指標を使用して環境に対してあらゆる側面から影響を最小限にする努力を続けられていた。

3. 工場ライン見学
 非常に広い工場であり、マイクロバスに乗せていただき、工場を案内して頂いた。また、物流倉庫内や衣料用洗剤の充填ラインを見せていただいた。洗剤を入れているボトルは購入しているのではなく、工場の1階部分で樹脂を溶かして成形をして、それを2階の充填ラインへと搬送されていた。ボトルの輸送をするとトラックなどがCO2を排出するため、充填の直前にボトルを作製されていた。
工場で使用する電力・熱を自社で賄うのはもちろん、必要な化成品などを含め200種類以上もの製品を和歌山工場で生産されていた。

4. 花王エコラボミュージアム見学
 地球で何が起きているのか?いま、私たちに何ができるのか?という地球環境を考えるコーナーから始まり、原材料・生産・輸送・使用・廃棄における花王のエコ技術を紹介したコーナーがあり、小学生でも理解しやすいよう大変面白く紹介いただけた。
 和歌山工場内には江戸時代に防潮・防風として植えられた松並木があり、その再生・保全活動にも協力されており、その松並木には沢山の野鳥が戻ってきているのが観察されている。
 界面活性剤の原材料として油ヤシとココヤシがあるが、その研究のため、エコラボミュージアムの横に25mの高さの温室(バイオマス研究棟)が整備されていた。最も高くなるココヤシが25mになるとのことで25mに設定されていた。ヤシの他にも油が多く取れる植物など約60種が育てられていた。
 見学の記念にエコラボミュージアム入り口で記念撮影を行ったが、「ハイ、チーズ」ではなく「エコロジー」というフレーズでの撮影であった。

5. 懇親会
 和歌山駅周辺での懇親会が開催され、24名の参加で大いに盛り上がった。池田会員の乾杯の挨拶で始まり、久保会員の提案で自己紹介を行い、酒井会員の締めで閉会した。

6. 所感
 花王株式会社和歌山工場内を見学させていただき、大変有意義であった。広大な敷地の中で化学プラントであったり、充填ラインであったり、エコラボミュージアムであったり雑然となりそうであるが、ブロック毎にきちんと分かれており、非常に整理されていた。
 技術を大切にしている会社であることが分かり、また自宅の製品の多くが花王製であることが判明し、製品に込めた想いを無駄にしないよう大切に使用していきたいと感じた。

(記録者:廣島真一)

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