農業部会のホーム資料庫食品の放射能汚染(掲載 2012/1/30)
1月29日の読売新聞は2面を使って放射線被ばくの特集を行った。
参考図を含め大変分かりやすく、もっと早くこの特集を行ってもらいたかった。
次の図は外部被ばくと内部被ばくを対比しながら、年間被ばく量を、外部被ばく量については当面20ミリシーベルト以下に、内部被ばく量については1ミリシーベルト以下に抑えるという政府の方針を簡潔明瞭に示している。
(放射線の被曝量と規制値)
では、なぜ1ミリシーベルトなのだろうか。
それは、年間1ミリシーベルト以下なら、生涯累積放射線被ばく量を100ミリシーベルト未満に抑えられるからだ。生涯の累積被ばく量が100ミリシーベルト未満であれば、被ばくとガンの発生との関係が立証されておらず、健康上危険とは判定出来ないからだ。
(低線量被曝による健康影響)
しかし、記事は、牛乳、飲料水の100%、一般食品の50%が新規制値の数字で汚染されている場合でも、13〜18歳の男子の年間内部被ばく量は0.8ミリシーベルトを超えない計算になると記している。故意に汚染食品を食べ続けなければ起こりえないような極端なケースでさえ50年間の累積被ばく量は40ミリシーベルトに達しない。次のグラフは農林水産省のサイトに出ていた世界と日本の自然放射線量の比較だが、その差は0.9ミリシーベルトで、0.8ミリシーベルトは日本と世界の自然被ばく量の差にも届かない数字だ。
(1年間に受ける自然放射線量:日本)
何を言いたいかと言えば、4月から施行される新規制値を超える農産物の出荷さえ行わなければ、食品の放射能汚染についてはもう気にするにはやめにしようと言うことだ。だから、政府も福島産農産物の安全宣言を行わなければならない。それが出来ず、消費者もなお、福島産の農産物は買い控えるなら、政府は風評被害の全額を補償しなければならない。
最初の図を見れば分かるように、放射能汚染がまったくなくても、空中のラドンなどから年間0.59ミリシーベルトの内部被ばくを受けている。食品に含まれる自然由来のカリウム40などからも年間0.22ミリシーベルトの内部被ばくを受けている。これらを合わせれば、無意識に年間0.8ミリシーベルト以上の内部被ばくを受けているのだ。これを気にするならば、息も出来ないし、何も食べれないことになる。
だからもう、食品の産地がどこであるかなどは気にしない消費者行動を取ろうではないか。
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