平成19年12月1日 葺手ビル会議室
千葉大学大学院園芸研究科
教授 本山 直樹 氏
農薬は、農薬取締法で「農作物を害する病害虫、雑草、その他の有害生物を防除する薬剤並びに天敵、および植物成長調節に用いる薬剤」と定義され、英語ではCrop Protectants(作物保護剤)の語が好んで使われる。
作物は、野生植物が元々持っている防護物質の天然毒の濃度が低くなるように選抜されてきており、人間の手で病害虫や雑草から保護しなければまともな収穫は得られず、農薬の果たす役割は重要となっている。
農薬取締法で、登録のための基準は厳しくなっており、設定された使用基準を遵守するならば、農薬の健康と環境に対する安全性は確保される仕組みがとられている。
食品衛生法に基づく残留農薬の基準値が定められている。この基準値は、毎日一生食べ続けることを前提としたもので、たまたま基準値を少し超えた農産物を食べたとしても、さしあたって健康リスクはないものである。沢山の点数の農産物について、残留農薬の検査がなされているが、基準値を超えて検出される率は極めて僅かであり、国産農産物と中国からの輸入農産物でもその差はない。
最近、漢方農薬とか植物抽出液とかを称しながら、無登録で農薬成分を混入せしめている偽装資材の存在がわかり、行政でも摘発に動いている。こうしたものは、法規制が緩かった従前にあってはいざ知らず、存在を許さぬよう厳しく問題とすべきである。出てく背景には有機農業などに傾斜する生産者の存在があり、偽り表示をしての販売だからだ。
適正な使用の下での農薬には環境への悪影響は見出せない。農薬への認識は正しく持たれるべきである。
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