社会委員会のホーム対外広報活動発表2 伝統工法「しがら組み」による市民治山への取り組み
鳥居直也 技術士(総監・建設・応用理学・環境)
NPO法人WACおばま 理事長
福井県小浜市周辺では、森林荒廃・シカ食害により里山の林床が著しく衰退し、降水に伴う土砂流出が顕著になってきた。この荒廃は里山全域におよび非常に広範囲なものであるため、砂防堰堤等の重機類を要する土木では対応が追い付かない。
そこで、「広く、薄く」の視点で、木や竹を材料に人力で簡単に施工できる伝統工法「しがら組み」を活用した市民協働による治山に取り組んでいる。
「しがら組み」は、木杭をカケヤで打ち込み、縦割りにした竹を編み込む手作り土留め柵で、堆積土砂に自生した木が成長するころに腐食して土に帰る循環型工法である。かつては斜面・法面における土留めや、伐採後の山腹斜面浸食防止のための施工事例があったようであるが、現在ではノウハウを知る技術者もほとんどいなくなっていた。
平成24年、NPO法人WACおばまと地元住民・地元産業高校の協働で、里山再生をめざす「上根来里山再生プロジェクト」の一環として、高校の実習授業の中でこの「しがら組み」を復活させた。
現在3年目であるが、簡易土留め柵としての機能は十分に果たしていることを確認したので、今後は行政委託その他の方法で、「市民治山」として地元・小浜市を中心に普及させていきたいと考えている。
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