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海外活動支援委員会

第14回フォードンの会議事録

第14 回日越技術経済発展研究会(フォードンの会)議事録

日 時:令和元年12 月7 日(土)
午前10:00〜12:00
場 所:機械振興会館2 階211 会議室
出席者:<敬称略(技術士登録部門)> 計12 名
ベトナム小委員会;森山浩光(農業)、坂本文夫(建設)、橋俊和(環境)、
松井武久(機械)、福島晴夫(建設)、辻井健(建設)、竹田健(化学)、
大島英雄、グェン・トロン・ギア(Nguyen Trong Nghia)、リー・ロン(Le
Long)、グェン・ ホン・ソン(Nguyen Hong Son)、ドゥク・チュン(Duc Trung)。

1.開催の挨拶
日越技術経済発展研究会開催について、海外活動支援委員会 森山委員長が開
催の挨拶を行った。
その後、参加者から氏名と専門分野など簡単な自己紹介をした。

2.講演
(1) 講演1 最近のベトナムのインフラ
講師:Nguyen Trong Nghia(グェン・トロン・ギア)氏(横浜国立大学博士課
程(ホーチミン市オープン大学卒))
講演項目
[1] はじめに
[2] ベトナムにおける公共インフラストラクチャ
[3] ベトナムへの国際投資
[4] 横浜国立大学における有益な研究

[1] はじめに
・ギア氏のホーチミン市オープン大学は、9つの領域の研究分野があり、ギア
氏は土木工学を専攻していた。横浜国立大学では、博士課程大学院生として
菊本教授のもとで土木工学の研究をしている。
・ベトナムは近年経済が著しく成長している中国、インド、インドネシアの
3 国を結ぶ三角形の中心に位置している。
・インドネシア、インド、アフリカ、ヨーロッパとは海路で結ばれるなど、陸
路、空路を含めて経済発展のための大きな可能性のある地理的位置にある。
[2] ベトナムにおける公共インフラストラクチャ
・GDP に占める公共インフラ投資比率は5.7%と高い。
・インフラは改善されつつあるが、新しい需要を満たすのに苦労している。
・ベトナムを南北に結ぶ唯一の鉄道はフランス統治時代の100 年前のもので、
その延長は2,600km。
・南北高速鉄道整備計画は、1,545km、45.8 億米ドルを要する。
・空港は、国内線空港が16、国際線が6 ある。ロン タン国際空港整備は推定
14.5 億米ドル(1,600 億円)を要する。
・ベトナムの海岸線は3,440km あり、輸出入の港湾とコンテナターミナルが建
設されている。
・2 つの製油所を含む8 つの巨大プロジェクトが進んでいる。
・電力は、発電能力別の比率は、水力(38%)、石炭火力(34%)、石油・ガス
発電(21%)の順に整備されている。
・ベトナムには18 の火力発電所がある。
・再生可能エネルギーの太陽光、風力の発電所の建設も進めている。
[3] ベトナムへの国際投資
・外国企業の総投資額を見ると、1 位が韓国、2 位が日本、3 位がシンガポー
ルとなっている。
[4] 横浜国立大学における有益な研究
・研究テーマは、最適化アルゴリズム、人工知能及び数値モデリングによる土
壌パラメータ決定。
・あらゆる工学設計のパラメータを効果的に決定することに有益である。

質問と意見
福島技術士から、インフラ整備に対する人工知能の利用と人命優先など安全
の重要性についての質問と意見があった。

(2) 講演2 ベトナム最初の長大トンネル建設工事
講師:福島晴夫技術士(技術士(建設部門))
[1] ハイバントンネルの必要性
・ベトナム中部の交通の要所、道路流通網の改善
・北部にある首都ハノイ市と南部のホーチミン市は2 日くらいかかる。
・ダナン市を中心とした中部地域の主総合開発(観光、港湾)が進んでいる。
・国土が南北に長く、山岳道路が狭隘で、かつ日本のトラックに比べて、背の
高いトラック多く不安定で、事故も多かった。
[2] ダナン−フエ間道路改良調査
2000 年11 月JICA から依頼され、トンネル改良工事の調査を行った。
[3] ハイバンパストンネル建設工事
プロジェクトの概要
北工区トンネルの施工
南工区トンネルの施工
坑口施工
坑口法面陥没事故
[4] トンネル坑口の地山挙動解析
・雨季と乾季で地域の様相が大きく変貌する。
・雨季には川となって水が流れる場所に土木工事をしたため、陥没事故が発
生した。原因は、地形図には河川が存在し、設計者がこの地形図をきちん
と確認しなかったなどと考えられた。
[5] 現状と今後の課題
ベトナムは、地震は少ないが台風が多いので、地滑りによる被害が多い。
南北に長いベトナムの国土を結ぶ道路は、狭隘であり山岳道路は急カーブが
多く、また、急速な経済発展のため、交通量は増加傾向にあり、交通渋滞や交
通事故を無くすために、適切な技術協力が必要である。

(3) 参加者からの意見、提案・自由討議
松井技術士から、「中小企業支援を中心として活動している技術士会としては、
ベトナムに対して何をどうするか。社会インフラについても、国と民間が連携
して進めるべき」との趣旨の発言があった。
森山委員長から「海外活動支援委員会においても、JICAの調査事業への
参加などに技術士が参加するシステムを検討する必要性の意見があり、検討し
たいと考えている」との回答をした。
レ ロン氏から、「日本で技術のことは勉強したいし、建築士、技術士試験を
受けたいが試験問題が日本語で出題されるので、難しくてトライできない。今
後、英語で出題するとかする可能性はあるか」と言う質問があった。
坂本ベトナム小委員会委員長から、「技術士会の講習会への参加費は学生は
1000 円である。12 月13 日にも交通、農と食、建設の講演会がある。なお国家
試験を英語にすることは難しいと思われる。」との回答をした。

そのほか、以下のような発言があった。
・JICA とかODA ばかりに目を向けず、それ以外の1980 年代から進んでいるPPP
(Public-Private-partnership)、BOT(Business operate transfer)などを進め、中国
に負けないようなことを考えていくべき。民間ベースだけでは、中国とか韓国
に負ける。政府が絡まないとできない。(福島氏)
・一般社団法人J-SCORE を立ち上げ、5 年経った。技術士としての自分の活動
は、中小企業を世界第一にしようと考えている。また「農と食と健康」をテー
マにしている講演会を奇数月の月末土曜日に開催している。(松井氏)
・ベトナムの新幹線の課題は、駅を作っても周辺の整備ができていなかった。
まちづくり全体の課題である。(福島)
・同じく新幹線に関しては、今の鉄路は単線区間が多く、狭軌(910mm)であ
る事と、南北間の橋の数が1000 を越えていることが課題であった。(森山氏)
・そのため、少し山の方へ入った地域に新幹線のルートを考えていたが、建設
費が高いことと出来上がっても乗る人が少ないと思われたこと。また道路の整
備を先にする必要があった。(ロン氏)
・下水道など環境分野では可能であれば、協力できることがあればと思い、こ
の会に参加して、情報を得ているところである。(竹田氏)
・自分は、技術系の企業の事務屋であったが、大学などでも教えた経験があり、
多少の技術関係を含めた営業技術はできる。今日を機会に海外の仕事もできれ
ばと考えている。(大島氏)

3.閉会の辞
坂本小委員長の閉会の辞により会議を終了した。

以上
(議事録作成:橋)

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