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海外活動支援委員会

第13回フォードンの会議事録

第13回日越技術経済発展研究会(フォードンの会)議事録

日 時:令和元年9月7日(土)
    午前10:00〜12:00
場 所:機械振興会館2階211会議室
出席者:坂本文夫、吉村元一、松井武久、久保眞介、福島晴夫、辻井健、林栄一
ラン ウイン、リー ロング 計9名

1. 開催の挨拶
日越技術経済発展研究会開催について、ベトナム小委員会委員長の坂本文夫が開催の挨拶を行った。

2. 講演

(1) クワンガイ省人民委員会・工業団地訪問―
講師:吉村元一技術士(総合技術監理・情報工学)

2019年2月26〜27日におけるクワンガイ省出張について、パワーポイント
を用いて下記のとおり説明を行った。
◇クワンガイ省の概要説明
 ダナン市から南に120キロメートル、ホーチミン市からはChu Lai空港へ空路1時間のクワンガイ省に国家主導の経済特区を建設、クワンガイ省人民委員会と日本技術士会との会議状況は、当日現地のテレビで放映された。
◇2月26日(火) 15:00〜ダナン市人民委員会訪問 人民委員会に到着するとマスコミが待ち構える中、直ちに日本技術士会とクワンガイ省との間で協議が行われた。訪問者はベトナム小委員会委員長坂本文夫、副委員長森山浩光、委員吉村元一、通訳Mr. Pham Nagoc Duc
◇2月27日(水)クワンガアイ省工業団地視察 8:40〜12:00
[1] DOOSAN(韓国系企業)の工場視察
・韓国のDoosan Heavy の子会社
 ・韓国の人件費が上昇のため、進出場所を調査
 ・候補地をベトナムとインドネシアに絞り込み、メリット・デメリットを検討して最終的にベトナムに決定
 ・2006年政府からコミットされ、2007年〜2008年に建設、2009年生産開始
 ・港が工場内にあるので原料の搬入及び製品輸出に最適
 ・主要製品はボイラー、MHS等
 ・年商は$8Million
[2] VSIP(シンガポールの投資会社)工業団地を整備し外国企業の進出を受け入れている企業を視察。
・ベトナム・シンガポール工業団地(VSIP)は1996年にシンガポールとベトナム国営企業同士の合弁企業として設立
・ベトナムトップクラスの都市開発&工業団地デベロッパー
・ベトナムで5地域、役7,400ヘクタールの工業・都市総合開発団地を管理・
運営を行っている(うち工業用地約4,500ヘクタール)。同団地には海外30ケ国約800社が企業進出している。
・同社は、都市開発では職住一体型の新しい街づくりを行っており、約2,900ヘクタールの住宅・商業用地を所有するなど、工業団地を核とした総合都市開発へと事業拡大している。
・日本企業によるベトナム進出への関心が集まる中、在べトナム日系企業に対するサポートのみならず、ベトナムに関心のある日本企業を日本でサポートする需要が高まってきた。2018年4月、同社は東京に駐在員事務所を設置。
[3]現地企業の木材チップ工場視察
◇ASIA CREATEVE INVESTMENT JSC
 ・燃料用チップ製造(環境に特化)
 ・エネルギー発電燃料として伊藤忠、三菱商事等取引をしている。
 ・現在、長期の契約者を探しているとの話があった。
[3] おわりに
 ・日本は少子高齢化に向かっているが、べトナムの平均年齢は若く、かつての高度成長期の日本を思い起させるような状況である。
 ・勤勉で優秀な人材が多く、若くて安価な労働力、親日的で日本人に似た一面を有し非常に魅力的な国である。
 ・今後、日本とベトナムとの相互交流がますます盛んになり、日・越双方が“Win-Win”の関係で益々発展することを期待したい。
 質問1:林技術士
   DOOSANの港は10万トンの船が入港できるのか。
 回答:10万トンの船は入港できる。

(2)ベトナムの現状と今後の進出展望について
講師:Le Long 氏
講演を先立ち、Le Long氏が自己紹介を行った。

◇ベトナムの概況
 ・ベトナムは近年経済が著しく成長している中国、インド、インドネシアの3国を結ぶ三角形の中心に位置している。
 ・近隣諸国との交流のための陸海空路の確保、ベトナム国内の産業を支えるエネルギーや交通・物流網の供給体制等のインフラ整備が課題である。
 ・ベトナムは日本をはじめとする各国の資金を有効活用し、最近のベトナムの道路・港湾・治水等のインフラ整備状況を見ると、ベトナムに進出を考えている日本企業からも高い評価を得ている。
 ・ODAを活用し、インフラを建設し投資環境を整備し、外国から直接投資を呼び込んで開始企業による輸出を拡大させ、工業化・経済成長を遂げてきている。
 ・近年のベトナム経済は概ね順調であり、日本との経済的な結びつきも深まっている。
 ・最近のべトナムの建設業界は急速に発展しているが、先端技術的な知識が重要になっている。
◇ベトナムの簡単な紹介[1]
 ・人口は9,620万人
 ・九州を除いた日本の面積に相当
◇ベトナムの簡単な紹介[2]
 日系企業が進出する理由
 ・安定した政治・社会と良好な日越関係を反映
 ・人件費が安い
 ・日系工業団地内のレンタル工場が多く、初期投資を抑えられる
 ・免税、減税等の」各種優遇制度
 ・外国企業の総投資額を見ると、1位が韓国、2位が日本、3位がシンガポールとなっている。
◇代表的なプロジェクトの紹介 [1]JICAからの投資案件
 ・南北高速道路プロジェクト(日本工営)
 ・メトロ地下鉄 HCM市(清水・前田JV、三井住友建設、地元大手ゼネコン) ハノイ市(中国、韓国)
 ・上下水道(推進工法)
 HCM 市(マスダエンジニアリング・韓国JV)ハノイ市(JFE、西松
建設、TEC・・・)
◇代表的なプロジェクトの紹介[2]メトロ・地下鉄プロジェクトについて
 ・ハノイメトロについては96%完成している。今年度中に運営開始予定。
 ・ホーチミン地下鉄1号線は今年度末に80%完成、2020年末にテスト走行、2021年以公式に開通する予定。
 ・ホーチミン地下鉄2号線は2019年トリ買収完了、2024年に開通予定。
◇代表的なプロジェクトの紹介[3]南北高速鉄道について
 ・ハノイ市ホーチミンを結ぶ南北高速鉄道は延長1,559キロメートル、20省・市を通過する。
 ・全線の60%が高架、30%が地上、10%はトンネルとなる。
 ・ハノイ市〜ホーチミン市間の所要時間は5時間17分〜6時間50分となる。
 ・第1期(2020〜2030年)にハノイ〜ビン(北中部地方グアン省)間とニヤチヤン間(南中部沿岸地方カインホア省)〜ホーチミン間。
・第2期(2030〜2045年)にビン〜ニャチヤン間を建設する。
 ・投資総額は587億USD(約6兆[4]700億円)
◇代表的なプロジェクトの紹介[4]ロンタイン国際空港について
・第1期2025年に完成予定
 ・第2期2030〜2040年の需要に対応する施設の」拡張・整備
 ・最終的に2050年以降に完成
 ・地域のハブ空港になる事
 ・ユニークな形態、機能(他空港との差別化)
 ・周辺地域計画との調和
◇ベトナム建設事業の課題1(全体)
 ・工事監理の重要性が建設関係者に十分認識されていない。
 ・総合的工事監理を担う技術者が不足している。
 ・国内予算工事と借款工事では契約形態及び工事管理体制に大きな違いがある。
・品質管理・安全管理の責任・役割が発注者・施工監理コンサルタント・建設業者間で明確になっていない。
 ・建設工事関係者の品質管理・安全管理が十分でない。
 ・契約図書等により品質管理・安全管理に必要な事項は明示されているが、これらの費用として積算に反映されていない。
 ・環境保護法により建設工事の環境管理について記載されているが、詳細な規則がないため、何をどのように管理するのかを示すガイドラインが必要になっている。
◇ベトナム建設事業の課題2(技術評価)
 ・建設事業に関する技術者の技術資格制度及び業者格付制度は存在するものの、評価基準が明確でない。
 ・このため、[1]建設業者の技術力評価手法が確立されていない、[2]技術評価を入札時の建設業者選定に活用されていない。
 ・入札で低い価格の業者が落札するため、技術力の低い業者が施工するので工事完成後の品質に問題が生じている。
◇今後の展望について(ベンチャー企業に何ができる?)
 ・日系ゼネコンを会社との連携を強化し、トンネル・橋梁工事などの知識を深めることによって地方の会社と直接競争できる。
 ・BIOM,CIMの開発・図面加工
 ・新規事業を立ち上げ、新しい価値を創造して売り上げ及び利益を伸ばす。
質問:福島技術士 BIM,CIMとは何か
回答:BIGは建築の3次元の設計モデル、CIMは土木の3次元の設計モデル。BIMの3時限モデルを使用すると、立体的に図面に表せるので、配管や鉄筋の位置関係が良くわかるので、作業効率が向上する。
CIMは土木で使用するが、埋設管の位置関係や鉄筋の位置が3次元の
世界で把握できるので、作業の省力化が図れる優れものである。

(2) 出席者からの意見、提案・自由討議
林技術士からベトナムを訪問して感じたことを披露していただいた。
ベトナムの山岳民族は貧困な家族が多く、それを何とかしたいと協力を実施している日本人がいました。生産された農産物の扱いにベトナム人は苦手で、その日本人は彼らの生産する農産物を6年かけてようやく収入を得られるようにした。この話は日本の官庁、及び日本大使も知らないが、ベトナムの首相がそれを知って表彰を行った。
(参考)この他、少数民族が多い北部ベトナムのソンラ省では、JICAによるソンラ農林大学支援のプロジェクトが行われた。

3. 閉会の辞  坂本小委員長
日越技術経済発展研究会は9月28日(土)にベトナム・ミャンマーに関する研修会を実施するので、皆様の参加をよろしくお願いします。以上を持ちまして本会を閉会します。

(以上で会議を終了した。)
(議事録作成;坂本)

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