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DEI委員会

イクボスモデル 神田淳さん

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神田淳さん

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神田 淳 さん

かんだ あつし さん

はじめに

 社会人として世の中に貢献できていませんが、マネジメントとしての役割を担っていますので、管理職を目指すみなさまの自信向上のためのモデルとしてお読みください。

研究という仕事の苦しみ

 高校時代からその道の専門家である研究者に憧れていましたが、大学院で宇宙機姿勢制御の研究を進めるうちに、自分に研究能力やセンスが無いことに気づきました。就職先選びに迷走していたなか、居たたまれなくなった指導教授から研究機関は志望しないのかと問われ、指導教授の威光をフル活用して科学技術庁航空宇宙技術研究所(現宇宙航空研究開発機構)に1993年に就職しました。
 当時、航空宇宙分野は工学系の学生に大人気で、トップレベルの大学のさらに成績トップの学生が入る研究所は、世界に名を馳せた人たちの巣窟でした。該当しない私は、面接で「雑巾がけ以外なら、なんでもやります」(実話)とほぼ無条件で入るしかありませんでした。結果、日本でも数名の研究者しかいない、構造振動と非定常空気力の連成を扱う空力弾性学という難解な学際領域(複数の専門領域をまたがる領域)の研究に身を投じることとなりました。
 教科書に名前が載るような上司のもと、研究の難解さやセンスの無さ故に劣等感に苛まれ、何の成果も出せないまま、10年ほどは悶々と過ごしていました。ただ上司が多忙な中でも困ったときには迅速に対応し、責任はすべて負ってくれたことから、研究者として留まれたと思っています。
 また、大学に客員研究員として1年間在籍中、そのときの指導教授は、研究内容が間違っていても「興味深い!」と言って否定せず、能力を引き出そうとしてくれていたことを覚えています。

敬意から技術士に

 ある時期、企業を定年退職し客員研究員として研究所に来られた、同じ研究分野の方で技術士の方がいらっしゃいました。悠々自適に過ごすこともできる中、その方は自らの知識・経験を資料化して勉強会を毎週開催、その深い見識や偉ぶらない態度も相まって私は敬意を抱いたのが技術士になるきっかけでした。
 研究所は一般と異なる独特な世界です。技術士になり、技術士の方々との交流を通じ、一般的な社会人としての世界に交わることができ、視野も広がったと感じています。

部下の育成

 研究者としては落第でしたが、若い人たちの足を引っ張らないようにサポートしていく立場になりました。若い人たちの個々の能力は尋常でなく高いので、能力を伸ばすというより潜在能力を顕在化させて成果を出せるようにすることに注力しています。特に、[1]個々の研究者への敬意を欠かさない、[2]上司として手柄は一切取らない、[3]上司がすべて責任を取り部下を守る、ということに矜持を持って育成にあたっています。加えて、ある程度のいい加減さを見せること、傾聴することに重点を置き、部下にとって安心できる上司でいられるよう努力しています。

今後の私

 資質・能力は脇に置けば、なりたかった研究者という職業に就くことができ、現在は指導者としての能力が試されています。一方で、大学院生時にファジー理論で抽出された職業も、転職するかは別として、指導者としての能力が求められる職業でした。どう転んでも、後進を育成する力を磨いていかないといけないと改めて思っています。

アドバイスできるとすれば一つだけ

 イクボスと称される方は、業務多忙のなか部下の育成にも頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか。私自身、厳しく指導されたことはありませんでしたが、就職するとき・技術士になるときを含め、多くの方が指導者として私に転機をもたらしてくれ、今でも社会人を務められています。
 そこで私からアドバイスです。部下は自分より優れた潜在的な能力を持っている、そんな能力を顕在化させ伸ばすためにはどんなサポートができるのか、と考えながら部下に接してみてはいかがでしょうか。威圧的に接すること、ガバナンスを効かせることだけが上司の役割ではありません。本稿に目を通されているみなさまは、私と違い、能力・知識・経験が豊富です。きっと部下の転機のきっかけになる、なくてはならない存在になれると思います。

※注:記事は2025年4月現在のものです。

自己紹介

■技術士部門
航空・宇宙部門

■プロフィール
1993年科学技術庁航空技術研究所(現宇宙航空研究開発機構)就職
2010年 技術士取得
資格:PMP、第1種情報処理技術者
趣味:テニスなど(ここ数年できず)

就職活動で迷走していた頃(拡大画像へのリンク)

就職活動で迷走していた頃

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私の指導者の一人(Dowell教授)と(拡大画像へのリンク)

私の指導者の一人(Dowell教授)と

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