男女共同参画推進委員会のホームキャリアモデル男性キャリアモデル 岡野利之さん
おかの としゆき さん
学生時代は、自然環境と食糧問題への関心から水産に興味を持ち、水産業界(漁業団体と魚市場)へ就職して現場中心に生産〜流通〜販売まで一通りの業務を経験することができました。その後、縁あって水産系の団体の職員となり、現在に至っています。
前職の時に、業界新聞で目にした記事により初めて「技術士」の存在を知りましたが、「技術士」は取得が難しい資格であり、当時業務経験も浅かった自分がチャレンジできるものではないと思い、縁のない資格だと考えていました。その後、現職に就いて当時の上司と業務の指導をしてくださった恩師が共に技術士であったことから受験を勧められたことがきっかけとなり、第一次試験と第二次試験を経て技術士を取得するに至りました。私の場合、一次試験の基礎科目と適性科目は、普段の業務などで関わりのある専門科目と異なり、不慣れな分野の勉強でしたので不安と新鮮味を抱いて取り組んだ記憶があります。一方で、技術士の受験を経験することで、社会人になってからでも新たな勉強をすることはできるという認識を持つことができて、とても貴重な経験になりました。この認識が、次に社会人大学院生として博士課程の学位取得の挑戦に繋がりました。
私は、2010年に日本技術士会へ技術士登録をしました。技術部門は水産でしたので、水産部会の所属となり、水産業界の様々な分野でご活躍されている諸先輩方の存在を身近に感じられるようになりました。これをきっかけに、日本技術士会の委員会や会員による活動グループ(食品技術士センター)にも所属したことで、水産部門以外の技術士の方々とも交流ができるようになり見聞が拡がりました。
仕事においては全国各地の魚市場等の現場を回り、食品衛生に関わる講習会や現地指導を行なう機会が多い中で、初対面の方に話をする際、技術士であることが信用確保の一助になっていると思います。
海外でもAPECエンジニア、IPEA国際エンジニアの存在等を通じて、日本の技術士「Professional Engineer〔略称: P.E.〕」の認知度がさらに高まると、業務における信頼関係をより構築しやすくなると思います。
技術士を取得する以前から現在まで、運動系の活動として、空手道に関わっており、大学空手道部の監督を務めております。仕事と勉強の両立に加えて空手道に取り組むことは大変な時もありますが、両者の「共通性」に気付けたことで、ワークとライフのバランスよい親和を見出せて、続けることができていると考えています。
空手道は、武道の一つであり、武道については、日本武道協議会により次のように定義されています。「武道は、武士道の伝統に由来する日本で体系化された武技の修錬による心技一如の運動文化で、心技体を一体として鍛え、人格を磨き、道徳心を高め、礼節を尊重する態度を養う、人間形成の道であり、柔道、剣道、弓道、相撲、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなた、銃剣道の総称を言う。」
この武道における心技一如(しんぎいちにょ)は、技術士と通ずることが多くあると捉えています。例えば、技術士には、多くの技術部門がありますが、各分野の専門性だけでなく、技術士倫理も併せて必要とされています。武道にも複数の種類が存在している上、心技一如の考え方があります。実は、このような関係性の見解は武道に限ったことではなく、スポーツや文芸等においても、同様の見方ができるものは多いことに後から気付きました。
複数の軸を持って生活すると、技術士には技術士倫理、武道には心技一如があるように共通性を見つけやすくなり、それぞれの活動への理解が深まります。このような観点を持つと、ワーク・ライフ・バランスの重要性に関する理解がもっと進むものと思います。
技術士取得には、学歴も年齢制限もありません。また、何度でも受験が可能です。したがって、広く公平に受験のチャンスがあり、いつまでに取得しなくてはならないという縛りもありませんので、ご自身の現在の状況を考慮しながらタイミングを見て受験することができます。ただし、第二次試験は、第一次試験の合格者またはJABEE認定教育課程修了者である必要があります。詳しくは、日本技術士会ホームページから「技術士試験 受験のすすめ(注1)」をご確認ください。技術士を取得してからは、技術士法に定める義務と責務を守り、技術士倫理を遵守し、公正、誠実に行動することが求められます。前述しましたが、この技術士の在り方は、他の生活軸でも役立つものになります。
注1)日本技術士会ホームページ「技術士試験 受験のすすめ」
https://www.engineer.or.jp/c_topics/001/attached/attach_1680_3.pdf
日本技術士会は2021年から2023年にかけてFMラジオ〔Tokyo Star Radio 77.5MHz〕による技術士の広報番組を通して、現役の技術士の方や技術士を目指す方等から、技術士会の活動等について、生の声を取り上げて紹介をしています。私も何度か番組に関わる機会をいただき、自分の知らない技術士の世界を多く知ることができました。この番組は、日本技術士会(資格活用委員会)ホームページやYouTubeで「技術のミカタ」を検索するとアーカイブとしてお聴きいただくことができます。技術士はどのように働いているか等について、知りたいことがある方、技術士に少しでも興味のある方はぜひお聴きください。一歩前に進む情報として役立つことがあれば幸いです。
注2)技術のミカタ
https://www.youtube.com/watch?v=Q2qoNTlUpgI
※注:記事は2024年6月現在のものです。
■資格
技術士 水産部門
博士(海洋科学)
■日本技術士会の活動(2024年現在)
水産部会副部会長
男女共同参画推進委員会委員
技術士資格活用委員会委員
■その他
食品技術士センター理事
東京海洋大学技術士会事務局長
趣味:空手道(公認五段位)
「IPEJ」,「日本技術士会」,「技術士会」,「CEマーク」及び「PEマーク」は、公益社団法人日本技術士会の登録商標です。
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