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男女共同参画推進委員会

女性キャリアモデル 小松加奈さん

小松加奈さん(拡大画像へのリンク)

   小松加奈さん

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業務経歴と技術士取得の動機
 実験とお肉が大好きな私は、四年制大学理系学部を卒業後、食肉加工メーカーへ技術系総合職として入社しました。31歳で出産後、フルタイム勤務で復職、2022年現在5年経過し、社会人としては16年目です。
 入社してから、開発部、2工場(開発課、製造課、生産管理課)、商品部、生産本部生産管理部に所属してきました。2年目で『改善活動』を知り、現場で皆と協力し成果を出していく面白さに夢中になりました。改善リーダー、本部改善事務局、改善講師を務めました。製造現場担当時は、機械オペレーションや生産スケジューリング、人員配置を行い、夜勤(17時始業〜明け方終業)も務めました。原料肉の整形や毎日2時間の清掃、フォークリフト運転も行いました。開発部として試作研究、商品部として企画営業にも携わりました。プロジェクトは3件経験しました。1件は部門横断プロジェクト『生産・原価管理システム構築』でシステムベンダー選定・要件定義〜工場導入運用まで携わりました。現在も本部にてシステムを統括しています。あとの2件は、自ら立ち上げ、責任者として行った『原価低減:歩留まり・作業効率改善』と『改善継続化』です。業務としては、全工場における原価管理、原価試算、利益分析、部門横断業務プロセス簡略化と標準化、全商品の試作品確認同席も行っています。
 技術士を目指した動機は4つあります。[1]効率的に業務成果を得るために、先人の英知を体系的に学ぶこと。[2]社外情報網に仲間入りすること。[3]会社の経営統合やライフステージの変化に対応していくために、自己の強みを客観的に示すこと。[4]性別や年齢からのバイアスによる仕事の進めにくさを緩和し、スピーディーに成果を出すこと。これらを期待し、30歳の時に技術士になろうと決意しました。
技術士試験と取得してから
 技術士取得と出産を同時期に目指したことより、育児休業中の第二次試験筆記試験受験となりました。育児休業から復職のタイミングで、今までの業務成果がリセットされてしまうこともあり得ると危惧し、集中して勉強しました。乳児の夜泣き対応で寝不足の中、体はキツかったのですが、24時間子ども中心の生活において、5分でも10分でも自分の勉強時間に充てることで、自由がきかず疲弊しそうな自身の精神バランスを取ることができました。試験1ヶ月半前からは、一時保育を行う保育園の利用と、両実家の協力のもと、勉強時間を確保しました。筆記試験翌月に、「復職前面談」を勤務先へお願いしました。この面談で、技術士受験や経営工学の体系的知識も伝え、それが活かせる部署への配属となりました(技術士会のD&Iフォーラムで教わった「育休後復帰支援面談シート」を活用しました)。復職後、口頭試験勉強は、始業前と昼休みの時間を利用しました。無事、技術士を取得し、その旨を社内報に載せて頂いてから、格段に仕事を進めやすくなったことを肌で感じました。
 経営工学の技術は、公私ともに活用しています。合理化・時間管理・リスク管理や、課題解決や説明時のフレームワークとしても重宝しています。
 技術士会では、新たな知見の習得や経験(講演や執筆、文部科学省委嘱委員など)の機会に留まらず、様々な分野・立場の方と、上司部下などの利害関係なく交流できます。視野が広がり、励ましと気付きと刺激を頂いています。

子どもが選んだ素材から手作りしたバッグ(拡大画像へのリンク)

子どもが選んだ素材から手作りしたバッグ

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ワーク・ライフ・バランス
 勤務先では、育児と仕事の両立だけでなく、介護や自身の通院との両立が普通のこととなっています。父親となる人が、これから出産・育児にまつわる突発事項やその対応にあたることが起こり得ると説明するのも、よく見る光景です。コロナ禍で在宅勤務・リモート対応が浸透したことで、より臨機応変な対処も可能となりました。
 仕事で"その人しかできない"という体制にせず滞りなく運営できるようにするのと同様、家事育児も夫婦でどちらかしかできないことはないので、状況に応じてお互い調整しています。
 子どもとの遊びでは、毎月2回イベントを設けています。子どもの要望で、季節のお菓子作りと裁縫をしています。旬の果物や一緒に選んだ素材から、過程を共有して作っています(写真:子どもが選んだ素材から手作りしたバッグ)。また、虫取りや博物館巡りのこと、読書感想をまとめたウェブサイト作成も共に試行錯誤しています。本人の興味・関心に寄り添った成長へのサポートとスキンシップを大切にしています。そして、私自身の趣味や休息、一人時間も大事にしています。
技術士取得へのアドバイス
 私は技術士合格講座にて添削指導を受け、最初の受験で合格しました。筆記試験、口頭試験ともに第三者から見た評価が参考になりますので、独学より添削指導を受ける方が近道だと考えています。今はTwitterなどでも情報交換が活発にされています。それらを活用して、自分に合いそうな勉強方法や疑問点の答えを見つけることもお勧めです。
 資格取得は自分の努力で達成できることの一つです。技術士資格は、組織/社内で活かす(2023年から企業へ義務化予定の「人的資本の情報開示」でも利用し得えます)、手当てが付く、副業、定年後独立、転職、起業、特に変わらない、と人により様々ですが、武器として装備しておいて損はないと思います。今近くにいる人の主観、取り巻く環境、タイミング、自分の未熟さなどで「今の成就」は叶わなくても、いずれまた機会が巡ってくる、その目印ともなります。生涯で働く時間は長く、体力も意識も変わります。自らの経験と思考を活かした働きのできる可能性が広がることは、心の安定にも繋がります。
これから
 人文科学、社会科学の勉強も始めました。技術士としての一面も活かしながら、課題の解決に取り組み、職場のニーズ、そして社会のニーズに応えていきたいです。
 女性の地位向上は、世代と地域を越えたリレーのようなものかと捉えます。何世代もの先輩達が踏ん張ってきた姿を見てきました。ここ10年で、ハラスメント・働き方・性別役割分業に対する意識も大きく変わりました。向こう10年では、マジョリティのど真ん中を歩いてきたバブル世代が、嘱託雇用になり、初めて組織内でマイノリティとなります。年金にまつわる対象年齢の引き上げにより、定年再雇用嘱託社員割合も増えます。職場の雰囲気も、求められるリーダー像も、否が応でも変わっていくのではないでしょうか。性別どころではなく、それこそ多様性のある人材を束ねて効果を最大化するリーダーが必要となるでしょう。
 挫けそうな時に引き戻してくれたのは「声をかけてくれた方々の優しさ」と「職務を全うする姿」でした。私もそのように過ごし、バトンを繋いでいきたいと思います。

自己紹介

■技術士部門
経営工学部門(生産マネジメント)
■略歴
1985年:男女雇用機会均等法制定年に誕生
2007年:大学卒業、食品メーカー入社
2016年:出産
2017年:復職、技術士受験
2018年:技術士登録
■資格
技術士 経営工学部門
第一種衛生管理者
ハム・ソーセージ・ベーコン製造技能士
フードコーディネーター
フォークリフト運転 他
■趣味
食道楽、マッサージ、読書、旅

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