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男女共同参画推進委員会

男性D&Iモデル 福井剛史さん

1.家族構成とそれぞれの働き方
 2021年4月から横浜市へ異動となり、現在(2021年10月)、妻も正社員として3歳のこどもを育てながら共に働いています。それぞれの実家は四国、中国地方にあり、親元から離れて生活しています。
 まだ試行錯誤も始まったばかりですが、下記の皆さんに向けて 現状紹介をベースとして参考になりそうな情報、率直な感想を記載します。
・親元を離れた場所で育児しながら共に正社員で生活しようと、あるいはしているご家庭
・少し将来の自分自身と家族
 次に私自身がこれを機会に少し先に向けて考えていることも紹介したいと思います。

2.私たちの工夫
その1.(なるべく)がんばらない仕組みをつくる

 それぞれの実家を離れて育児・共働きとなると、何となく、しかし、一瞬の間に「がんばる」、「奮闘する」雰囲気が漂ってしまうことが多いと感じています。実際、こどもの体調変化、夫婦の 仕事上での諸々の調整事項、その他細かな種々のコミュニケーション、がんばる要素は多くあります。ただ、だからこそ、がんばらなくてもやれる、やりやすい仕組みをがんばり始める前に整えることが必要と言えます。多少の時間やお金をかけてでも、住む 場所や勤務する組織の実際の勤務条件などの育児・共働きの体制を整えることが大切です。
 こどもを預ける場所(保育園や認定こども園など)や配偶者の勤務先が異動後に新たに決まる(決められる)場合、その距離関係あるいは勤務条件によっては、手間や費用面で新たな負担が発生するとしても、短期間のうちにでも引越してもよいと考えます。また、同じ職種でも会社ごと、あるいは自治体ごとに労働条件、子育てへの理解にまだ大きな差があることがあります。広く粘り強く勤務する組織の情報を集めること、修正することが重要です。
 こどもの迎えには私は自転車で、また、原則としてお迎え担当(親)が連続した日とならないように日替わりとしています。お互いに新しい職場で業務+αですること、したいことがある中で交替でのお迎えは、それぞれにとってちょっとした 「がんばり」ですが、これは実は上記のような住むところの「位置取り」や勤務条件の「実態」が相当に緩和してくれています。夫婦の条件が公平になっていることも継続のために重要な条件と考えています。
 そのほか、家事をなるべく外部化、機械化することも心掛けています。今、平日の晩御飯は宅配おかずを利用しています。宅配おかずを頼むことで、毎日献立を考えることや毎日の買い物の負荷は減ります。洗い物は食洗器、掃除は自動掃除機併用です。食洗器や自動掃除機も事前準備は多少必要ですが、拘束時間は少なく、また個人的には音を出して動いている様子や忘れたころにきれいに仕上げてくれるのを見ると、機械 が一緒にがんばってくれている感すら持てることもあります。
 何かをする(今回は仕事や育児)方法を考える前段階のストレスを減らしておくことは、自由になる時間の量だけではなく質を高めてくれるので、実質的な活動時間の効果効率を考えることと同等に大事です。
その2.(ひたすら)ストレスを減らす

 育児についてはストレス緩和を最重要項目のひとつと捉えています。個人個人は社会(あるいは技術)に関係していて(させられていて)、その影響を大きく受けています。つまり先に述べたように、個々で工夫しても場面場面では片方の親に不可避の負荷がかかります。この点については、負荷の波を乗り切ったあとにまとめて休むというよりは、一言の声掛けや、数十秒、数分、数十分、のフリーな感覚を持てる時間をつくること、そのような時間によるストレスの「自然な」減少・緩和に効果があり、かつ必要と思います。キツイ状況が続きそうな局面では、ごく短時間の休息を馬鹿にしないで、こまめに休んでいくことがいいと考えています。
 親目線で書いていますが、むしろこどものストレスも減らすことが大切です。こどもは体力がまだ十分ついていないにもかかわらず、共働きの家庭では預ける時間はそれなりに長くなり、就学前のこどもが毎日、いわゆるフルタイム+残業の時刻範囲での保育活動になることも現実多いと思います。自分で手いっぱいになりがちですがこの点もこまめに目を掛けるのが良いです。
3.日常生活を超えてつなぐこと
 共働き×育児は奮闘必須なストレスフル(のみ)な生活です。その対応について書いてきましたが、伝えたいメッセージはそれだけではありません。現在、息子は3歳です。いろいろな人からこの時期は親にとってかわいさのピークと聞きますし、実際、可愛いです。こどもの成長過程を見ながら、そこから何がしかをリマインドしたり考えたりする機会としたり、自身もそうですがパートナーのキャリアも工夫しながら進めていく、そのプロセスにはひとつの価値を感じます。
 一方でこれだけが価値ではないとも思います。実生活において、特に私の母の世代以上では、仕事と結婚(特にこどもをもつこと)の両立が(男性と違って)当たり前でなかったことを事実として認識しています。
 外力ではなく自発的に、(男女に限らずいろいろな人が) 自分のしたいことを主張でき、能力と意志があれば公平に認められる、そのような状態の現実化に向けて上記の改善要素を実際に改善して、少し大げさには次の時代へ貢献することには前出で記した価値とは別の価値を感じます。
 政治や社会活動による作用は必要でしょうが、今は、ダイバーシティにまつわる活動のひとつとしての男女共同参画の枠組みとして、この価値観に基づいて、自分のパートナーにとって良いと考えることが現実になる様に試行錯誤を続けてみようと思います。実際には日々の生活の慌ただしさと自身のしたいこととの時間配分が干渉することはしばしばあります。ただ現実に埋没するだけではなく、何かの頃合いで、その都度この価値観(感)に戻りながら考える時間を過ごして、その時間の影響を受けたときに思う気持ち(ちょっとした意志)をもった日々を増やさないとな、と今のところ考えたりしています。

自己紹介

福井剛史(ふくいつよし)
2009年 国内化学メーカー入社
2019年 技術士(化学部門)登録
2021年 公社)日本技術士会男女共同参画推進委員会委員

※注:記事は2022年3月現在のものです。

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