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男女共同参画推進委員会

男性キャリアモデル 加藤亨さん

加藤亨さん(拡大画像へのリンク)

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1.技術士受験顛末記
 「カトチャン、情報工学部門の技術士取ってよ」部長からいきなり言われたのは、1990年代も終わりに近づいたある日のことでした。私の勤務していたC社には、多くの技術士がいましたが、情報工学部門の技術士資格を持った者がいなかったので、冒頭の部長の依頼になったわけです。
 当時、C社のネットワーク構築を一手に引き受けていた私は、多少の自信を持って受験し、筆記試験に合格し、いざ口頭試験というときに事件は起きました。自分の目標を持たずに受験したツケが回り、面接官と「技術が先か、ユーザ要求が先か」で口論となり、あえなく不合格となってしまいました。その後はそれがトラウマとなって、しばらくは受験を避けてきました。
 意識が変わったのは、社会人人生の終わりが近づいた、2000年代のある日のことでした。興味本位に面接を受けたヘッドハンティング企業のコンサルタントから、「加藤さんは、社会人の仕上げのイメージをどのように描いていますか」と問われた時にハッとしました。それまでは、「今の業務に一生懸命取り組んでいれば後は何とかなるだろう」とタカをくくっていた私に、「これからの10年間は、社会人としての仕上げの姿をイメージして、その準備のために何をすべきかを考えて生活してください」との一言が胸に刺さりました。
 その時に思い出したのは、大学院の最後の夏に、「加藤はどんな仕事がしたいの?」との先輩の質問に、「業務とシステムを結びつける仕事がしたい」と答えたことでした。
 「そうだ、業務と情報技術の懸け橋となるコンサルタントになろう」と心に決め、コンサルタント資格としての技術士に再挑戦することにしました。
 その後、2009年に情報工学部門、2011年に総合技術監理部門に合格し、すぐに個人事業主としての登録を行い、以来、常にコンサルタントの意識で仕事に取り組んできました。

2.技術士資格を取って変わったこと
 私の場合は、受験勉強の中で変わったと言うのが正しいのかもしれません。それは技術士受験の時に出会った、論文指導の先生の影響でした。
 当時の技術士試験は、業務経歴論文を提出してその内容について口頭試験が行われており、以前の口頭試験での失敗に懲りた私は、ある先生に指導を依頼し、業務経歴論文のドラフトを提出しました。その内容は、「私はこれまで一生懸命努力と工夫を重ね、情報システムの運用改善に成果を上げてきました。これからも頑張って成果をあげて行きます」というものでした。それに対しての先生の言葉は、「加藤さん、一生懸命頑張るから成功しますという技術者と、私はこういう情報技術の手法を適用して成功しているので毎回必ず成功します、という技術者と、あなただったらどちらに業務を依頼しますか」というものでした。この瞬間に、私は技術や手法を型(カタ)にした「フレームワーク」の重要性に目覚めました。
 それ以来、私は、自分の業務を『情報技術を組み込んだ「フレームワーク」として見える化し、課題解決力と説明性を高め、そこに工夫を加えていくことで応用力を身につけて行く』というスタイルを確立し、その後の社会人人生を通じて実践してきました。

3.ワーク・ライフ・アンバランスの解消を目指して
 1980年代から始まった、情報通信技術の革命的発展の中でシステムエンジニアとして奔走してきた私の社会人人生が、ワーク・ライフ・バランスが取れていたかと聞かれれば、間違いなくアンバランスだったように思います。ただ、そんな中でも40年以上続いている趣味が「声楽」です。大学4年の時に近所のレコード店の二階の声楽教室に通い始めて以来、何度も中断しながらも、何人かの先生のレッスンを断続的に受けています。特に、数年前から、妻に誘われて大阪城ホールで行われる「1万人の第九」に参加するようになって以来、第九のテノールの高音を安定的に歌えるように、改めて声楽の先生のレッスンを受けています。その先生曰く、「加藤さん、まだまだ高音出ますよ。ハイツェー(highC)も夢ではないですよ」などというおだてに乗り、パバロッティを目標としています。
 「1万人の第九」は抽選方式で、残念ながら毎年参加できるわけではないのですが、大阪城ホールを埋め尽くす1万人の合唱団の中で声を張り上げることで、少しでもこれまでのワーク・ライフ・アンバランスを解消することを目指しています。

4.技術士取得を目指す方へ
 科学者アイザック・ニュートンが友人に宛てた書簡の中の「巨人の肩に乗って見る」という言葉があります。巨人とは「先人の知恵」を擬人化したもので、ニュートンが高い知見を持てたのは、先人の知恵を活用したからだという意味だと解釈されます。私が、技術士受験の中で身につけた「フレームワーク」を活用することは、まさに「巨人の肩に乗って見る」ことであり、それは技術士取得という目標に有効だっただけではなく、その後のより良い業務の達成、より充実した社会人人生を全うするための習慣につながりました。「良い習慣は才能を超える」というのは東レの元取締役の佐々木常夫氏の言葉ですが、ぜひ、「巨人の肩に乗って見る」習慣を身につけ、より充実した技術者人生を満喫してください。

5.これからの目標
 2011年に総合技術監理に合格して以来、技術士挑戦をサボっていましたが、新型コロナウイルスの感染防止の外出自粛期間に、改めて自分の社会人人生を振り返って、「プロジェクトマネジメントの技術士資格である経営工学部門の技術士を取っていない」ことに気が付きました。今後の目標は「経営工学部門の技術士合格」、これに決めました。

テレワークのPM(拡大画像へのリンク)

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自己紹介

■技術士部門:情報工学部門、総合技術監理部門
■プロフィール
1978年3月 慶應義塾大学工学部管理工学科修士課程 修了
1978年4月 千代田化工建設株式会社入社
1999年6月 ITエンジニアリング株式会社移籍 EPM事業部長 他
2012年10月 千代田システムテクノロジーズ株式会社移籍 取締役常務執行役員
2016年7月 千代田ユーテック株式会社移籍 代表取締役社長
2019年4月〜 日本プロジェクトマネジメント協会理事長
趣味:卓球、ゴルフ、声楽
資格:米国PMI認定 PMP、日本PM協会認定 PMS
情報処理技術者試験、システムアナリスト他

※注:記事は2020年8月現在のものです。

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