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男女共同参画推進委員会

男性キャリアモデル 高橋裕二さん

高橋裕二さん(農業部門、総合技術監理部門)(拡大画像へのリンク)

高橋裕二さん(農業部門、総合技術監理部門)

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高橋裕二さん

たかはしゆうじさん

技術士に出会ったときのこと

私が技術士という資格に出会ったのは、町の本屋でした。会社に入ってちょうど10年が経過していました。当時は工場勤務で、とても充実したモノ造りの日々を送っていましたし、部長補佐としてやりがいのある仕事も任されていました。ある意味、サラリーマンとして安定期に入って、心のゆとりみたいなものが出てきた頃だったかもしれません。そのような時、会社という枠から外れて自分自身を見つめ直した時、自分には一体何が残るのだろうと考えるようになっていました。自分は会社内ではそれなりの技術者であるという少しばかりの自負が心の片隅にありましたが、自分のことを知らない社外の人から見れば一介の技術者でしかなく、自分はこのままで良いのかといった悶々とした気持ちもありました。その結果、技術者として何らかの証みたいなものが欲しいと強く思い始めました。本屋で資格ガイドブックをペラペラとめくりながら、技術系で何か良いものはないかと眺めていたところ、「技術士」を見つけたのです。

自分に適した学習をする

おぼろげながらに技術士という資格に魅力を感じ、「技術士第二次試験 試験問題集 平成10年度」という本を訳も分からずに購入しました。これが初めて買った技術士の本です。それをきっかけに技術士について色々と調べ、試験制度やその合格率を知るに至り、結局自分には無理だと一度は諦めました。でも、心のどこかに技術士という資格に未練があったのでしょう。再び本屋で技術士の本を真剣に眺める自分がいました。技術士に関する本をむさぼり読み、自分の技術部門に該当する専門書も読み続けました。そして、約10年もの月日が過ぎました。今にして思えば、自分にとって技術士という憧れの資格は、付かず離れずの存在だったのでしょう。よく10年も続いたと自分でも感心します。第一次試験は生物工学部門、第二次試験は農業部門で受験しましたので、読んだ本の領域はバラエティに富み広範囲でした。それがかえって、専門書を飽きずに長く読み続けることに奏功したのかもしれません。大学受験の時も予備校には通わず、自分に合った参考書を買ってきて、ただひたすら読むという学習スタイルでしたので、技術士受験もこのスタイルでした。自分にはこの学習スタイルが一番フィットします。でも、井の中の蛙になってはいけないと自分に言い聞かせていましたので、日本技術士会の講演会には意識して足を運びました。年齢がかなり上の人や若い人が一生懸命に講演を聞いてメモを取っている姿を見て、大変刺激になりました。また、男性だけでなく女性もいて、技術の修習に年齢や性別は関係ないと改めて痛感し、日本技術士会の講演会は自分自身へのカンフル剤となりました。
技術士試験では何度か苦杯も嘗めましたが、落胆はしませんでした。もう少し頑張れば突破できるかもしれない、と次につながる不合格に思えましたし、山の頂上へ向かって確実に登っている実感もありました。技術士試験は長丁場ですので、一喜一憂しないで平常心を持ち続けることは極めて重要です。険しい道のりではありますが、だからこそチャレンジしたくなるのが技術士という資格だと思います。

技術士になって変わったこと、わかったこと

技術士になったことで変わったことは、自分の仕事に今まで以上の責任感を持つようになったことと、自分の仕事の目標をより高いものに設定するようになったことです。このような変化は、「自分は技術士である」という誇りから自然に沸き起こってきたことであり、誰かに言われてそうしているということではありません。「技術士なのにこの程度の仕事しかできないのか」という自分自身への叱咤激励に押し潰されそうな時もありますが、それに負けるようではそもそも技術士の資格に相応しくないのです。そういう意味では、技術士になってからの方が日々プレッシャーを感じますし、自己研鑚の意識は高まりました。
文部科学省科学技術・学術審議会が「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」を次の7つに纏めました。それは、「専門的学識」、「問題解決」、「マネジメント」、「評価」、「コミュニケーション」、「リーダーシップ」、「技術者倫理」です。年齢や状況により自分が強化すべき資質能力は変わるでしょうが、これらをバランスよく備えた技術士になれるよう、私は今後もCPD(Continuing Professional Development:継続研鑚)に励みたいと思います。
私は企業内技術士ですから、自分の技術力をいかに会社に活かすかということは当然考えますが、社会という大きい視点で物事を考えるようにもなりました。つまり、公益確保です。会社内の一技術者で留まっていたならば、このような考えは絶対に抱かないでしょう。技術士は、科学技術に関する高度な知識と応用能力を有すると国によって認められた技術者に与えられる権威ある国家資格であることを改めて噛み締めています。

修習技術者の皆さんへ

技術士を目指している修習技術者の皆さんに私からアドバイスできるとすれば、自分自身に合った勉強方法を早く見つけて下さいということです。年齢、性別、専門分野、キャリア、家庭環境等、各人で異なるのは当然ですから、技術士になるにはこの勉強方法が一番良い、といった全ての人に当てはまる魔法のような方法はあるはずがありません。技術士への道のりに王道はないのです。
第一次試験に合格して日本技術士会の講演会に度々顔を出すようになった時、修習技術者支援実行委員会(現:修習技術者支援委員会)で一緒に活動しないかと声を掛けて頂き、5年くらい活動しました。最近では、「修習技術者のための修習ガイドブック −技術士を目指してー 第3版」の取りまとめ役をしました(平成27年1月)。自分に適した修習方法を見つける一助として、多くの修習技術者にこれを読んでもらいたいと思います。日本技術士会のホームページから閲覧可能です。
私が技術士になったのは47歳の時でしたので、遅くとも35歳までに技術士を取得して活躍するという世間一般の期待からは10年以上遅れました。資格取得は早いに越したことはないでしょうが、技術士としての貢献は決して期間の長さだけではなく、仕事の内容や質でも評価されるべきでしょう。また、日本技術士会に登録している技術士85,482人のうち、女性は1,415人で、1.7%に過ぎません(平成28年3月末日)。この数字の低さは驚きと言わざるを得ません。女性ならではの発想や仕事の進め方は男性技術士が気付かない貴重な示唆を与えてくれるでしょうから、女性と男性がお互いに補完し合いながら我が国の技術レベルを高めていければと思います。
最後になりましたが、前途洋々たる修習技術者の皆さんに私のキャリアが少しでも参考になったとすれば、この上ない喜びです。

修習ガイドブック改訂の打ち上げ(拡大画像へのリンク)

修習ガイドブック改訂の打ち上げの様子

(画像クリックで拡大 48KB)

プロフィール

1987年(昭和62年) 食品会社入社
2010年(平成22年) 技術士(農業部門)登録
2012年(平成24年) 技術士(総合技術監理部門)登録

※注:記事は2016年5月現在のものです。

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