男女共同参画推進委員会のホーム世界の国々からラオスの働き者
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安井 清子さん (ラオス在住)
ラオス山の子ども文庫基金
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ラオスで働きはじめた20年ほど前、その頃私はNGOスタッフとして、ラオスの図書館で仕事をしていたのだが、どうにも働かない人がいる。根っからの怠け者かと思って、自宅に訪ねると、その人は実は働き者で、びっくりしたことがある。家では鶏やアヒルを飼い、薪を割り、畑を作り、家の修理や建築をし……まるで別人のようにクルクルと動き回っている。ラオスで、働き者とはどういう人のことを指すのだろう? と考え込んでしまった。ラオスではつい最近まで(地方では今も)、自給自足の暮らしがベースにあった。米や野菜を育て家畜を飼い、炭や薪で火を熾して調理をし、手で洗濯をする。そんな生活を回すために、職場での仕事は適当にして、そそくさと時間前に帰ってしまう人たちの気持ちもわからないではない。男でも料理や子育てが上手な人が割合に多いのは、小さい頃から家族の役割として、子守や家事に携わってきたからであろう。
ラオスは多民族国家なので、民族によって異なるが、低地に住むラオ族の場合は、婿入り婚が多い。そのためか、女性たちは、実母や親族に子どもを預けて仕事を続ける人が多く、保育園がまだまだ未整備なわりには、公務員など職を持つ女性たちが、出産を機にやめるという話はあまり聞かない。実は、土地も家も女性が相続していることが多い。
社会の中では男が長であることの方が多く、女性が一見表に立っているわけではないが、ラオス人の価値の中心は「家族」で、その家族を支える女性がどっしりと実権を握っているように思えるのである。
(原稿受理日:2015.8.28)
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