男女共同参画推進委員会のホーム世界の国々からアフリカのお母さんたち
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中内 綾さん
アライアンス・フォーラム財団 常務理事
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栄養不良改善事業を立ち上げるため、初めてアフリカの地を踏んだのは2008年。
それまで、3人の子供の子育てと主婦をしていた経験しかなかった私でしたが、一段落したところで、私も社会で(私にとっては家の外)役に立つことをしたい!と
思いはアフリカへ。何故アフリカなのか?それは、私にとって未知の世界、そして難しいことはわからなくても子供に関係することなら少しはわかるかも?という今思えば安易な気持ちからでした。
最初に降り立ったのは、アフリカ南部のザンビア。
広大な土地、空港からまっすぐ伸びる道路。
前後右左と見渡す視界の半分以上が空!
町にはビルが立ち並び、なんとショッピングセンターもあり、一体どこに栄養不良の子供がいるのかしら?と思いました。
しかし、そんな町から車で一時間も走らないところで、ここはどこ?同じザンビアなの?赤土のデコボコ道になり、見渡す限り枯れ草と、ところどころ木がある程度。行けども行けども同じ景色に、たまに女の人と子供が頭に荷物を載せて歩いている姿を見て不思議に思いました。どこから来てどこに行くのだろう。道路の脇に水汲み場がありました。そこで、お母さんたちと子供たちが水を汲んでいました。これが、アフリカなのです。水を汲んで家に持って帰るのは大変な重労働です。でも、そこには、男の人の姿はありません。
それから何度も行き、わかってきました。男女不平等、女性の身分は低いのに、女性が生活を切り盛りしているのです。
子供を抱えながら生活に必要な水を汲みにいき、木を集め、家事をし、農作業をし・・・。
お料理をするにも石を三つおいて木をくべ火を熾し、その上にお鍋を置くのです。どれだけ時間がかかるかわかりません。まるでタイムスリップしたかのような生活。それでも私たちが行くと、どこからともなく集まって来て、歌とダンスで歓迎してくれるのです。太陽の下で踊る陽気で明るくたくましいお母さんたちに感動します。
私たちは、栄養不良が原因で子供をなくすお母さんたちに、栄養の大切さを教えています。栄養不良が免疫力を低下させ、普通ならば死に至るまでもないはずの下痢や風邪で死んでしまうのです。子供たちに必要なのは、栄養!まず、お母さんたちが日々の食生活そして栄養が大切だということを知り、変えていくのは自分自身だということを自覚してもらうことが重要です。そして将来的には自分たちの栄養改善は自分たちで解決できるよう、また同時に収入も得られるよう、栄養改善のための食材を地産地消できる仕組みを考えながら取り組んでいます。
ともすると私たちは、彼女たちを貧しい生活で不幸だと勝手に判断してしまいがちですが、彼女たちはそんな風に思っていません。「幸せだ」と言います。それだけに栄養不良で大事な子供たちを死なせたくないのです。
(原稿受理日:2015.8.28)
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