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男女共同参画推進委員会

女性技術士キャリアモデル 飯島玲子さん

飯島玲子-1(拡大画像へのリンク)

飯島玲子さん(総合技術監理部門・建設部門)

(画像クリックで拡大 80KB)

飯島 玲子 さん

いいじま れいこ さん

はじめに

技術者を目指す学生さんや企業で働く若い技術者(特に女性)とその周辺の方に向け、私のつたない経験から申し上げるのは僭越(せんえつ)ですが、以下、お伝えしたいことを書いてみます。
私は大学院修了間際まで、ほとんど将来の職業や就職先企業の研究もせず、流されるまま最初の会社に就職してしまいました。それを思うと、この特集を読まれている学生さんは、それだけでもうすばらしい意識の高さです。
また「なぜ男女共同参画の委員会があるの?」と思われるかもしれません。社会には男女が半分ずつ暮らしていますが、日本の技術士に占める女性の割合は約1%にとどまります(米国は1割強、スウェーデンは2割弱)。すべての人が安全・安心で快適に暮らせる社会をつくるためには、男女の別にかかわらず、多様な発想、能力、経験の融合が必要です。だから、男女が共に科学技術を担う社会にすること、そのために女性の活躍(参画)が必要なのです。

技術士を受けた理由

私が技術士を目指した理由2つを述べます。決して立派な動機とは言えませんがご参考までに。

1) 居場所づくりと信頼獲得

1つ目は、何かあったとき女性だからと不利な扱いをされないよう、客観的に自分の能力を示し、一刻も早く職場に「居場所」をつくりたかったということです。私の入社時にいらした数年先輩の女性社員は、まもなく育児休暇中に退職されました。いつも明るい笑顔がすてきだったこの先輩の退職はとてもショックでした。そこで確固たる「居場所」が必要ではないかと考えたのです。
社外に対しても同様です。初対面の方とはまず名刺交換から始まります。その名刺に「技術士」という社会的に信頼のある肩書があることで、女性が少ない業界だからこそ、信頼関係を早く構築することができるのではと考えました。
建設部門に続き、総合技術監理部門を受験したのも同じような動機です。増えつつあるとはいえ、当該年齢の方が少ないこともあり、社内の女性管理職はまだごくわずかです。管理職としてどのように活躍できるのか(させてもらえるのか)わからず、わかりやすい目印のひとつとして選択しました。
この作戦が成功したかどうかは、正直、わかりません。本当の能力は資格や肩書ではなく、また技術力は日々研鑽(けんさん)しなければ役に立たなくなるからです。ただ、3人の子を出産し育てながら働き続ける上で、技術士の資格が自分自身の心のよりどころとなったことは確かです。

2) 基礎知識が頭に入れば一石二鳥

2つ目は、技術士の勉強を通じて都市計画の基礎知識を一気に詰め込むことができれば、一石二鳥と考えたことです。その当時は、学生時代の専攻とは異なる都市計画の部署に異動した直後で、実務上も少々苦労していました。残業が多く、通勤電車で参考書を読む程度ではさっぱり頭に入りません。これではいけないと、試験前の5日間の夏季休暇をすべて受験勉強にあてました。
手がしびれるまでひたすら書き続け、5日目にはもうこれでいいだろうと妙に納得。試験当日は、詰め込んだ内容がこぼれてはいけないと、頭を傾けないよう気をつけて(本気でした!)会場に向かいました。とても自慢できる対策ではありませんが、この勉強を通じ、基礎知識を学ぶだけでなく、まちや社会をどうしていくべきか、という自分なりの考え方を不思議と整理することができました。
総合技術監理部門の勉強でも、マネジメントの基礎知識を体系的に学ぶことができ、「一石二鳥」作戦は成功でした。

技術は何のため?

コンサルティングに限らず多くの仕事では、何が提供できるか(シーズ)、はもちろんのこと、未来も含めて顧客が何を望んでいるのか(ニーズ)、に応えることが必要です。しかし、ニーズに対応するというのは、必ずしも顧客や世間一般が言葉で示している既知の「ニーズ」に合わせればよいということではありません。顧客が想定していない、より幅広い観点、知識を基に、何を目指しているのか、そのために何を提供すべきなのかを一緒に考え、提案することが大事です。
その際、自身がどのような社会を目指しているのか、そのためにこの仕事で何をすべきなのかという考え方を自分なりに持っていることが要となってきます。もしこれがなければ、軸を定めた提案ができず、対症療法的な仕事になってしまうでしょう。自身の「こういう社会にしたい」という価値観があって初めて、よりよいサービスを提供できるのだと思います。
技術とは、あるべき社会に向けて使う手段や方法であり、それを生かすためには、この軸を明確にし、同時に顧客、社会と手を携えて歩みを進めなくてはなりません。言い換えれば、提案が10歩先だと受け入れられない、1、2歩先なら受け入れてもらえる、という現状があります。社会のあり方に対する価値観も年齢を重ねれば見えてくることかもしれませんが、若いうちから常に自分に問いかけてみてください。社会のさまざまな動きがどのような意味を持つのか、私たち(技術者と社会全体)はどこに向かっているのか、向かうべきなのか、と。

ダイバーシティ&インクルージョン経営の推進

1) うれしい変化

転職時に今の会社を選んだ理由は、風通しのよい社風に加え、男女が同じ賃金体系だったことです。最近は採用者に占める女性の割合は4割と格段に増えましたが、在籍者で見ると1割、契約社員を含めても2割弱と、まだまだ女性(そのうちでも特に技術職)の割合は少ないのが実態です。ただ、結婚、出産後もほとんどの女性が働き続けるようになりました。子育てしている女性技術職がまったくいなかった20年前からすると大きなうれしい変化です。
当社は、ワーク・ライフ・バランスを含む「ダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(統合)経営」に積極的に取り組み始めています。2015年10月には推進のための方針を策定し、目標値やロードマップを定め、トップダウンとボトムアップの両者をつなぐ体制も構築しました。そうした会社の姿勢が、上記の変化に大きく影響していると考えます。

2) 「ワーク・ライフ・バランスねっと」の活動

女性が増えてきたとはいえ、女性ならではの状況や悩み(結婚、出産、子育て、時短に関わるもの)を共有しあう機会はなかなか持てません。これに応えるものとして、社内有志による「ワーク・ライフ・バランスねっと」の活動があります。
私が呼びかけたころは、数人でお弁当を持ち寄り、ランチ会をする程度でしたが、テーマをワーク・ライフ・バランスに広げ、15年以上たった今では数十名の方がメーリングリスト(ML)に登録し、ランチ会も全国数か所で開催されています。幹事も若手中心で、メンバーは女性だけでなく、男性も多数参加しています。年に1〜2回、社長や役員とざっくばらんに意見や情報の交換を行います。顔を合わせて話すことで、多くの気づきや意識の共有が進んでいます。
会社側からの動きだけでなく、こうしたボトムアップの草の根活動も大事だと思っています。

おわりに

2013年、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する専門部署ができたとき、20年携わった技術職を離れ、事務職となり立上げを担いました。専門性は異なりますが、組織の力を活かしてプロジェクトを進めるという点は同じです。技術職で培った経験がとても役に立っています。
すべて100%完璧を目指す必要はありません。感性も働き方も「みんなちがって、みんないい」のです。技術の世界には、あなたにしか拓(ひら)けない未来があります。がんばるあなたに応援隊は必ず現れます!

飯島玲子-2

団子三兄弟

プロフィール

1988年 大学院修了、A社 入社
1991年 パシフィックコンサルタンツ株式会社 入社
1996年 技術士 建設部門 取得
1999年 第1子出産
2003年 技術士 総合技術監理部門 取得
2015年 土木学会ダイバーシティ推進委員会メンバーとして「土木学会ダイバーシティ&インクルージョン行動宣言」策定に関わる
専 門:ウェルネス分野のコンサルティング(福祉関連計画、健康のまちづくり、ユニバーサルデザインなど)、2013年よりダイバーシティ&インクルージョン経営、人材開発

趣味

子育て関連NPO活動

資格

技術士 建設部門 都市及び地方計画
技術士 総合技術監理部門 建設
東京都福祉サービス第三者評価システム評価者
福祉住環境コーディネーター2級
こども環境アドバイザー
測量士補
一級造園施工管理技士

書籍の紹介

土木学会創立100周年記念出版
『継続は力なり』 ― 女性土木技術者のためのキャリアガイド ―
多様な分野、経歴、年代の 10 名の女性土木技術者が語る「仕事における最大の危機」や「アドバイス」、アンケート調査による Q&A などにより、多様なロールモデルの情報を提供しています。

詳細は土木学会のWebサイトをご覧ください。
http://committees.jsce.or.jp/education03/book2012

添付資料

『継続は力なり』 女性土木技術者のためのキャリアガイド

このページのお問い合わせ:男女共同参画推進委員会

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