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男女共同参画推進委員会

女性技術士キャリアモデル 佐藤律子さん

佐藤律子-1

佐藤律子さん(総合技術監理部門・環境部門・建設部門)

佐藤 律子 さん

さとう りつこ さん

技術士資格取得を目指す若い女性技術者の皆さまへ

今このコラムをご覧になっている方は、技術士資格取得を目指すべき年齢や社内的立場にあり、結婚や育児、これから迎えるであろうさまざまな局面をどうやって乗り越えていけばいいのか、漠然とした不安を感じている方……でしょうか。
産休・育休制度や時短など、いろいろと社会的な制度は整ってきましたが、制度だけでは不安ですよね。
私はどうだったかと問われると、男女雇用機会均等法の施行を受けて女性技術者採用は会社で2人目、とりあえず何でもやってみるべし! という感じでした。初めてずくめで会社も経験がなかったため、組織も個人も一緒に、チャレンジしながら経験を積んできたと言ったほうがいいかもしれません。
就職して3年は茨城の研究所、その後、現在の環境アセスメントや環境計画を担う部署に異動になり、途中家庭の事情で休職等をはさみつつ、出産、育児を経て現在に至ります。一人娘は今年の春に中学生になりました。

自分自身の覚悟を決めるために

私が技術士を取得した理由、それは仕事をしていくうえで必要な資格だから必要に迫られて……という理由以上に、自分自身が技術者としてやっていく覚悟を決めるため……というのがあったように思います。私は技術士一次試験合格が必須になる前に、7年以上の経験年数がありましたが、正直に言って当時はその覚悟が持てず、受験はしたもののさんざんな結果でした。
しかし、そうこうするうちに、同じ会社に勤める夫の海外転勤に同行、2年余り休職し、復職したころには、資格を持っていないと仕事を取るための土俵にも上れない、という状況に。
そうなってみて、私は自分がどうしたいのかを改めて考えさせられました。仕事がしたいと復職はしたものの、子育てをしながら(夫は海外出張が多く、双方の親も遠方のため)、本当にやる覚悟があるのか、やれるのか、自問自答の日々でした。
ぶれまくっていた私ですが、なんとか技術士試験に合格すると、それが大きなよりどころとなりました。社内外で有資格者として認められることが自信につながり、少しずつ足元を固めて日々を過ごすことができるようになりました。さらに、与えられた仕事をこなすだけでなく、有資格の技術者として仕事を取ってくる立場になったことで、意識が変わっていったように思います。

「受験は若いうち」がおすすめ

これから技術士資格取得を目指す方たちには、ぜひ若いうちに取得することをお勧めします。若い方は、まだ技術士取得の必要性もあまり感じないかもしれませんが、技術者としての実力・技量の証明にもなりますし、社内外の信頼を得る入り口となるものです。若いうちに取得しておくことで、結婚や出産・育児の局面を乗り切るための一つの自信にもなるのではないでしょうか。
私はまだ娘が小さかったころに、試験日にベビーシッターに来てもらってまで受験したにもかかわらず不合格!ということがありました。あれはかなり精神的にきつかった。そんなことにならないように、ぜひお早めに(苦笑)。

心残りだった後輩の退職

私自身は、今でこそ子育ても一段落した感がありますが、保育園時代はそれこそ毎日ドタバタでした。なかなか思うように働けなくて歯がゆい思いをしていたころ、当時の上司が「今はいろいろ制約が多くて大変だろうけど、子供はすぐ大きくなる。今の状況がずっと続くわけじゃないから、あせらずやればいい」と言ってくださいました。自分ができることを、できる範囲で、誠意をもってやろう、と肩から余分な力が抜けたのを覚えています。
しかしもちろん、そうはいっても、周りに迷惑はかけたくないし、仕事はきちんとやりたい。現場にも行きたい。なんだかんだと、いろいろ頑張る日々が続きました。それが若い方には「そこまでやらないといけないの?」と映ったようです。後輩の中には妊娠を機に「私には無理!」とすっぱり退職してしまった女性社員もいました。とても残念でしたし、もっとスマートに、仕事も家庭もどちらも楽しむ姿を見せてやれればよかったと、今でも後悔しています。

一人で頑張るだけではなく

この数年で社会も随分と変わりました。いまでは、子育ても女性だけで担うものではありません。夫婦で一緒に、大変な時期(いちばん可愛い時期でもありますよね)を協力して乗り切っていただきたいと思います。そうこうするうちに親の介護が必要となるときもすぐやってきます。
仕事に情熱を注げる時期、若干セーブしなければならない時期、誰しも人生にはそんな波があって当然です。それを一人で頑張るのではなく、さまざまな手を借りて、ゆっくり、できる範囲で乗り切っていってほしいと思います。私は、そんな方たちを受け止められる仕事仲間、上司でありたいと思います。

経歴

1969年 愛媛県生まれ
1992年 筑波大学第一学群自然学類卒業、日本工営株式会社中央研究所入社
1996年 同社 環境部へ異動
2001年 長女出産
2005年 技術士 環境部門 環境影響評価 取得
2007年 技術士 総合技術監理部門 環境−環境影響評価 取得
2010年 技術士 建設部門 建設環境 取得
現在に至る

※注:記事は2015年10月現在のものです。

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